附)タコチュウ派生一覧表

「たこちゅう」は純正がゴム製からプラ製へ、そしてスッポリシリーズへと変遷する一方、いくつかの系列でパチモンもでき、お互いに影響しながら派生していったようで、手元のタコチュウを仔細に分析して以下に示すような派生図を作成した。資料数も限られていて、メーカー等の資料がないため、飽く迄手持ちのタコチュウでの分析であり暫定的なものである。

※分類名称等はタコチュウ分類一覧表を参照のこと。

※パチモンの分類に関してはタコチュウの分類に関する一考察を参照のこと。

(1)純正初期型

材質は水に浮かぶ素材で水色、黄色、濃い赤、オレンジがある。顔の種類は普通目、ウインク、怒り目、泣き目、眠り目の5種類。吸盤の付け根や形などの違いでいくつかのバリエーションがみられる。

(2)純正後期型

材質が水に沈むものになった点以外は、初期型と同じ。色は水色、黄色、赤、オレンジと、緑と黒が増え6色になった。顔の種類は5種類。初期型と同じ型を使ったものらしく、吸盤の付け根などの違いはこのタイプでも同様に見られる。なぜかオレンジは濃淡が見られる。

(3)純正最後期型

材質は水に沈む素材だが、初期型・後期型とは違う型を使ったものである。表情は普通目、ウインク、怒り目、泣き目の4種類が見つかって眠り目がなくなっている。それまでのものに比べて一層細い目になっている。スッポリ型と同時期に出現したらしく、スッポリの箱入りと一緒に残っていることが多い。色は赤と水色のみ。

(4)純正太目前期型

目が他の型に比べて大きくはっきりしている。色は水色、黄色、赤、オレンジで水に浮かぶ素材で作られている。純製の別バージョンで、出現数は多くない。純正前期と同時期に流通したもので、製造工場等の差異に因るバリエーションの可能性が高い。

(5)純正太目後期型

水に沈む素材の太目で色は水色、黄色、赤、オレンジ、緑と黒の6色があったと思われる。かとう博士の記憶によると、スッポリが出る前に、細目の純製後期より太目のプラが多かった時期があったそうである。太目後期型は緑と黒にしか確認されてなかったが、先日、オレンジが確認されたことにより、残りの三色の存在も推測される。出現数は多くなく、地方によって、供給数に違いがあった可能性がある。

(6)純正太目型破損(旧称 パチモンO型)

純正太目に似た顔を持つプラ製タコチュウで、色は緑と黄色、オレンジで、素材は後期型に似ている。吸盤が小さく、足の吸盤には純正には見られる足を表すモールドがない。純正と同じ5種類の顔が見つかっているが、純正太目型をもとに新規作成されていて、純正の亜種と考えられる。スッポリ大C型系と一緒に入手されたこと、赤箱A型に純正と一緒に見つかること、非A型スッポリと同じ系統ではないかと考えられる。

(7)スッポリ初期型

(参考画像) 特殊な形状のタコチュウで、純正後期の後に出現した新型だった。ゴム製のものがあったというが未だに見つかっていない。そのゴム製をもって初期型とする。額に横縞のある二重丸の顔(シワチュウ:写真参照)が多く、色は赤、黄、オレンジ、緑があったらしい。後期よりも大きさが若干小さかったらしい。

(7-2)スッポリ後期型→A型

顔の種類が多く、大型は6種類、小型は12種類が見つかっている。色は大は赤と黄色が多い。小は緑、黄色、オレンジが主で、青が稀に見られる。大きいのは一箱に1個、小さいのは2個入っていた。純正最後期型と一緒に見つかる事が多く、青箱A型、緑箱A型と命名したタイプの箱に入って見つかっている。出現数が多く、基本的なタイプと考えられる事から、スッポリ大A型、スッポリ小A型と称することとした。、

(7-3)スッポリ太目型(スッポリ小B、大B型)→非A型

顔の種類はスッポリA型と同じであった。色は赤と黄色、青が見つかっている。口の吸盤の大きさや付き方、吸盤の凹部がないこと、脚部に肉抜き穴があること等、形状的にも多くの差異がある。大の青は吸盤の凹部がないこと、スッポリ太目型に形状の特徴が似ていることから、太目系の大型と分類することにした。純正後期や型破損タイプと一緒に見つかる事が多い。緑箱B型に大型が、青箱B型に小型が2個入って見つかる事が多い。これらの大小と、C型以下のバリエーションを含めて、スッポリ非A型と称する事とした。

