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パチタコの派生史を覆す大発見!

チュチュ たこちゃん チュ!

ロッテの「たこちゅう」のオマケには五種類の顔があった。

上段は純正後期型、下段は純正太目型

左から、普通目、怒り目、ウインク、泣き目、眠り目と命名した。

この五種類は、最初期の水に浮かぶ素材(前期)から、水に沈む素材(後期)への変化の過程でも変らずに見られ、

純正のバリエーションである太目型でも同様であった。

しかし、スッポリタイプと呼ばれる新型たこちゅうが作られた時、

普通のタイプのたこちゅうも型が変更された。これを最後期型と命名することとした。

純正最後期型

最後期型はそれ以前の型に比べてモールドが浅く、顔の幅が狭くなっている。

顔の種類は眠り目が省略され四種類に減った。

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泣き目と眠り目は他の三種に比べて似ているので、長期にわたって亜種と分類してきたが、

純正のサンプルが増え、明らかに別種であることがわかってきた。

泣き目は純正でも純正太目でも瞳が向って左側を向いているのが特徴で、

眠り目は瞳が正面を向いていることで分類できる。

左から純正泣き目、太目泣き目、純正眠り目、太目眠り目

最後期型では、眠り目が省略され、泣き目も瞳が小さくなったため、眠り目に近い印象が大きく、

そのために長く泣き目と眠り目を分類しなくても良いのではないかと考えられていた。

最後期型の泣き目

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この泣き目と眠り目を当時は別種と分類できなかったのには、

パチモンのタコチュウに泣き目と眠り目の混ざったようなものがあったことも影響していた。

楕円形の目に斜めの線が入り、瞳がないタイプを泣き眠り目と称していた。

後段左より、H型、C型、前段左よりJ型、B型、A型、D型

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最近になって、新しく見つかった水に浮く素材のパチモンK・L型には、泣き目・眠り目のそれぞれの顔があった。

パチモンでこの二種類の顔の区別をしたのは、K・L型のみで、他のパチモンは全て泣き眠り目になっている。

この系統のパチモンは、G型に笑った目の顔を持つものがあるが、それ以外はこの泣き目、眠り目の他に普通目と怒り目があり、

明らかに前期または後期の純正を元に作成したものであることが伺える。

大きさも他のパチモンとちがい、純正サイズのG型は他のパチモンとほぼ等しいが、

K・L型は純正よりも大きく、H型やJ型系列の大型パチモンより小さい。

これらのことから、比較的初期の純正をもとに独自の解釈で作られたパチモンであると考えられ、

泣き眠り目を持つパチモンと一線を画するものであるといえる。

左からK型眠り目、L型眠り目、泣き目

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泣き眠り目があるパチモンの中で、後段のH型とC型は比較的数が多く、顔の種類も最後期と同じ、

普通目、怒り目、ウインク、泣き眠り目の四種類があり、純正と同様に顔は彫り込みで表現されている。

他のパチモンがエンボス(凸部)で表現されていることから、このH・C型は、よりオリジナルに近いパチモンであると考えた。

後段:H型、前段:C型

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H・C型以外のパチモンは、当時保有数が少なく、満足な研究ができなかったため、どれとどれが同じグループなのかわからなかった。

このホームページを開き、オークションや同好の士の皆さまからの情報やブツの御提供をいただく中で、

パチモンの分類に関してかなり解明することができてきた。

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まず、D型であるが、これはクリア素材で青、赤、黄の三種類しかないこと、

I型と称することにした大型パチモンと一緒に見つかることが多いことから、

D型とI型は同じグループであることがわかってきた。

当時、同じタイミングでこの2種類をガチャガチャで入手したように記憶している。

I型は、H型とほぼ同じ大きさで、双方の種が近い関係にあることを示唆している。

I型はウインクの一種類しかなく、D型も泣き眠り目しかないようで、大小それぞれ一種類の顔しかないものと思われる。

顔はエンボス(盛り上がっている)でD型は泣き眠り目。I型のウインクは左目のまつ毛が6本で、

これは純正ともH型とも同じで、これらのパチモンのウインクが純正を元に作られたことがわかる。

後段:I型、前段:D型

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H型やI型と同じ大きさの大型パチモンで、泣き眠り目のJ型は、吸着力の強い深い吸盤を持つ。

