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ほら、やっぱりあったでしょ

たこちゅう小台紙

ロッテの「たこちゅう」とは、1976年に発売されたオマケ付のチョコ菓子である。

販売期間は一年程と短く知る人も少ないが、当時は大流行し、多くの偽物(パチモン)が作られた。

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昭和58(1983)年に刊行された、「ノベルティーズ製作ヒント集 おまけの玩具(おもちゃ)

(浅山守一著、自由現代社)という本には、写真入りで以下の記事がある。

「”タコチュー”のヒットにともなって偽物も出まわり、けっこう売れたようであった。」と書かれている。

記事中にある「パート2」というのは、写真の右側に写っている壺状の脚吸盤を持つタイプの事である。

正式な、名称は不明であるため、スッポリダコと称している。

パート2と書かれた純正スッポリ型

今までこのタイプのパチモンは見つかっておらず、サイズの大小こそあれ、

全てのパチモンは球体に2個の吸盤が付いた標準的なデザインのものである。

様々な種類のパチモン

写真の後列は大型のパチモンで、左からH型、H2型、H3型、I型、J型、J4型、J2型、J3型、M型、K型である。

前列はC型、C2型、E型、A型、A2型、D型、B型、P型、B2型、F型、O型、G型、L型である。

パチモンタコチュウの分類の詳細は、

タコチュウ分類一覧表」を参照されたい。

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ロッテの「たこちゅう」は、パッケージ制約から内箱の大きさの制約から、箱の厚みに収まるサイズにせざるを得ず、

スッポリ大型のように背の高さは増やせても、横幅は大きくできなかった。

このことから大型のタイプは全て大型であると考えられる。

複数の駄玩具メーカーが「たこちゅう」のパチモンを作っていたことが、最近のデッドストックのパッケージの研究等からわかっているが、

いくつかのメーカーは、複数のサイズのパチモンタコチュウを出していたことがわかっている。

左からH型・C型、I型・D型、J2型・F型、J3型・O型

大・小2種類のサイズバリエーションは、H型とC型、I型とD型、J2型とF型、J3型とO型に見られる。

J・B・P型では小型に2タイプがあり、大中小の3種類があるK・L・G型等、一系統に3種類ある例もある。

左からJ・B・P型、K・L・G型

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パチモンタコチュウは駄菓子屋や一部の玩具店、地方のお土産屋等の様々な業種で販売されていたようで、その全貌は把握できない。

しかし、ネットオークションを利用して各地のデッドストック品を入手し分析することで、パッケージからパチモンの系統的な研究が進むこととなった。

このサイトを開設して以来、地道に蒐集を続け、また、同好の皆様の御協力をいただき、以下にまとめたようなデッドストック状態の資料を収集することができた。

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<パチモンタコチュウの販売形態>

UFO消しゴマ(L・G型)

スペースインベーダー(K・L型)

UFO軍団(G型)

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たこちゅうセット(K・L・G型)

たこちゅうセット(K・L・G型)

たこちゅうセット小台紙(K・L・G型)

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商品名なし(H・C型)

商品名なし(H・C型)

キッスだこ(H・C型)

タコチュー(C2型)

NEW FASHION ACCESSARY(B型)

たこちゅう(J・B型)

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商品名なし(J・P型)

たこちゅう(J3・O型)

たこちゅう(J3・O型)

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たこちゅう(J3・O型)

たこちゅう(J3・O型)

チュチュたこちゃん チュ!(J2・F型)

チュチュたこ(J2・F型)

たこチュー(M型)

たこチュー(M型)
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これらパチタコのデッドストックを分析することで、どのタイプが同じ系統(メーカー)であるかがわかってきた。