(7-4)スッポリ大C型

直径の大きな肉抜き穴と中央の凹部のない口吸盤を持ち、足の吸盤の水かき部分が小さく形態的な特徴はスッポリB型に似ているが、素材は純正後期に近い。A型、B型とどちらともちがい、B型の亜種と考えられる。純正たこちゅうと、太目型破損タイプと一緒に見つかった。太目型破損は純正だったということから、これも純正の一亜種であると考えるのが適当であろう。

(7-5)スッポリ小C型(→分類変更:スッポリ小B型に含む)

足の吸盤のモールドが口の吸盤を挟む位置にあり、口の吸盤の凹部がなく、形態的には小B型に似ている。しかし、足の吸盤内の肉抜き穴の直径がB型に比べて小さい。小B型は小A型の顔と全く同じデザインで、線の太さと配置のバランスのみが違っているが、この小C型の顔はA(B)型の2種の顔の間を取ったようなデザインになっている。現在、1個しか見つかっていないため、これ以外にも種類があるのかは不明である。太目型破損と一緒に見つかっており、純正として入手されたという証言を得たことから、純正の第3の系統である可能性が高い。(→スッポリ小B型のつながり目であることが確認された。)

(7-6)スッポリ大D型

スッポリ小B型が入っていた別バージョンの箱と同じイラストで、色違いのもの(青箱B型)に入って見つかった。スッポリ大B型にも同じ顔のものが既にあり、側面形状も似ているが、リボンの部分のモールドがB型と若干違っており、別の型で作られたものと思われる。口吸盤の付け根の太さや、吸盤の直系、前傾姿勢でB型よりも全長が小さいというC型との共通点も併せ持っているため、一応別種として分類した。顔はリボン、縦結び、怒り目の3種類が見つかっている。C型と同じ系列で、顔が違うものである可能性もあるが、現状では確定できない。(→非A型スッポリタイプの再検討

(7-7)スッポリ大E型

スッポリ大B型とスッポリ大D型の両方の特長を併せ持っている。吸盤はB型・D型よりも小さく深い。口吸盤の直径は、むしろC型に近い。背の高さはB型とD型の中間で、吸盤の付け根の太さも両者の中間的なサイズになっている。酷似した怒り目の顔を持っていながら口吸盤が大きなD型が見つかっており、大D型と大E型が別種とするべきか、ロットの違いによる亜種的なバリエーションなのかを判断するには至っていない。非A型のスッポリ型の分類は今後に課題を残すものと言わざるを得ない。(→非A型スッポリタイプの再検討

(8)C・H型

色は5種類、顔は純正初期型を忠実にコピーしてあり4種類もある。眠り目と泣き顔が区別されていなく、中間的な眠り泣き目になっている。顔は純正同様彫り込みになっており、最も純正を意識し、近いものにしようとしたのがうかがわれる。これは駄菓子屋で、タグ付き袋入りで50円くらいで売られていた。小だけで7個、大入りのは大2個・小3個が一袋だったと思われる。H型(大)の大きさはK・L型以外の大型タコチュウとほぼ等しく、大型パチモンのサイズの標準となったのではないかと考えられる。色は赤・黄色・青・緑・黒で、濃さに多くのバリエーションがある。

(8-2)C2・H2型

顔はC・H型と同じだが、素材が透明度の高いクリアーな柔らかい素材で、H2型は足や口が短い。吸盤がC・H型よりも扁平で、吸着力が大変強い。顔はC2型が普通目、ウインク、怒り目、泣き眠り、H2型は怒り目と泣き眠りが見つかっているが、H型と同様に、4種類の顔あると思われる。「別冊太陽」の画像によると、小台紙付袋入りで、大小2個ずつが入っている。色は赤・黄・黄緑・オレンジ・黒があるように見える。「タコチュー」という商品名でプラケース入りのC2型の11個セットが見つかった。色は緑・紺・赤・オレンジ・クリアピンクで、色の濃度に多少のばらつきがみられた。

(8-3)H3型

顔はH型と同じだが、口と足の間にある。素材はH2型に近い柔らかい素材だが、色はH型の黄色に等しい。吸盤形状はH2型とほとんど同じだが、口の長さがH型よりは短いがH2型よりは長く、素材・形態ともH型とH2型の両方の特徴を持っている非常に特異な存在と言うことができる。一個だけで入手したため他の顔や色があるかは不明。この位置に顔のあるものは他になく、どのような要因でこのような型の作り方になったかは全く想像できない。近年、H3型の青と赤がC型4個と小台紙と一諸に見つかった。H型の型が無くなったため、怒り目のH3型が1種類だけ作られたもののようである。