泣き眠り目の横棒の傾きがB型と名付けた純正サイズのパチモンと似ていたが、

サンプル数が少なかったため、B型とJ型が同種と確定することは出来ずにいた。

B型には泣き眠り目の他に普通目が見つかっていた。

しかし、最近になって、クリアピンクのJ型とB型が見つかり、さらに、J型にも普通目が発見されて、

J型、B型ともに泣き眠り目と普通目を持つ同系のパチモンであることが確認された。

後段:J型、前段:B型

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H型・C型では、足の付け根のほうが口よりも短く、同じ系統であることがわかりやすかったが、

吸盤の深さが違うI型・D型、足と口のバランスが違うJ型・B型が同じ系統であることは分かりにくく、

ある程度のサンプル数が集まったことによって、このグループ分けがかなり確度の高いものであると言えるようになったと思われる。

上段:H型・C型、下段左から:I型・D型、J型・B型

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泣き眠り目には、この他にA型と命名した深く吸着力が大変強い吸盤を持つパチモンがある。

これは、当時ガチャガチャで入手したように記憶しているが、

これだけパチモンを含めてタコチュウが増えたにも係らず、同じものが見つかっていない。

横棒が他の泣き眠り目に比べて傾斜がきつく、左右で微妙に高さが違っている。

近年になって、吸盤の形が違い、本体の直系も少し小さいが、同じ泣き眠り目の型を用いたと思われるサンプルを発見した。

これをA2型と称することにした。

左からA型、A2型泣き眠り目、普通目

このA型とA2型の泣き眠り目は全く同じ原型から作られたものと思われるが、

吸盤の形と大きさが違っている。

左からA型、A2型

このようなことは、H型でも見られ、顔の部分は共通で使い回しにされたが、

ロットの違いなのかメーカーが違うのか、顔が全く同じでも、吸盤の形とその付け根の長さが違うものが見つかっている。

左からH型、H3型、H2型

H型に関して言えばH型とH2型は、同じ小台紙が使われていた可能性が高く、同一メーカー品と思われる。

H3型という、口と足の間に顔があるエラー品も見つかり、顔の部分の型を何度も使って、

複数の型を作ったことがわかった。

H3型

逆に、J型と全く同じ吸盤をもちながら、顔のない物も見つかっている。

これをJ4型・B2型としたが、このようなサンプルの存在からも、

顔の部分の型と吸盤の部分の型は、一体で成型されるものではないことが推測される。

左からJ型、B型、B2型、J4型

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泣き眠り目に注目し、パチモンを分類してきたが、J型の普通目を入手した際に、

J型と似た素材を用いた足の短い新種が発見された。これJ3型と分類した。

後列J3型、前列O型

色はJ型で見られた緑色で、その後、黄色と赤も見つかった。

黄色と赤が見つかった時に、同じような付け根の短い吸盤を持つ、小型のものも併せて発見された。

この小型のものをO型と命名した。

数個ずつ入手されているが、大型のJ3型も、小型のO型も、どちらも普通目しか見つからず、

これらのパチモンは一種類しかないものと考えられる。

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普通目しか見つかっていないパチモンとしては、円錐形の足吸盤で卵型の本体を持つ、M型と命名したものも見つかっている。

これも発見数が多くないので確定はできないが、本体の形が少し違っていて型違いであると思われ、

今のところ3個全てが普通目であったことから、一種類の顔しかないと思われる。

この目は、白目の部分がエンボスで瞳の部分が凹部になっており、他のパチモンとは違うデザインである。

M型

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このようにパチモンを見てみると、純正の五種類の顔をもとに、様々なパチモンが作られたことが推測される。

その派生状況を以下のようにまとめてみた。(詳細はタコチュウ派生一覧表を参照のこと)

