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パチタコ分類学

パチモンタコチュウの分類に関する一考察

「なあ、お前知ってる?タコチュウってあんじゃん。おまけの」

「ウン、おれも持ってる。」

「あれのさぁ、大きいのってあるらしいぜ」

「えっ?タコチュウの大きいの?」

「そうなんだって。なんか、当たりがあって、送ると貰えるらしいぜ」

・・・どっかで聞いた台詞だと思った、あなた、そう、そこのあなたですよ。

毎度御覧いただきありがとうございます。m(__)m

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子供にとって、大きいことは、それだけで魅力であり、強さの象徴であった。

例えば超合金もドンドンでかくなり、ついには合体することによって全長40センチを越える大きなものも出た。

そんな時期に、タコチュウ遊びである。タコチュウの大きいのって言っても、たかが知れてるのである。

それでも、そのちょっとの違いが大切に思えたものであったのである。

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.今回、パチモンの大きいタコチュウを入手した。

最近、タコチュウがオークションなどで出てくることが多くなったが、

それでも、この手の大型タコチュウはなかなか見られなかった。

出品者の方が、前のオーナーに聞いて下さったところによると、

純製以外は全てガチャガチャで入手したとのことであった。

いただいた情報によると一個のカプセルに入っていた数は記憶に無いが、

やはり大きいのは「アタリ」という認識があったということであった。

<ガチャガチャのアタリばかりが入っているように見せるには>

ガチャガチャの機械は、本体は透明で中に何が入っているか見られるようになっていた。正面の商品見本が沢山入っているように見えたが、やってみるとなかなか出てくるものではなかった。

では、どうやってアタリばかりが入っているように見せることができたか?それにはこんな簡単な、しかし巧妙なカラクリがあったのである。

「大当たりを先に入れてから、横に倒し側面側(大当たりが良く見える側)に移動させてから、通常物を入れてました。
それで、最初の2〜3回ぐらいは大当たりが出たようです。」(出品者氏談)

あったま良すぎて文句も言えません。やるなぁ、業者のひと・・・。

1 手前の黄色3個 純正初期型 水に浮かぶ。最初期型の大きな目でなく、初期型の小さな目。
2 2列目左のオレンジ2個 純正初期型 水に浮かぶ。最初期型の大きな目でなく、初期型の小さな目。
3 2列目右のオレンジとブルー 純正後期型 水に沈むプラスチック製。顔は初期型と同じ。
4 3列目の赤2個・青3個 パチモンD型 5個とも全て眠り目。
5 4列目左の小2個 パチモンG型 水に浮かぶ。UFOケシゴマに入っていたのと同じ顔であった。
6 4列目左から3つ目の中2個 パチモンL型 水に浮かぶ。スペースインベーダーに入っていたのと同じ顔であった。
7 4列目右の大1個 パチモンK型 水に浮かぶ。スペースインベーダーに入っていたのと同じ顔であった。
8 5列目右の大みどり パチモンJ3型 J型と大変近い素材だが、足が極端に短い。
9 5列目の大の黄色と青 パチモンI型 吸盤が平たい形状も顔もI型に等しい。
10 5列目の大の赤2個 パチモンJ型 J型の赤と同じ素材、吸盤の形を持つ。顔はJ3とにている普通目。

以下に各種類ごとに今迄のタコと比較しながら、分析を進めることにする。

1・2・3、純正初期型・純正後期型:

 純正には水に浮く素材で目の小さい初期型と水に沈む後期型、水に浮く素材で目の大きい太目型、それと更に目の幅の狭い最後期型がある。今回のは水に浮く初期型が5個で、タコチュウは2個ずつ箱入りで入っているので、一個は失われた可能性がある。

 純正初期型は、オレンジ・赤・黄色・水色が普通みられる。これらは全て水に浮く。後期型は顔は同じだがプラ製で水に沈む。

 この撮影のため、以前入手した黄色のプラ製を分析したところ、黄色のウインクのうち、一つが足が短く吸盤が小さく、瞑ったまつ毛の形が違うことが判明した。まつ毛が長く後から彫ったようになっているので、型の破損と考えられる。また、緑のウインクはまつ毛の部分がつぶれているのも発見された。これも型の破損か、素材が巧く型に回らなかったか等のエラーがあったものと考えられる。

左から太目型、後期型、後期型破損、太目期型型破損、

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4、3列目の赤・青、5列目の大の黄色と青:

