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やっぱり!そうだと思ってたんだ

合体333(スリー)とUFO軍団

最近でこそ見かけなくなったが、ほとんどの喫茶店にはテレビゲームの匡体が置いてあった。

その流行の先駆けとなったのは1978年に登場した「スペースインベーダー」で、

当時はだれもが100円玉を積んで背を丸めて高得点を競っていた。

まあ、一回100円のゲームなんか、子供にとっちゃぁ高値の花ですよ。

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ちょうど同じ頃、UFOブームが巻き起こった。

テレビでは特集番組が毎週のように放映され、様々なUFO玩具も発売された。

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で、菓子のオマケの世界も、駄玩具の世界も、宇宙ものブームが到来した。

1970年代の中盤はウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズが一段落し、

次の宇宙戦艦ヤマトやロボットヒーローものブームのちょうど狭間にあたり、

本格化したキャラクタービジネスから版権使用料の上昇に見合うだけの訴求力がなくなったためか、

オマケの世界もオリジナルキャラクターが様々に作られた時期であった。

明治合体チョコボールなどもその流れで、駄玩具などにも波及して行った。

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そのような状況を背景に販売されたと思われるのが、スペースインベーダーと名付けられた駄玩具セットである。

車輪付きのUFOとパチモンタコチュウが4個、それに合体する飛行機のプラモ3機がセットになっている。

メーカーロゴはないが、右上にSTマークが入っている。

このパチモンタコチュウは当時はみたことがなかったタイプのものであった。

4つのうち、2個ずつ大と小があった。

大きい方をK型、小さい方をL型と名付けることにした。

目のラインは盛り上げて表現されており、L型には、眠り目と泣き目の区別があった。

素材は水に浮く素材であった。

左からK型、L型、純正

どちらも純正と比べて大きく、しかし、他の種類のパチモンの大きいサイズのものよりは小さかった。

左からJ2型、K型、L型、純正

他のタコチュウのパチモンは、(G型と名付けた1種類を除き)水に沈む素材で作られており、

もとになった純正の顔がわかるパチモンは(パチモンF・J2型はラフなためわからない)、

どれも泣き目と眠り目の区別がなく、泣き眠り目と名付けた目立ったので、

このK・L型は、今までのパチモンとは別の系統であるということができる。

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当時から1個だけあったG型と分類したパチモンは水に浮く素材で作られていた。

G型

熱に由る変型か経年劣化で多少顔のラインのエッジが甘いが、同じ顔の小型パチモンが

UFOケシゴマ」という駄玩具に入っているのを発見した。

UFOケシゴマ

このタグには丸に産の字が入っているマルコー産業のロゴが確認された。

このG型は目がエンボスになっており、水に浮く素材で作られていることから、

先のK・L型との共通点が多く同じ系列では無いかと考えた。

その後、某クションで、このG型とK・L型がセットで見つかり、G型とK・L型が同じ系列であり、

「スペースインベーダー」というセットもマルコー産業の商品ではないかと考えるに至った。

前列からG型、L型、K型

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で、ここからが本題です。

恒例ですが、前段が長いです。

でも、ここまでの話を理解していないと、この先、絶対わかりません。

わかったからどうなるってもんでもないですけど。

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「スペースインベーダー」に入っていた3種類の「追跡機」は