純正から、泣き目と眠り目の区別があったG・K・L型と、泣き眠り目のC・H型の2系統に大別できる。

泣き眠り目以外は純正の影響を強く受けているC・H型は、普通目、ウインク、怒り目、泣き眠り目の4種類がある。

C・H型は顔が掘り込みであるが、上図のC・H型以降の派生系はどれもエンボスになっている。

D・I型は泣き眠り目(D型)とウインク(I型)で、大小各一種類になっている。

B・J型は、大小共に泣き眠り目と普通目が存在している。

A・A2型は数が非常に少ないため確定的はことは言えないが、J型に良く似た泣き眠り目と、普通目っぽい顔のものが見つかった。

O・J3型は大小共に普通目が一種類であるが、これは素材的にもJ型に近く、J型系の普通目とデザインが似ているため、

B・J型と関係が深いものと思われる。

※G型には、笑い目が存在している

普通目 泣き目 眠り目 ウインク 怒り目
純正前期
純正後期 -
G・K・L型 ●(G型) ●(L型) ●(K・L型) - ●(K型)
C・H型 ●(C・H型) ●(C・H型) ●(C・H型) ●(C・H型)
D・I型 - ●(D型) ●(I型) -
J・B型 ●(J・B型) ●(J・B型) - -
A・A2型 ●(A2型) ●(A・A2型) - -
J3・O型 ●(J3・O型) - - - -

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ここまでは、顔に注目してパチモンを分類してきたが、この分類からはみ出てしまうパチモンが存在している。

純正と似ても似つかないラフな顔を持つ、J2型とF型がそれである。

J2型の種類(左から山型眉毛、垂れ目、三角目、二重普通目)

F型の種類(左から直線眉毛、ビックリ、バツ目、困り目、囲み目)

J2型は、吸着力の強い大形の吸盤を持ち、素材的にはJ型、J3型の緑と大変よく似ている。

J・B型は緑と赤と黄色が見つかっている。

最近になってJ3型に緑と赤と黄色が見つかり、J2型も同じ色構成であることが確認されて、

一層、J型系列との関係性の深さが明らかになってきている。

(顔無しJ4型にはブルーがあるが、これは型が他社(?)に移動し顔を削った後に作られた物で、

例外と考えることができる。B2型には、濃い赤とピンクがあるが、赤い基材に白を混色する割り合いを変えることで

簡易的に安易にカラーバリエーションを作ったことを推測させる。)

左からJ型、J3型、J2型

J2型の緑には、H型に近いクリアなものがある。また、赤は濁ってピンクがかったものもあるが、

これらはロットごとの素材の色管理がラフなために生じたバリエーションと考えられる。

J型でも赤と、クリアピンクのような色のものが見つかっている。

左からJ型赤、J2型赤、J2型緑のカラーバリエーション

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このJ2型とF型が、デッドストック状態で発見された。

タイトルは「チュチュたこ」

カラー印刷の台紙にブリスターパックされ、J2型が2個、F型が3個入っていた。

ここまでは、以前にも紹介している。

チュチュたこ

気の回るあなたは気がついたでしょうか。

そうです。ここまでが、前置きなんです。

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このチュチュたこの台紙付き完ピンが発見された。

チュチュ たこちゃん チュ!

「チュチュたこちゃん チュ!」というのが正式名称である。

カラー印刷された台紙に、ブリスターパックが12個ホチキス止めされている。

台紙には、妙に目が少女マンガっぽい赤いタコと、まゆげのある普通目らしき顔、両目を瞑っている顔、

目がバツになっている顔、眠り目っぽい顔のタコチュウが描かれている。

眠り目のイラスト(右から3番目)