例えば、パチモンタコチュウのJ型とB型というタイプがある。

J型は大型で吸着力の大きな深い吸盤を持つ軟質な素材で作られている。当時は泣き眠り目と名づけた顔が1種類しか見つかっていなかった。

B型は軟質素材であるが、口吸盤は浅く吸着力は強くない。脚吸盤の付け根が長いという形態的な徳料がある。顔は泣き眠り目と普通目が見つかっていた。

左からJ型正面・側面、B型正面・側面

他にもA型と称することにしたパチモンが確認されていた。

吸着力が非常に強い腕型の深い吸盤を持ち、口吸盤・脚吸盤の付け根の長さは等しく、顔は泣き眠り目しか見つかっていなかった。

左からJ型正面・側面、A型正面・側面

それぞれの型の泣き眠り目を比較すると、どれも線が浮き出すエンボスタイプであり、

J型とB型は目を横切る線が比較的下方にあり、角度はほぼ等しい。

しかし、B型は目と目の間隔がほぼ接しているのに対して、J型とA型は離れている。

左からJ型、B型、A型

吸盤の吸着力と、吸盤の付け根の長さのバランスといった形態的な特長からはJ型とA型が同じ系統であるのではないかと思われていた。

しかし、某クションで入手した当時モノのタコチュウの中に、顔のないものが見つかった。

後にJ4型(大型)・B2型と命名したタイプで、J型・B型と同じ形態的特長を持っていることが確認された。

左側からJ型・J4型(上)・B型・B2型(下)

こののっぺらぼうのパチモンは、なんらかの理由でJ型・B型の型から顔の部分を削除したものと考えられた。

この時見つかった小型のタイプがA型ではなく、B型であったことから、J型とB型は同じ系列である可能性が高まった。.

その後、収集を続ける内に、クリアピンクと命名したクリア色のJ型とB型が見つかり、

J型に普通目が見つかったことで、J型とB型は色も顔のバリエーションの数も同じことがわかった。

これらのことから、J型とB型は同系列であることが、ほぼ特定された。

左からクリアピンクのB型2種、J型2種

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J型とB型が同系列であることの決定的な証拠が見つかった。

プラスチックケースにJ型とB型が入ったセットがデッドストック状態で発見されたのである。

ケース入りたこちゅう

ケースの中にはJ型が4個、B型が10個も入っている。プラスチックのケースも合わせると売価は100円以上になると思われ、

駄菓子屋ではなく、玩具店や地方の土産物屋といった場所で、保護者等が買い与える比較的高価な駄玩具として販売されたようである。

ケースの中には紙製の台紙が入っており、「Wに顔」のロゴが描かれている。

この発見によって、J型とB型は同系列で、「Wに顔」のロゴのメーカーの製品であったことがわかったのである。

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この「Wに顔」のロゴには後日談があり、このロゴのある小台紙とJ型、それに小型の新種が発見されたのである。

落札したパチモンタコチュウ

中身はJ型が2個と、吸盤の付け根がほとんどない新しいタイプが5個入っていた。

この小型の新型をP型と命名した。

色は、今まで見つかっているJ型やB型より黄色味が薄い白っぽい緑と、赤、白、J型とB型だけに見られるクリアピンクであった。

袋入りで、小台紙に「Wに顔」のロゴがあり、J型と一緒に封入されていたので、J型と新しく見つかったP型は同系列であるとわかったが、

このP型のみがパチモンタコチュウのセットに入っていたら、その分類的な位置はわかり得なかったと思われる。

この「Wに顔」のロゴのメーカーはどういう理由か、大型のJ型と小型のB型とP型の計3種類を展開していたことがわかった。

B型とP型が同じパッケージに入っているのは確認できておらず、何らかの理由で2種を並列的に販売したことが伺われる。

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さらに興味深いのは、このJ型とP型に付いていた小台紙は、デザインがH型・C型の小台紙とデザインが酷似していたことである。

