附)タコチュウ分類一覧表

当時はチョコレートなどのオマケ(食玩)が流行ると、その偽物(パチモン)が駄菓子屋やガチャガチャ(ガシャポン)等を通じて流通した。タコチュウも例外ではなく、純正品の他に各種のパチモンが存在していた。また、チョコレート菓子「タコチュウ」の生産も比較的長期にわたって継続されたため、純正品についても、いくつかのバリエーションの存在が確認されている。分類は材質、色、顔の表情、脚と口の吸盤の形状、吸盤の根元の部分の長さのバランスなどから行いうる。

※分類名称等は暫定的なものでものである。

●純正初期型

純正の「たこちゅう」の初期型。顔は普通・泣き顔・怒り顔・ウインク・眠り目の5種。吸盤の根元の長さは口も脚もほぼ等しい。脚の吸盤部に足を現す放射状の突起がある。水に浮く素材でできている。口の付け根に型の違いに由来すると思われる形状の違いがある。色は、青、赤、黄色、オレンジの4色。

●純正後期型

初期型と同型から作成されたと思われるが、材質は水に沈むプラスチック製。顔は5種(※注)で初期型と等しい。色は青、赤、黄色、オレンジの他に黒と緑がある。口の付け根に型の違いに由来すると思われる形状の違いがある。

●純正最後期型

スッポリのデッドストックと一緒に見つかることから、最後期に出回っていたと思われるプラ製の「たこちゅう」。色は青と赤の2種で、顔は、普通目、怒り目、ウインク、泣き目の4種で、眠り目はなくなった可能性が高い。目が細く彫りが浅い。

●純正太目初期型

水に浮く素材の純製で、純正初期型よりも目が大きい。足と口がやや短く、太さは一定である。表情は5種類。色は青、赤、黄色、オレンジの4色。純正初期型に比べて数は少なめ。

●純正太目後期型

純正太目型のプラスチック版。表情や形態は太目前期と同じ。色は黒と緑が多く、赤、オレンジが少数見つかっている。スッポリ出現の前の一時期、この太目のプラ製にも緑と黒以外の4色もあり、多く出回ったていたという証言もある。

●純正太目型破損(旧称 パチモンO型)

太目系の顔を持つ。吸盤が小さく足が短く、純正の特徴ともいえる足のモールドが無いことから当初はパチモンと考えた。材質はスッポリ大C型、純正の沈む素材と極めて近い。赤箱A型に入ったものが見つかったため全く新規で作られた純正の亜種であることがわかった。色は黄色、緑、オレンジ、顔は純正と同じ5種類が見つかっている

●純正新型(後期・小A型)

特徴的な形状の「たこちゅう」。スッポリダコと呼ばれていた。脚が大きな吸盤になっている。頭部が小さく小型な吸盤がある。純正後期の後に登場した。これはプラ製だがゴム製の前期型も存在すると言われている。

●純正新型(後期・小B型)

最近見つかったスッポリダコの新種。表情はA型と同じだが、線が太い。足の吸盤も下部が若干しぼられた形をしており、口が長い。足のモールドの位置がA型と違っている。吸盤の凹部がない。線の太い青箱(D型)に入っていたのが確認されており、製造工場がちがう可能性がある。詳細は「純製新型の分類」を参照されたい。

●純正新型(後期・小C型)(←小B型に含める)

吸盤の凹部や足のモールドなど、スッポリ小B型と大変良く似ているが、顔が小A・B型と若干違っていること、足吸盤内の肉抜きの直径がB型よりも小さいことから、別種とした。小B型と太目型破損と一緒に見つかり、純正として入手したという証言を得た。B型系の亜種と考えられる。(小B型つながり目であることを確認し、小C型という分類を廃する事とした)

●純正新型(後期・大A型)

親ダコと呼ばれていた。頭部は大きく上部に半球形の突起を持つ。表情がそれまでの純正と違う。これはプラ製だがゴム製で頭部がくびれた前期型も存在するらしい。箱入りの殆どがこのタイプで最後期の姿と思われる。

●純正新型(後期・大B型)

同じ親ダコだが口の位置が低く、頭の突起の幅が広くなっている。A型に比べ丸みが多く、吸盤の凹部がなく、付け根が細い。足も若干しぼった小B型に通じるものがある。表情は大A型と同じものだが、若干の違いがある。

●純正新型(後期・大C型)

大A型よりも若干背が低く、口の位置が低い。同じ表情のものA型にもあるが、描き方が違う。どちらかというと大B型に近い顔だが、頭のくびれがいちばん少なく吸盤も小さい。太目型破損型と素材的に近く、大B型の亜種と考えられる。

●純正新型(後期・大D型)

