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こんな顔じゃぁなかったですかい?

パチタコのっぺらぼう

「で、で、でたんだ!お堀端に・・・、お、女が!女の顔が!!」

「へぇ・・・、その女は、こんな顔じゃぁなかったですかい?」

「あ、あぁ、あわわ・・・」

えぇ、むじなという一席、お後がよろしいようで。

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タコチュウを入手した。団体さんである。

出品時の画像を見たときは、C型が多いことが目に付き、J型の青とB型らしいピンクが識別でき、新色の発見だと思った。

また、如何にもパチっぽい玉子型の胴体の新種があることもわかった。

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実際に送られてきたタコチュウを見て、驚愕した!

なんとJ型の緑と青、B型らしいピンク、手にする前はC型と思われた赤が実はこのB型タイプで、

その全てに顔のモールドがない、のっぺらぼうだったのである。

右がのっぺらぼうタイプ。左側がJ型(上)・B型(下)

このように並べてみると、タコチュウの分類時の注目すべきポイントである、足と口の付け根の長さや吸盤の形が同じことがわかる。

大きな方のJ型は現在、赤と緑、ちょっとクリア系の朱の3色があり、小さいほうのB型には黄色と緑がある。

J型の赤とのっぺらぼう小の赤と、B型緑とのっぺらぼう大の緑を並べてみた。

J・B型は古いため色が濁っているが、材質的にはほとんど同じものであると思われる。吸盤の柔らかさもほぼ等しい。

J型は足と口の長さがほぼ等しく、B型は足の方がかなり長いため、形態的にはあまり似ているとは言えないが、

その顔が泣き眠りと普通目の2種しかなく、デザインが酷似していることから、同一のシリーズであると考えられている。

このように口と足の長さといった形態的な特長は似ていないが、同じグループであると考えられるものに、D型とI型がある。

これは顔はそれぞれ一種類ずつだが、材質が似ていて、色が赤と青と黄の3種であることからそのように考えられている。

C型とH型は顔も足と口の長さの比率もほぼ相似になっているが、上記の2例のように、

口と足の長さの比率が違っても同一のシリーズであることが推測される。

今回、J型とB型と形態的特長が同じで、どちらものっぺらぼうのパチモンが発見されたことにより、

前述の推測が一層説得力を持つものと思われる。

と、いうことは、青やピンクのJ型・B型、黄色ののっぺらぼうなどがでてくる可能性がある。

今回発見されたB型とJ型ののっぺらぼうについてはそれぞれ、B2型、J4型と命名することにした。

今迄のっぺらぼうE型しかなかったので、興味深い発見であったといえる。

このB2型、J4型の顔の部分を詳細に検討してみたところ、

上掲の写真のように、口の吸盤の付け根を中心に同心円状の削り跡のような溝が見られる。

このことから、始めは顔のあった型を削り、顔を無くしたのではないかと考えられる。

また、緑色のJ4型をよく見てみたところ、片方は付け根が膨らんでおり、吸盤の中心が凹んでいた。

これは、成型の時、この吸盤の中心を押さえる型があり、それが少し強く押し込まれてしまったための変形と思われる。

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今回の団体のもう一つの特長は、21個もあるC型の存在である。

C型は、形態的特長が非常に良く似ていて大型名H型と一緒に売られていた記憶がある。

前回、台紙と一緒に発見されたC2型、H2型も、大2個、小2個が袋に入っている状態が、

別冊太陽に掲載された台東区立下町風俗資料館内の駄菓子屋のジオラマの写真から確認できる。

しかし、今回は小さなC型のみが大量にでてきたことから、小さいのだけの袋入り販売があったことが推測される。

明治合体チョコボールのパチモンである「合体基地」にも、小ばかり多数入った袋と、

大1個に数個の小が入った袋の2種類が、同じ台紙にホチキス留めされていたのが確認されている。

タコチュウのパチモンについても、大(H型)の入っている袋と入っていない袋があったことが考えられる。

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さらに全く新しい新種を発見することになった。

タコチュウの胴体はほぼ球形だが、この新種は楕円形(歪な玉子型)である。

口の付け根は他のタコチュウ同様に円柱部分があるが、足は円錐形になっている。

足には純正の様に足を示す直線形のエンボスが放射状にでている。

他のパチモンは、このオリジナルだけにみられる足の線を再現したものはないので、

オリジナルをもとに、かなり早い段階でコピーされたものであると考えられる。

材質は水に沈むため柔らかめのプラスチックと思われる。

顔はいまのところ普通目一種類しか見つかっていない。

このパチモンを、今後はM型と呼ぶことにする。

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出品者の方に、これらのパチモンの入手方法を伺ったが、なにぶん古いことで、良く覚えていないとのことであった。

しかし、ガチャガチャに入っていたり、駄菓子屋で袋入りで売られていたことは覚えているということで、

従前から考えられている販売形態が間違っていなかったことがわかった。

純正前期が熱のためと思われる変形をしていることを除けば、どれも袋から出したてのように状態が良く、

新種の発見と共に大変貴重な資料であったということができる。

30年もの間、綺麗に残してくれた出品者の方に感謝するものである。

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