先のJ型とB型が入っていたプラケースの小台紙も黄色地に日の丸の扇子を持っており、小ダコのつながり方や顔に共通性があることがわかる。

確定はできないが線の勢い等から、H型・C型を作った駄玩具メーカーの台紙でザインを、J型・B型のメーカーが模倣した可能性が高い。

左からC・H型、今回の発掘品、B・J型小台紙

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この小台紙には後日談があり・・・。

いつもフリーマーケットをパトロールして、興味深いブツをゆずってくださるぜんまい太郎氏が、衝撃的な発見を送ってくださった。

大台紙に、8袋の小台紙付き袋入りのH型・C型が入っている。

しかし、左上の1袋には見なれない、立方体の本体に3つの吸盤を持つ、これまた新種であった。

小台紙は先のJ型とP型が入っていたものと同様で、H型・C型の小台紙に似ており「Wに顔」のロゴが入ってる。

色はクリアピンク、赤、白(クリーム色)、黄色で、J型・B型・P型と似ていて、同系列であることがわかる。

この3吸盤のパチモンは、R型と命名することにした。この3吸盤パチモンもクリアピンクはともかく、他の色を単体で見つけたら、

J型・B型・P型の系列であることはわからなかった可能性が高い。

この3吸盤のR型が入っていた袋は、大台紙に小さいホチキスで留めてあった。

大台紙に、小台紙付きやタグ付きの袋を着ける際には、業務用の大きなホチキスを使うのが一般的である。

輸送時や壁面に展示する時には簡単に取れては困るので、大きなホチキスでがっちり留めてあり、子供はそれをもぎ取って買って行く。

写真は3吸盤の入っていた小台紙が留められた大台紙を裏からみたものである。

上部の間隔の大きな穴は業務用の大きなホチキスを留めた穴で、下にあるホチキスは一般的なサイズのものである。

出荷時に業務用ホチキスで留められていたものがもぎ取られ、その後に別の袋を普通のホチキスで留めたことがわかる。

大台紙の裏面のホチキス跡

3吸盤が入っていた「Wに顔」のロゴマークが印刷された小台紙の裏面には、

業務用ホチキスの間隔の広い穴と、大台紙に後に留めたと思われる普通サイズのホチキスの穴が見られる。

上掲の大台紙の写真と比較すると、業務用ホチキスと普通サイズのホチキスの穴の位置関係がずれており、

この小台紙と大台紙は業務用のホチキスで一緒に留められたものではないことがわかる。

3吸盤の入った小台紙裏面のホチキス跡

この例からもわかるように、パッケージを研究することでわかる事は大変多いのである。

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折角ここまで横道に入ってしまったので、ついでに、J型と同じ系統かと迷った、A型について言及しておく。

驚いたことに、このJ型関連の話は、パッケージの研究の重要性の例であって、前振りである。

A型についての話は、その例から派生して、駄玩具の系統を調べることの難しさに言及する、横道の横道である。

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当時、J型は泣き眠り目の1種類しか見つかっておらず、同じ様に吸着力が強く泣き眠り目1種類しかないA型と同系列かとも思われた。

しかし、前述の様にJ型はB型と同じ系統であることが確認され、A型は別系統であると考えられるようになった。

某クションで、このA型と同じ顔だが、本体の直径は若干小さく、吸盤が浅く断面系は直線的なタイプが発見された。

このタイプをA2型と命名した。

このタイプはA型と良く似た泣き眠り目と瞳のない普通目(白目)が見つかった。

左からA型、A2型

A2型も顔が2種類なので、J型と同系列かとも思われたが、少ないながらも見つかったA型に白目と瞳のある普通目、ウインクが見つかり、

顔の種類がJ型等よりも多いことがわかった。

泣き眠り目と白目はA型とA2型の両方で見つかり、この2種が同じ系統である可能性が高まった。

左から3個目と5個目がA2型

このタイプは発見数が多くなく、一度に見つかる数も多くない。

当時の記憶によると、このタイプはガチャガチャで入手した記憶があり、20円ガチャにでも入れられて販売されていた可能性が高い。

パチタコで、このA型・A2型と、I型・D型の2系統は発見数も多くなくパッケージは発見されておらず、

ガチャガチャで販売されていたものと考えられる。

これだけの長期間に渡って発見数が他のパチモンよりも少なく、パッケージも発見されないということ自体が、

これらのパチモンには、セット売りのためのパッケージがなかった可能性を示唆する。

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さて、ここからがやっと今回の本題です。

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インターネットが使えず、高校で渡辺君が子供の頃のコレクションを譲ってくれたのが最後で、それ以上増えそうもなかった頃、

顔がエンボスで水に浮く素材のG型と命名したパチモンタコチュウが1個あった。

顔は笑い目で、純正にはないデザインである。

このサイトを作りはじめた頃、「UFOケシゴマ」というタグ付き袋入りのゴム製の駒のセットに、

このタイプのパチモンタコチュウが入っているのが確認された。

色は青と黄色で、顔は普通目と笑い目の2種類であった。

タグには、パチモン駄玩具のパッケージで良く見られるマルコー産業のロゴマークが入っていた。

この「UFO消しゴマ」に、中型(L型)が入っているサンプルも後に見つかった。

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ロッテ純正のたこちゅうは、水に浮かぶ素材と水に沈む素材で作られた2つのタイプがあるが、