小B型と同様の、純正の線の太いイラストのある箱に入って見つかった。大B・C・E型に同じ顔があるが詳細に比較すると別の型から作ったことがわかる。形態的には大B型と大C型の両方に似た部分があるため、別種とする。A型以外のスッポリは全て一つのグループである可能性もある。

●純正新型(後期・大E型)

大D型と同じ素材であるが、吸盤のサイズが小さい。全長と付け根の太さは大B型と大D型の中間的な形態を持っている。吸盤が小さいところはC型にも似る。怒り目が発見されたが、吸盤が大きいD型にも見つかっており、非A型の分類は未だに確定できていない。

●パチモンA型

パチモンで、ガチャガチャに入っていたと思われる。脚も口も長く、吸盤の深さが非常に大きく吸着力が強い。エンボスで、泣き眠り目1種類しかなかったが、最近になって、普通目・ウインクも見つかった。A2型と同じ白目も見つかった。ウインクの発見により、泣き眠り目と普通目しかないB・J型からの派生では無いことがわかった。青と緑、赤が見つかっている。

●パチモンA2型

最近オークションで泣き目と白目の2個入手した。泣き目の形がA型と殆ど同じにも関らず、吸盤が扁平で直径が大きい。材質もこちらの方が少し硬め。A型の方が本体直径が多少大きいので、A型の顔の部分を元に型取りし、新型の吸盤をつけたものと考えられる。白目は瞳の表現がない。青と緑が見つかっている。

●パチモンB型

パチモンで、残っているもののひとつの吸盤にゆがみがあるので、ガチャガチャに入っていた可能性がある。口よりも脚の方が長いのが大きな特徴。顔は彫り込みでない。顔は普通目と泣き眠り目の2種で、J型とB型にのみ見られるクリアピンクが発見されたことから、J型の系列とした。緑と黄色と赤がある。

●パチモンB2型

パチモンB型と同じプロポーションだが、顔がない。色はJ型と似ている赤とピンクが見つかった。同時にJ型の顔のないもの(J4型)が見つかっており、B型とJ型の深い関連性を示すものと思われる。

●パチモンC型

パチモンで、駄菓子屋で袋入りで売られていた。H型(大形)2個、C型3個が50円くらいで、台紙に12袋くらいがホチキスで留められており、駄菓子屋の壁に下っていた。後述のように、大型のタイプ(H型)もある。クリアな材質で、脚に比べ口が長く、顔は彫り込み。C2型と同じ小台紙についた物が見つかった。同じ小台紙とH3型(目の位置が口と足の吸盤の間にある)とのセットでも見つかった。

●パチモンC2型

C型と同じ顔の型で作られているが、素材は透明度の高いクリアー素材で柔らかく、吸着力が強い。口と足が若干C型よりも短い。「別冊太陽」の写真に写っている台紙が一緒に見つかった。普通目とウインクと怒り目、泣き眠り目が11個入った、「タコチュー」というケース入りが見つかった。

●パチモンD型

ガチャガチャに入っていたと思われる。C型と似たプロポーションを持つが、脚が若干短い。顔は彫り込みでなくエンボスされている。材質はクリア。I型同様、色が赤・青・黄(不透明)の3色で、顔はC型の泣き目に似た一種類しか見つかっていない。クリアの黄色が最近になって入手された。

●パチモンE型

材質はクリアだが、口と脚がどちらも長い。最大の特徴は顔がないことで、形状のみのコピーという安易なパチモンであると思われる。確か、ガチャガチャで入手したように思う。当時からある青の他に最近になって黄色が見つかった。

●パチモンF型

材質は純正後期型に似るが、脚と口は短く吸盤は厚い。顔は彫り込みでなくエンボスで、純正と違うラフな造形になっている。チュチュたこと言う名称で、J2型2個、F型3個が小台紙にブリスター入りで売られていたことを確認した。大台紙は「チュチュ たこちゃん チュ!」という名称だった。顔は12種類が見つかっており、同じ顔にも型違いが発見された。台紙イラストはC・H型の影響が見られる。

●パチモンG型

材質は水に浮く。脚と口はほぼ同じ長さで吸盤は厚い。顔は彫り込みでなくエンボスで、純正と違うラフな造形になっている。顔は普通目と笑い目の2種で、色は緑、青、黄色、赤、オレンジの5色が見つかっている。UFOケシゴマに入っていた。色と素材と顔の特徴から「スペースインベーダーに入っていたK・L型と同系統の可能性が指摘されたが「たこちゅうセット」の発見で、同系列である事がわかった。後に緑が見つかり6色の存在が確認された。

●パチモンH型

パチモンC型の大きいタイプ。脚よりも口の方が長くC型とプロポーションも似ている。顔はC型同様、普通目・怒り目・ウインク・泣き眠り目の4種である。台紙付き袋入りで、H型2個、C型3個がセットになって売られていたのを確認した。