(9)G・G2・K・L型

色はG型・K型が6色、L型が5色で、顔は一番大きなK型が怒り目と眠り眼、中間のL型が、眠り目と泣き目、小さなG型系列が普通目と笑い目である。眠り目と泣き目が区別されているパチモンは他になく、そのことからも他のパチモンとは別の系統ではないかと考えられる。大きさも、純正とほぼ同じG型以外は一回りずつ大きくなっており、H型を初めとする他の大型パチモンよりも小さい。顔はエンボスではあるが、かなり純正に似せようとした努力は見られる。ガチャガチャの他に、「UFO消しゴマ」や「スペースインベーダー」といった駄菓子屋玩具の中に入れられて売られていた。

(10)D・I型

材質はクリアで、赤、青、黄色の3色で、大きなI型はウインク、小さなD型はH型に見られる泣き眠り目の一種類ずつである。吸盤形状は違うが、どちらもガチャガチャで同時期に入手したこと、3色とも材質が非常に近いことから、同一の系統であると考えられる。顔はエンボスで線は比較的細く、ウインクのつむった目はH型と同じく純正初期型を模したまつ毛が多いものになっている。最近になってI型・D型のクリア黄色のが某ショップで発見された。

(11)B・P・J型

材質は柔らかく、吸着力が強い。大きなJ型と標準形のB型は、泣き眠り目と普通目の2種が見つかっている。これらが同じ系統であることは今迄気が付かなかったが、「たこちゅう」という商品名でプラケース入りが見つかったことにより、全体のプロポーションが似ていないが、同じ系統であることがわかった。これにはWに顔のロゴマークがあった。また、同様なロゴ入りでC・H型の小台紙に似た小台紙袋入りで、J型とラフで付け根が短いP型のセットが発見された。これにも同じロゴがあった。同じメーカーで純正に準じるサイズが2種類あるのは、この系列のみである。B型についてはガチャガチャでも入手した覚えがる。色は赤・黄色・緑・クリアピンク・白があり、P型とのセットは白っぽい緑やクリーム色も見つかっている。

(11-2)B2・J4型

上のB・J型と同じプロポーションであるが、顔がない。材質もB・J型に大変良く似て吸着力も高い。口の根元を中心に本体に同心円状の溝があることから、B・J型から顔を削り取ったものと思われる。この削除の理由は、意匠権等の規制が強くなり、顔を無くして規制を逃れようとしたものか、あるいは、型が他の業者に流れたため一部変更したか、といった理由が考えられるが、真相は不明である。

(13)F・J2型

J2型の赤と緑がJ型に大変良く似ているため、同一のタイプとしていたが、材質がJ型より若干硬めなこと、吸盤がラッパ状に広がっていること、顔がオリジナルをほとんど意識していないラフな造形であることから、別種とすることにした。「チュチュたこ」と言う商品名で、小台紙にブリスターをホチキス止めした中に、F型3個、J2型2個が入ったものが発見されて、F型と同じメーカーのものであったことが確認された。「チュチュ たこちゃん チュ!」という大台紙に「チュチュたこ」が12個付けられたものも見つかった。顔はF型が10種、J2型は8種が見つかっている。F型には型違いがあり、種類数は確定できていない。見つかった台紙のイラストはC・H型の影響が見られる。

(14)O・J3型

素材にはJ・J2型系と似ているが、吸盤の付け根が非常に短く、普通目がJ型と違い丸い目をしていることから別種とした。本体後半部が若干薄く絶壁頭であり、吸盤も厚く真円性が低く、あまり製造技術が高くないように見える。本体の直径も他のJ型系に比べ若干小さい。ガチャガチャで入手されたといわれるJ3型の緑が見つかり、後にJ3型の赤と黄色、同じ普通目の小型の緑と黄色が見つかった(この小型をO型とする)。「たこちゅう」という商品名で、J3型、O型が各2個ずつはいった、小台紙袋入りが12袋付けられた大台紙が見つかった。両タイプとも、緑・黄・赤の3色が確認された。O型は型違いが見つかり、脚吸盤の付け根が短い方をO2型と命名した。台紙のデザインからもB・J系列を真似たパチモンのパチモンである可能性が高まった。

(15)A・A2型

A型は直径の大きな吸盤を特長とする。吸着力が強く柔らかい素材で、泣き眠り目しかなかったためJ型系列と思われたが、B型のほうがJ型に近いことがわかった。厚みのない吸盤を持ったA2型が発見され、泣き眠り目と白目があったことからJ型の派生型と考えたが、近年、A型に普通目とウインクが見つかりA型にも白目が見つかったため、少なくともA・A2型についてはJ・B・P型と同等の位置にあるものであることがわかった。