パチモンタコチュウは水に浮かぶ素材で作られているのは、このG型のみである。

水に浮かぶ素材のパチモンタコチュウが入っている駄玩具のセットが見つかった。

厚紙の台紙にフリクションのUFOと、宇宙船が3種、それに宇宙人として、水に浮く素材の大きめのタコチュウがブリスターパックされている。

台紙には「スペースインベーダー」という商品名が印刷されている。

台紙の上部には穴が開いており、細いビニール紐で輪が作られており、壁や店内に張り渡されたロープ等にフックで引っ掛けて展示されたものと思われる。

この駄玩具セットに入っていたパチモンタコチュウは水に浮く素材で、

他のパチモンタコチュウで見られる大型のタイプよりもどちらも若干小さくなっていて、独特の大きさである。

大きなサイズをK型、中位のサイズをL型と命名した。

左からパチモンJ型、K型、L型、純正後期型

台紙にロゴマークはないが、STマークが印刷されている。

M2592005という番号から、

東京玩具工業協同組合に所属する259という企業コードの会社が、昭和52年(1977年)に申請した5番目の商品であることが読み取れる。

暫くして、似たようなUFO駄玩具のセットが見つかった。

商品名は「UFO軍団」。

車輪の付いたUFO玩具が2個と、先に紹介した「UFOケシゴマ」がブリスターパックされている。

封入された「UFOケシゴマ」には、マルコー産業のロゴが見える。

台紙の大きさは「スペースインベーダー」のものと同じで、上部に紐を通すための穴が開いているのも同様である。

台紙にはSTマークが印刷されており、同じ番号が付されている。

左が「UFO軍団」、右が「スペースインベーダー」

登録された番号が同じなので、どちらも「UFOケシゴマ」のマルコー産業というメーカーか、

そこから水に浮く素材のパチモンタコチュウ仕入れたメーカーであることがわかる。

同じ番号のSTマークで登録された2種類の駄玩具に、K型、L型、G型という水に浮く3タイプのパチモンタコチュウが入っていたことで、

これらのパチモンタコチュウが同じ系列であると考えられた。

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ピコタンや明治合体チョコボール、たこちゅう等を模した駄玩具のSTマークが確認できるパッケージの中には、

マルコー産業のロゴや企業コードが確認できるものが散見される。

K541、P527、P544、M259等があるが、最初のアルファベットは所属する協会を表すので、

それぞれの協会におけるマルコー産業の番号なのか、マルコー産業の駄玩具を仕入れて販売した他のメーカーの番号なのかはよくわからない。

商品名 ネタ元 STマークメーカー記号 登録年 ロゴマーク
合体基地別バージョン 明治合体 K541 - マークロゴ
スポーツ大将 ピコタン2パーツ K5413301 昭和53(1978)年 アルファベットロゴ
ロボ君ブロック ピコタン2パーツ P5270012 昭和50(1975)年 マークロゴ
ポーズブロック ピコタン2パーツ P5270012 昭和50(1975)年 (株)エンゼルボール
人間ブロック(りんごケース) ピコタン P5270005 昭和50(1975)年 ロゴなし
たこちゅうセット(りんごケース) たこちゅう P5270005 昭和50(1975)年 マークロゴ

たこちゅうセット(帽子ケース)

たこちゅう

P5441200

昭和51(1976)年

ロゴなし
UFO合体基地セット 明治合体 P5440150 昭和50(1975)年 ロゴなし
合体スリー P5444 昭和54(1979)年 マークロゴ
合体スリー K5412224 昭和52(1977)年 アルファベットロゴ
スペースインベーダー たこちゅう M2592005 昭和52(1977)年 ロゴなし
UFO軍団 たこちゅう M2592005 昭和52(1977)年 ロゴなし

※マルコー産業のロゴとSTマークの詳細はUFO宇宙セットを参照されたい。

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水に浮く素材のK型、L型、G型が同じ系列であることの決定的な証拠が見つかった。

この3種類が帽子型のケースに入った.たこちゅうセット」をぜんまい太郎氏から譲り受けた。

帽子型のケースの上面には「たこちゅうセット」と書かれたシールが張られている。

一つには、「特250」と記されたシールが貼られていた。

「すいついて合体します」というコピーの合体という表現は、他のマルコー産業の駄玩具でも良く見られる表現である。

ケースにはSTマークがあり、番号はP5441200であった。

P544という企業コードは、「スペースインベーダー」にセットされた宇宙船の駄玩具「合体スリー」のみのパッケージにも見られる。

下三桁の申請番号は省略されているが、4桁目の数字から昭和54(1979)年の発売と思われる。

イラストの赤い泣き目と、黄色の両目を瞑った小ダコがキスしているモチーフは、他のパチモンタコチュウの大台紙にも見られる。

このキスしているモチーフがロッテの純正の箱のイラストに影響されていると考えられ、

パチモンのパッケージでもデザインの類似が見られ、純正のパッケージデザインに各社が影響を受けているのがわかる。

純正最後期スッポリA型系の箱

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純正最後期スッポリB型系の箱

...