●パチモンH2型

H型とおなじ顔の型で作られているが、素材が透明度の高く柔らかい素材で出来ている。H型の素材違いバージョンと思われる。H型に比べて口も足が短い。吸盤は扁平で大きく大変吸着力が強い。「別冊太陽」の写真に写っている台紙と一緒に発見された。

●パチモンH3型

H型とおなじ顔の型で作られているが、顔が足と吸盤の間に上下逆に入っている。色はH型の黄色と同じだが、吸盤の形状はH2型に近く、口の長さはH2より若干長い。C型とH型と同じ台紙とC型と一緒に濃い青と赤も見つかり、このロットの大型の標準形と思われる。顔の部分だけの押し型があったことをうかがわせる

●パチモンI型

脚と口の長さがほぼ同じで、吸盤が扁平になっている。顔は彫り込みではない。材質はクリア。ガチャガチャに入っていた。この型の吸盤のものはいままで全て同じようなウインクしかないため一種だけなのかもしれない。色はD型同様、赤・青・黄の3色があり、最近になってクリア黄色が見つかった。

●パチモンJ型

脚と口の長さがほぼ同じで、吸盤の深さが非常に大きく吸着力が強い。先端部が円筒状になっているのがJ2型と違う。色は赤と白、クリアピンク、緑、黄色が見つかっている。顔は彫り込みでなくエンボスで、泣き目と普通目の2種類が確認されている。B型と同じ系統であると考えられる。

●パチモンJ2型

J型より脚が長く、吸盤の深さが非常に大きくラッパ型。顔は彫り込みでなくエンボスで8種類あり、顔のデザインが稚拙でパチモンF型と近いラフな作りになっている。色は緑、クリア緑、黄色、赤、朱の5色。緑色の素材がJ型に大変良く似る。チュチュたこという名称でF型とセットになったものが見つかった。台紙イラストからC・H型からの影響が強いことが分かってきた。

●パチモンJ3型

脚と口の長さ非常に短い。顔は彫り込みでなくエンボスで、J型の普通目よりも目が円に近く、素材もJ型の緑に似る。最初に見つかった緑の他に赤と黄色が見つかり、似たような形態で同じ普通目1種類しかない小型のもの(O型)とセットで「たこちゅう」という商品名で売られていた。B・J型を真似たものである可能性が高いと考えられる。

●パチモンJ4型

パチモンJ型と同じプロポーションだが、顔がない。色はJ型と同じ緑色と濃い青の2色が見つかっている。B型にも顔のないもの(B2型)が見つかっており、B型とJ型の深い関連性を示すものと思われる。

●パチモンK型

スペースインベーダーに入っていた。パチモンには珍しく水に浮く素材。足と口はほぼ同じで顔はエンボス。大きさが大タコチュウよりも小さく、同じ系統のL型よりも大きい。素材と顔の特徴からG・L型と同系統と思われたが、「たこちゅうセット」に3種が入っていたことから同系列と確かめられた。色は赤、青、黄色、オレンジ、白の5色、顔は怒り目と眠り目の2種がある。最近見つかったスペースインベーダーに、緑色が見つかった。

●パチモンL型

スペースインベーダーに入っていた。UFOケシゴマにも入っているのが見つかった。パチモンには珍しく水に浮く素材。足と口はほぼ同じで顔はエンボス。眠り目と泣き目の2種が確認されている。色は赤、青、黄色、オレンジ、白の5色。大きさが同じ系統のL型よりも小さく、純正より大きい。「たこちゅうセット」に3種が入っていたことからG・K型と同系列と確認された。

●パチモンM型

非常にラフな作りのパチモンで、本体が楕円形、足が円錐状で独特な外観を持つ。顔はエンボスの普通目。足に放射状の足を現す線が入っている。これは純正にしかない特長で、純正を模して作ったものと考えられる。「たこチュー」という商品名で、台紙に30袋、タグ付き小台紙入袋に、赤・黄・緑・黒が各一個ずつ入って50円で売られていたことがわかった。

●パチモンN型

本体が四角でその四隅に吸盤があるという形状がタコチュウのパチモンと言えるか微妙だが、当時、ガチャガチャに入っていた記憶がある。バリが多くラフな造形である。カクチュウ、ロボチュウ等と呼ばれていた。ガチャ台紙にはロボチュウと書かれていたという証言を得た。ピンク、紫、黒、水色、黄色が見つかった。赤もあったようである。

●パチモンO型

J3型と一緒に見つかった。J3型と似て吸盤の付け根が短く、顔はJ3型同様に普通目しか見つかっていない。色は緑と黄色、赤の3種が見つかっている。J3型2個、O型2個が小台紙袋入りで「たこちゅう」という商品名で売られていたことが判明した。