(16)E型

当時ガチャガチャで入手したように思われる。B2・J4型が見つかるまで唯一顔のないタコチュウであった。足と口の長さも大きな特徴がなく、派生関係は不明だが、クリア系の素材と吸盤の大きさからH・C型からの派生であると思われる。青が1個しかなかったが、最近某クションでクリアイエローが見つかった。ピコタンには多くの顔無しパチモンが存在するが、タコチュウには少ないのはどういう理由なのか、今後の研究を待ちたい。

(17)M型

非常にラフな造形のパチモン。他のタコチュウは全て本体は球体に近いが、唯一これは本体が歪んだ玉子型をしている。足の付け根に円柱状の部分がなく、円錐形の一体化した吸盤が付いている。足には放射状のっ線がエンボスされているが、これは純正たこちゅうにのみ見られる特長で、オリジナルに近い派生型と考えられる。顔はエンボスの普通目一種類しかみつかっていない。近年、「たこチュー」という名称で、小台紙入りタグ付きが30袋、大台紙に留められているのを見つけた。黄色、緑、黒、赤の4色が1個ずつ入って50円だったことがわかった。

(18)N型(4吸盤カクチュウ)

これもガチャガチャに入っていた記憶がある。あまりに特異な形状なのでタコチュウのパチモンとしていいかどうか悩むところではある。本体が立方体でその四隅に吸盤がついている。吸盤の凹部は円錐形で非常にラフな型の作り方をしている。20円カプセルに余裕を持って入れられるサイズで、タコチュウと並べても違和感がない大きさである。正式名称は不明だが、ネット上の書込みに「カクチュウ」という言い方があったので、それに倣うことにした。「ロボチュウ」という名でガチャで売られていたという。

(19)R型(3吸盤カクチュウ)

立方体に吸盤が3個付いた特異な形状であるが、4吸盤のN型よりも造形は整っている。H・C型系の大台紙にホチキス留めされた、小台紙袋入りで見つかった。小台紙にはWに顔のロゴマークが付いている。色は蛍光ピンク、赤、白、黄色が各2個入っていた。ロゴマークと色調から、J・B・P型系と同じメーカーの製品と思われる。

(20)Q型(蛸壺入り脚無し)

脚の吸盤がない特異な形状のパチモン。色はピンク、黄色、クリア緑、クリア紫の4色で、顔の種類は9種類が確認されているが、他にもある可能性が高い。蛸壺状のカプセルに入ってガチャガチャに入っていたそうである。出品者の記憶に拠ると発売されたのは1998年前後だったそうで、20年も経ってからのパチモンだったらしい。オリジナルと平成に入ってからのブームを繋ぐものだったと言える。

このように見てみると、最初期型のあとに顔の型を変更した初期型を元に、G・K・L型系と、泣き眠り目を持つC・H型系の2つの流れができ、それがさらにいくつかに派生して多種多様なパチモンタコチュウを創造したことがわかってくる。もちろんこれは仮説で、手持ちのタコチュウを以下の条件で変化していくであろうという仮定の元に分析したもので、正しいかどうかはわからない。

<タコチュウ進化論仮定条件>

1、純正に近いパチモンほど古い。あるいは手本にされている。

2、多くの場合パチモンには大小2種類のセットになっている。

3、同じような特徴を持つ2つの型は、どちらかがもう一方を手本にしている。

パチモンタコチュウの販売形態

「たこちゅう」の流行当時、多くの駄玩具メーカーがパチモンを製造販売した。

大きな台紙にタグ付き袋入りや、プラスチックケース、ブリスターパック等、様々な販売形態があったことがわかってきた。

<パチモンタコチュウの販売形態>

UFO消しゴマ(L・G型)

スペースインベーダー(K・L型)

UFO軍団(G型)

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たこちゅうセット(K・L・G型)

たこちゅうセット(K・L・G型)

たこちゅうセット小台紙(K・L・G型)

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商品名なし(H・C型)

商品名なし(H・C型)

キッスだこ(H・C型)

タコチュー(C2型)

NEW FASHION ACCESSARY(B型)

たこちゅう(J・B型)

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商品名なし(J・P型)

商品名なし(R型)(別台紙に後付け)

商品名なし(R型)

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たこちゅう(J3・O型)

たこちゅう(J3・O型)

たこちゅう(J3・O型)

たこちゅう(J3・O型)

チュチュたこちゃん チュ!(J2・F型)

チュチュたこ(J2・F型)
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たこチュー(M型)

たこチュー(M型)

蛸壺(Q型)

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ユージンたこちゅう

附)タコチュウ分類一覧表

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