K・L・G型シール

K・L・G型りんごケース内台紙

H・C型小台紙

H・C型大台紙

C2型タコチューシール

J・P型

J・B型

J2・F型

J3・O型

M型

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ケースの中にはG型・K型・L型が各7個、計21個が入っていた。

G型は普通目と笑い目、K型は泣き目と眠り目、L型は眠り目と怒り目の2種類ずつが確認された。

色はそれぞれのサイズに青、赤、オレンジ、黄色、白の5色が見つかった。

緑色は数が少なく、Gサイズにのみ確認された。

また、後に見つかった「スペースインベーダー」には、K型の緑色が確認され、L型についても存在する可能性がある。

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G型・K型・L型の入ったケース入りのパチモンは他にもリンゴ型のケースに入ったものも見つかった。

先ほどの帽子型ケースと同様のシールが貼られており、中にはG型・K型・L型が各10個入っていた。

ケースの中には上下を仕切る円形の紙が入れられている。

蓋の接合部分には、中身を挟まないためにか、帯状の薄紙が入っている。

マルコー産業のロゴと「オリジナルTOY」の文字が印刷れている。

ロゴはともかく、どうみてもパチモンのタコチュウを入れておきながらオリジナルと言っちゃうところが、昭和っぽい。

このリンゴ型のケースはパチモンピコタンが入っている「人間ブロック」でも見つかっている。

どちらのケースにもSTマークのシールが貼られており、P5270005と印字されている。

左が「人間ブロック」、右が「たこちゅうセット」

4桁目の数字は、昭和の下一桁を表すので、昭和50年(1975年)か昭和60年(1985年)を意味するが、

昭和60年では時代が下り過ぎることから、昭和50年である可能性が高い。

しかし、ロッテの純正たこちゅうの発売は、「ロッテお客様相談室」に聞いたところ1976年と言われているので、

シールの年号を信じるならば、マルコー産業のパチモンタコチュウのほうが早く販売されていたことになる。

この申請がどのような形でなされるのかが判らないが、先の「スペースインベーダー」と「UFO軍団」でも見られた様に、

似たような構成の駄玩具であれば比較的緩く同じ番号を付与されている可能性が指摘できる。

同じケースに似たようなパチモン駄玩具を入れて売るということで、パチモンピコタンをリンゴケースに入れた商品の番号を、

次の年に同じケースにパチモンタコチュウを入れたものにも流用したのかも知れない。

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このケースには二つ折りにされた小台紙が入っていた。

りんごケースに入っていた小台紙

右下のベレー帽とリボンの小ダコのキッスのモチーフは、ケースに貼られたシールと共通しており、

先に述べた様に、他の駄玩具のパッケージにも見られるものである。

ハチマキをした大きなタコのモチーフは、先に紹介したJ型・B型が入ったプラケースの台紙にも見られた。

大ダコにハチマキのモチーフはC2型が入ったプラケースにも見られる。

ハチマキのタコのモチーフは、C型・H型を籤のアタリとした「キッスだこ」の箱にも見られる。

J型・B型に色構成が似ており、顔デザインは普通目のみのJ3型・O型の大台紙と小台紙にもハチマキタコのモチーフが使われている。

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ハチマキタコのモチーフは、楕円形の本体に円錐形の脚吸盤をもつ「たこチュー」という商品名で販売されたM型と命名したタイプでも見られる。

J型・B型やC型・H型は、純正の眠り目と泣き目を一緒にした泣き眠り目のデザインを採用しており、

泣き目と眠り目が別れているG型・K型・L型とは、違う系列であるが、パッケージのデザインモチーフには共通する部分が多い。

これは、ロッテの純正たこちゅうの初期のパッケージが見つかっていないことから確定的なことは言えないが、

純正パッケージのデザインにハチマキを巻いたタコが使われて、それに似せたのか、

どこかのメーカーが出したパチモンタコチュウのパッケージを他社が真似たのかは良く判らない。

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で、ここからが正真正銘の本題。

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パチモンタコチュウは、プラスチックケースに入れられて売られたものが複数見つかっているが、