●パチモンO2型

小台紙袋入りでJ3型2個、O型2個が「たこちゅう」という商品名で大台紙に留められているのが確認された。その中のO型一部が脚吸盤の付け根が短いタイプである事がわかり、O2型と命名し別種とした。顔はO型同様に普通目だけだが、瞳は下寄りになっている。色は緑と黄色、赤の3種が見つかっている。

●パチモンP型

J型と一緒に、C・H型の小台紙と酷似した小台紙袋入りで見つかった。足と口の付け根がほとんどなく、本体は大きめでラフな仕上がりになっている。色は緑と白系、赤とクリアピンクが見つかった。顔は普通目のみが確認されている。 B型と同じメーカー製と思われる。

●パチモンQ型

脚が省略された特異な形状を持つパチモンである。本体は純正より大きく一般的な大型パチモンより小さくK型に似る。色はクリア緑、クリア紫、ピンク、黄色の4色で、ラフなデザインの顔が9種類見つかっている。蛸壺状のプラスチックケースに入っており、ガチャで売られていた。出品者によると、発売は1990年代後半で、たこちゅうと平成の復刻の間を繋ぐものであると思われる。

●パチモンR型

立方体の本体に3つの吸盤を持つ。色は蛍光ピンク、赤、黄色、白の4色が見つかった。Wに顔のロゴのある、J・P型と同じの小台紙袋入りで見つかった。4吸盤のN型よりもしっかりした造形である。

泣き顔のバリエーション

※表情が彫り込まれている例

上段左からパチモンH型、パチモンC型

下段左から純正最初期型、純正後期型、初期型のバリエーションと思われるもの

※表情が盛り上がっている例

左からパチモンJ型、パチモンA型、パチモンD型

純正後期型の同一箱内の異タイプ

最晩期やスッポリの箱入りは珍しくないが、それ以前の型の箱入りはほとんど入手できなかったが、最近入手した純正後期の2個入った赤箱には、吸盤の付け根の形状の違うものが一個ずつ入っていた。このことから、口の付け根の形状の違いは生産場所等の決定的な違いではなく、ひとつの型内での異タイプか、少なくても同じ系列の工場での生産であることが想像される。口の形状が違っても表情は同じなので、そのことからも近似性が読み取れる。

A型とA2型の吸盤の形状の違い

左側がパチモンA型と分類したもので、右側が今回入手したパチモンA2型と分類したタコチュウ。顔はエンボス泣き目で酷似している。足の長さもほぼ等しい。だが、吸盤の形が違う。
後から見ると左側のパチモンA型よりも右側のパチモンA2型の方が吸盤が扁平であることがわかる。A型の方が本体部分の直径が多少大きい事から、A型を元にA2型を作った可能性が考えられる。純製品を元にパチモンを作るだけでなく、パチモンを更にコピーした場合が考えうることの旁証となると思われる。

B・J型と同型顔なしのB2・J4型の違い

左側がパチモンJ型(大)・B型(小)と分類したもので、右側上が今回入手したJ型・B型の顔なしである。J型とB型は足と口の長さ違うが、同時にそれぞれの顔なしが発見されたということは、この2種類の製造工場等に密接な関係があることが窺われる。最初は顔を付けていたが、デザインの盗用が問題になるようになって顔をなくしたものか、タコチュウの形状を真似たものに、更に顔を追加したのかは不明である。しかし、吸盤の付け根を中心に同心円状の溝が本体に見られることから、顔を削った可能性が高いとも考えられる。

H型とH2型の吸盤の形状の違い

左側がパチモンH型と分類したもので、右側が今回入手したパチモンH2型と分類したタコチュウ。顔は彫り込み部のムラまで全く同じであるので同一の型から作られたものと考えられるが、吸盤の形と大きさが違っている。今回発見のH2型のほうが直径が大きく、深さが若干浅い。
後から見ると左側のパチモンC型よりも右側のパチモンH2型の方が吸盤が扁平であることがわかる。足も口も根元の部分がH2型のほうが若干短い。このことから、A型とA2型の場合と同様、顔の部分の同じ型を使用し、吸盤の部分だけ別に作ったと考えられる。

G1型とG2型の吸盤の付け根の長さの違い

UFOケシゴマに入っていたタコチュウには、パチモンG型と非常に良く似ているが、良く見ると口の付け根の長さが違うものが有ることがわかった。また、短いほうもパチモンG型と微妙に違う部分があるため、付け根の短いモノをG1型、長いものをG2型とする。

他のタコチュウと大きさの違うK型とL型

スペースインベーダーに入っていたK・L型は、他のタコチュウと大きさが違い、大型と小型の間を埋めるサイズである。(左からパチモンJ2型、パチモンK型、パチモンL型、純正後期型)

附)タコチュウ派生一覧表

附)純製新型の分類

附)純正タコチュウの分類に関する新考察

附)純正タコチュウの分類に関する新考察(増補)

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