台紙付きの完品から、「スリーウオーズ」という名称で売られていたことがわかった。

台紙にはメーカーロゴは見られない。

「合体基地」も台紙にロゴはなかったので、台紙にロゴを入れない場合もあるらしく、

この「スリーウオーズ」もマルコー産業製である可能性があると考えられた。

コピーには「1号、2号、3号、をあつめて、いろいろ合体してみよう!!」とあるが、

「いろいろ」、「合体」は「合体基地」にも使われたワードで、このことからも同じメーカーの商品ではないかと思われた。

ただ、小台紙は黄色一色のベタに、黒い線画が描かれていた。

これは、「三重丸にイ」のロゴがあった、ミニUFO 遭遇消しゴムの小台紙のデザインにも見られる特徴である。

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「マルコー産業」と「三重丸にイ」。

それぞれの特徴を持っているこの駄玩具のメーカーを確定する資料が新たに発見された。

商品名は「合体333(スリー)」。

ヒモを通す穴が上部にある台紙にブリスターがホチキス留めされている。

中身は例の追跡機と同じ物でカラーはスリーウオーズと同様に、青、金、銀の3色であった。

台紙の右下に、マルコー産業のロゴが入っている。

イラストは星が散在する宇宙(?)に3機が合体しているところが描かれている。

これはスリーウオーズの台紙イラストに非常に似ている。

また、かなり簡略化されているが、「スペースインベーダー」のパッケージイラストにも描かれている。

コックピットのハイライトや、影の付け方など、非常によく似ている。

ほぼ同じアングルで描かれている。

しかし、重ねてみると羽根の角度が微妙に違い、それぞれ別に描かれたものであることがわかる。

裏面に描かれている合体図はスリーウオーズの小台紙よりも詳しい。

台紙の表のイラストも、裏面の合体図も、このパッケージのために製作されたものであることがわかる。

STマークもちゃんと入っている。

STマークの研究の結果、アルファベットは団体の略称、次の3桁がメーカーコード、次の1桁が昭和の年号の下一桁を表すことがわかった。

この4桁目は昭和54(1979)年を表す。

最近、この合体333(スリー)の別バージョンを入手した。

合体333(スリー)別バージョンとそのSTマーク、メーカーロゴ

STマークから、団体、メーカーコードが前と違うが、ロゴはアルファベットでMARUKOである。

登録は昭和52年なので、先のバージョンよりも2年も早い。アルファベットロゴは正式なロゴではないのか、あるはK(日本文化用品安全試験所か?)から申請する時はコードが違うのか。この辺の大人の事情は今となってはわからない。

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スペースインベーダー」に入っていた追跡機がマルコー産業製であることがわかった。

一緒に入っていたパチモンタコチュウK・L型も同社製であろうことは、

似た素材で作られたG型が、マルコー産業のロゴがある「UFOケシゴマ」に入っていたことからも考えられるが、

その仮説を一層強くするということができるサンプルが発見された。

「UFO軍団」という商品名で、台紙にブリスターパックになっている。

中にはブリキのUFOが2台と、「UFOケシゴマ」が入っている。

大きなUFOは「スペースインベーダー」と同様に、走らせるとコックピット部分が回転して中の小さな鉄球が動く。

羽根の有無はあるが、機体の直径は同じでコックピット部分の透明パーツとそれを支える部分も同じものが使われている。

台紙の大きさも同じで、どちらもヒモを通すための穴がある。

左が「UFO軍団、右が「スペースインベーダー」

「UFO軍団」にもSTマークが付与されているが、この番号がなんと!!「スペースインベーダー」と同じであった。

左が「UFO軍団」、右が「スペースインベーダー」

玩具安全基準の審査をどのようにするのかはわからないが、

少なくとも同じメーカーの製品で行われると思われることから、どちらもマルコー産業の製品であると考えられる。

先日新たにスペースインベーダーを入手した。

UFO玩具の本体カラーが違う他は特に珍しいものではないが、

宇宙人として入っていたパチモンタコチュウK型に緑が見つかった。

K・L・G型には緑が少なく、この他にはG型が3個見つかっているだけである。

今回入手されたスーペースインベーダー

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さらに決定的は証拠が発見された。

UFOケシゴマ」には、一番小さいサイズのG型が入っているのは見つかっていたが、

先日、中位の大きさのL型が入った「UFOケシゴマ」が発見された。

タグは同じ物で、マルコー産業のロゴも入っていた。

G型に引き続き、L型でもマルコー産業のロゴが発見され、

スペースインベーダー」においてL型と一緒に封入されていたK型も、マルコー産業製であることが確かになった。

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以上の事から、パチモンタコチュウのG型(「UFOケシゴマ」)と

パチモンタコチュウのK・L型(「スペースインベーダー」)は、どちらもマルコー産業製で、

同じ系列であることが立証された。

今までにK型は怒り目と眠り目の2種、青、赤、黄色の3色、

L型は泣き目と眠り目の2種、青、赤、オレンジの3色、

G型は普通目と笑い目の2種、青、緑、赤、黄色、オレンジの5色が見つかった。

ぜんまい太郎氏がフリマでK・L・G型がまとめて入っている

帽子型プラスチックケース入の「たこちゅうセット」を発見してくださった。

たこちゅうセット

この中にはK・L・G型が各7個ずつ入っており、青、赤、オレンジ、黄色、白が3種すべてに見つかった。

G型の緑が2個発見された。また、大型中空顔ありパチピコが2個ずつ入っていた。

後列からK型、L型、G型

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マルコー産業は明治製菓の「明治合体チョコボール」や「ピコタン」だけでなく、

ロッテの「たこちゅう」のパチモンも作っていたことがわかり、

大手製菓メーカーのオマケのパチモンを広範に渡って作っていたことが一層はっきりした。

今の常識で考えれば問題がないとは言えないが、

当時の少なくともこの一時期、かなり積極的にパチモンを製造していたメーカーがあったことがわかった。

このようなメーカーが複数あったため、たこちゅうやピコタン、明治合体チョコのパチモンの複数の型が生まれたのである。

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もう時効ですよね。今になって言われても困りますよね。

いいじゃないですか。

30年以上も昔の話ですよ。

当時関わってた人だって定年で居なくなってますよ。

だからこそ、残った化石のようなブツをじっくり観察することで、自分しかわからない謎を解決する

迷宮を旅するような愉しみが味わえるんだから。

わっかるかなぁ、わっかんねぇだろうなぁ。

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