一般的なのは、大台紙にパチタコと小台紙が入れられた袋がホチキス留めされ、壁に吊るされているところから袋をもぎ取る方式である。

<パチモンタコチュウの販売形態>

商品名なし(H・C型)

商品名なし(H・C型)

商品名なし(J・P型)

商品名なし(R型)

たこちゅう(J3・O型)

たこちゅう(J3・O型)

チュチュたこちゃん チュ!(J2・F型)

チュチュたこ(J2・F型)

たこチュー(M型)

たこチュー(M型)
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この大台紙にホチキス留めされた方式は、他の駄玩具でも広く見られる。ピコタンや明治合体チョコボールのパチモンは、

厚みが少ないからか小台紙ではなく、タグで大台紙に留められることも多い。

大台紙に小袋入りの例

人間ブロック

(顔ありC型)

人形ブロック

(顔なしD型)

合体基地

(A型)

ミニUFO遭遇消ゴム

(C-2型)

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このような販売方式の場合の小台紙やタグには、袋の口を留めるための普通サイズのホチキスと、大台紙に留めるための業務用の大きなホチキスの跡があることがわかる。

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今回、某クションで、小台紙とG型・K型・L型のセットが見つかった。

小台紙は、先に紹介したリンゴケースに入っていたものと同じである。

波をバックにハチマキをした大ダコの周りにタコチュウが配されている。

大ダコに吸付くもの、手前の一繋がりのタコ、キスしてるタコと、他のパッケージとデザイン的には類似性が見られる。

左下のサンゴはH・C型、J・P型では海藻であった。M型の「たこチュー」では、貝やサンゴ等他のパッケージにないアイテムが描かれている。

海藻をサンゴに変えた、このG型・K型・L型が、デザイン的な飛躍の元になった可能性がある。

小台紙の上部には、大小のホチキスの穴が確認できる。小さいものは袋の口を留めるためのもので、

大きなものは小台紙入りの袋を大台紙の厚紙に固定するための業務用の大型のホチキスによる痕跡であると思われる。

赤い矢印の先の穴が普通サイズのホチキス、青い矢印の先の大きめの穴が大台紙に固定するための業務用ホチキスの跡である。

このことから、G型・K型・L型でも、他のパチモンと同じ様に、ぶら下げられた大台紙にホチキスで留められたものをもぎ取って買う方式が行われたことがわかる。

一緒に入手したパチモンタコチュウは、青い怒り目のK型が2個、黄色の眠り目と泣き目のL型が1個ずつ、赤の普通目のG型が2個の計6個であった。

袋が失われており、6個が1袋の中身の全てであるかは、不明である。しかし、他のパチモンの入り数から考えてこの6個が同じ袋に入っていたと考えるのが自然であろう。

一緒に見つかったパチモンタコチュウは、袋の中で吸盤が変型してしまったのか、大きなもの程ダメージを受けている。

小台紙と大きなサイズのK型があるのにビニール袋が小さかったためか、小台紙の下部はかなり丸まっている。

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今回はパチモンタコチュウの系統を分析することの難しさと、そのためにデッドストックのパッケージが非常に重要であることをまとめてみた。

1976年の発売から45年。

ネットオークションと各地の駄菓子屋や問屋の廃業にともなうデッドストックの放出の恩恵を受けて、

当時は興味もなく、また、子供の狭い活動範囲内では伺い知ることのできない各種のパチモンの分類が進んだ。

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とはいえ、スマッシュヒットで直ぐに販売停止になったお菓子のオマケの、それもパチモンですよ。

それぞれのメーカーが勝手に作ったものなので、文献もなければまとまった知識を持つ人も居ないんじゃないかな。

ホントに時間をかけて、手間をかけて、やっと見えてきたたこちゅうの分類。

色々わかってきた。

が、それが本当かどうかは、誰も知らない。

あしからず。

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今回も、サンプルの入手にあたってT女史の手を煩わせてしまった。

毎度毎度ありがとうございます。

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一切の内容の無断転載、流用を禁止する。

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