他には泡と、海草、鰭の極端に大きな魚が散在している。

タコチュウのパチモンの台紙としては、C型・H型の台紙(商品名の記載無し)が見つかっている。

C型・H型の台紙

大きな真っ赤なタコにくっつくタコチュウや、口の吸盤でくっつくタコチュウ、タコチュウの行列、

海草も魚(C型・H型の台紙はたいやきくん)も共通し、両者の絵柄の構成には共通性が見られると言える。

両者をくらべると、球体の陰やハイライトなどは、C型・H型の台紙の方がうまく処理されている。

タコチュウの行列も、チュチュたこのほうが直線的にならんでいるが、

C型・H型の台紙のほうはU字型に並び、デッサンもしっかりしている印象を与える。

魚は、C型・H型の台紙の方は、著作権的にヤバいくらいに「およげ!たいやきくん」に似ている。

チュチュタコの魚は、「たいやきくん」を知らない大人が、魚を概念的に描いた絵ではないかと考えれる。

C型・H型の台紙のバックは波が描かれているが、「およげ!たいやきくん」のシングルジャケットに影響されていると思われる。

チュチュたこにだけ見られる泡の表現は、「およげ!たいやきくん」のシングルジャケットにも見られる。

以上のことから、C型・H型の台紙と「およげ!たいやきくん」のシングルジャケットをもとに、

少女マンガ系のタッチを持つ作者が、チュチュタコの台紙を描いた可能性が高いと考えられる。

「チュチュたこちゃん チュ!」というのは、何とも突飛な商品名だが、

この商品名の元になったのでは無いかと思われるサンプルが見つかった。

C型のクリア素材バージョンをC型と命名したが、

そのC2型のデッドストックを入手した。

専用の円筒形プラスチックケースに、C2型が11個入っている。

蓋にはシールが貼られており、

「タコチュー」という商品名と、ハチマキをした大ダコと、

11個の小ダコが描かれている。

小ダコが吸付いている擬音を表すと思われる「CHU!」と言う文字が、

商品名の左右に書かれている。

この擬音も含めて、文字を素直にそのまま読むと、

「CHU!CHU! タコチュー CHU!CHU!」となって、

チュチュ たこちゃん チュ!」に似ている。

この余りに唐突な商品名は、元になったパチモンのパッケージを

曖昧なまま参考にした結果ではないかと思われる。

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前後して入手したブリスターには、「50」という売値と思われる数字が書かれていた。

値段らしい記載のあるもの

当時、ピコタンや明治合体チョコのパチモンがであった。

C型・H型の台紙の裏には¥150と書かれていたが、当時の相場感から言っても、

大タコ2個、小タコ3個で50円という価格設定は妥当であると思われる。

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J2型、F型の顔の種類を分析してみた。

二重普通目

眠り目

ウインク

怒り目

垂れ目

三角目

山型眉毛

しわ額

今回、眠り目が発見されたことで、眠り目と普通目があるJ型の影響が再確認されたが、

併せて、ウインクも見つかったことから、純正やH型も参考にされた可能性が出てきた。

しわ額は、純正スッポリ小型のしわチュウと呼ばれるタイプに似ている。

後述するF型の囲み目とともに、小型スッポリの影響があると思われ、純正たこちゅうの流通史から見ると

比較的後期に作られた物であると考えることができる。

左からJ2型しわ額、スッポリ小A型、C型、B型、とF型囲い目

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今回の台紙付きで新たに発見されたものも含めて、12種類の顔が見つかった。

普通目

囲い目

ウインク

バツ目

おすまし

一本眉

困り目

二重困り目

びっくりA

びっくりB

垂れ眉A

垂れ眉B

F型は、前回発見された物の中に、同じ顔でも型違いがあることが分かっている。

F型バツ目、囲み目の型違い

上掲の12種類のうち、垂れ眉AとBは、型違いである可能性が高い。

びっくりのAとB、困り目と二重困り目も型違いの可能性があるが、

眉の数が違うという、表情的にかなり大きな違いが見られるため、違う種類とするか、型違いとするかの判断は難しい。

これらの不明確な顔の種類を除外すると、少なくとも10種類の顔があると考えられる。

純正の初期型が五種類しかなかったことからも、独創的な顔を持つパチモンであると言える。

純正と似ていないパチモンはピコタンでは良く見られるが、タコチュウでここまで純正と違うのは珍しい。

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今まで、J2型は、そのカラーバリエーションと素材から、J型の派生系であると考えてきたが、

先に紹介した台紙にH型の影響が強く見られることから、派生表を以下のように変更することとした。

今回の台紙の発見と、そのイラスト、F・J2型にウインクや普通目が、J2型に泣き眠り目や発見されたことで、

F・J2型を、普通目と泣き眠り目のみで構成されたB・J型からの派生ではなく、C・H型からの派生と修正した。

左側がいままでの派生図。右側が(13)F・J2型をB・J型と同列にした新しい派生図

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結果的に、台紙つき完ピンの発見は、F・J2型の分類上の位置付けを一変させることになった。

30年以上に渡って信じ続けていたことが、明確な証拠をもとにした分析で覆されたことはタコチュウ学の上で、

重要なエポックとなりうるものと考える。

まあ、何度も言う様ですけど、チョコのおまけのパチモンのこと、

どこの誰とも分からない駄玩具業者がどんな風に作ったか・・・、そんなこたぁ、どうでもいいんですけどね。

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