 クリアブルーでエンボスの泣き目(と寝ぼけ顔の中間)であるD型と、大型でクリアレッドの吸盤の薄いI型は、70年代中盤にガチャガチャで入手した記憶がある。その後、友人に同じ顔の黄色と青を80年代中半ばに貰ったことがあった。D型は3個とも同じ顔だったので、D型の顔は一種類かもしれないと思っていたが今回5個も同じ顔のものが見つかったことにより、顔は一種類だった可能性が高くなった。また、I型も同じウインクが2個出て、他の顔が見られないことから一種類しかない可能性が高くなった。今回D型の赤とI型の青と黄色、I型の青と同じ素材のD型が見つかったことにより、どちらの型も赤・青・黄色の3色で、同じような素材であることがわかった。

2列目右の3個と3列目の赤の大一個が今迄持っていたもの

 これにより、このD型とI型は同じ系統のモノである可能性が高くなった。顔は大小ともエンボスの一種類で3色あり、同じガチャガチャ機で入手した覚えがあるので、かなり確か仮説ではないかと思われる。D型の同じ眠り目でも目の上部が太いものとそうでないものがあることも、この説を補強するものではないだろうか。その後、今回入手のこのパチモンはガチャガチャで入手したという情報をいただいた。

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5・6・7、4列目の3サイズ:

 今回の入手品のもう一つの大きな成果は、この同色のG・K・L型のセットである。

手前が今回入手の5個。右の2列目3個とK型の青がインベーダーに入っていたもの。
左側の青と黄の小さいのがUFOケシゴマに入っていたもの。
後列中央の赤が以前よりあるG型。

 ゴム素材でパチモン大型と純正サイズの中間の大きさを持つK・L型はスペースインベーダーに入っていた。以前G型は一個しか持っていなかったが、熱による劣化のためモールドが甘くなっていて、ほぼ同様の特徴を持つUFOケシゴマに入っていたG1・G2型と同じである確証が持てなかった。しかし、K・L・Gのセットが見つかったことにより、G(G1・G2を含む)型とK型に赤もあることがわかり、どちらのタイプも3色あることがわかった。

 このサイトをはじめるまで一個しかなく、比較的珍しいと思われていたG型系が、実は3色3サイズ、5種類の顔があり、駄玩具にさまざまに組み合わされて売られていたことがわかった。L型の2種には赤しかないが、これにも青や黄色の存在が考えられる。その後、今回入手のこのパチモンはガチャガチャで入手したという情報をいただいた。

 純正と一緒に入手したK型に新しい顔が発見され、3つの型それぞれに2種ずつあることが確認された。新しく見つかったのは眠り眼で、L型の眠り眼とは若干異なっている、L型は横棒が眼を貫通しているがK型のほうは棒が離れており位置は中央より下がっており、若干垂れ目になっている。純正太目は棒が中央位にあるが、純正は横棒がかなり下の方にあることに似ているといえる。パチモンのなかで眠り眼と泣き眼の違いが明確化されているこのG系列が、同じ種類の顔に純正の太目と普通眼の違いとも取れる違いがあることは、このタイプの顔を作るにあたってもとにした純正に太目と普通眼が混在していた事を示す、証拠になると考えられる。

左からK型、L型、純正、純正太目

 入手手段は不明だが、このG・K・L型をまとめて入手した。その結果、G型に緑とオレンジ、L型に青とオレンジが見つかり、K・L型は3色、G型は5色が見つかった。G型は赤、青、緑、黄色、オレンジと、純正の前期型と同じ色のバリエーションであることから、純正を見本に作られたことが一層確からしくなった。

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8・10、5列目の大の赤2個・5列目の大の緑1個:

 今までは、I型・H型以外の大型パチモンは全てJ型としていたから。しかし今回、足の短い緑色のJ型が見つかったことから再度分析した結果、このJ型が3種類に分類できることを発見した。

 今回入手したのは、前列左側の赤2個と前列中央の足の短い緑である。緑色の4個の素材はほぼ同じだが、一番左のものが若干柔らかい。後列の7個が今迄あったのだが、左側の3個はどれもD型と近い寝ぼけ顔である。右側の4個は非常にラフでオリジナルと懸け離れた顔になっている。小型のパチモンF型もこれに近いラフな顔をしているし、素材も非常に近い硬さがあるので、同じ系列ではないかと思われる。今回入手の赤2個は普通目に近い顔をしており、オリジナルに近い顔を持っていることからも左側の3個の違う顔であると考えられる。

 さらによく見てみると、左側の今回の入手品も含めた5個は、吸盤の先端が浅い円筒状になっているが、右側の4個はラッパ状に広がっている。このことから、左の5個のグループをJ型、右側の4個のグループをJ2型とする。今回入手の足の短いサンプルは、顔の表情はJ型に近く、素材はJ2型に近い。決定的な特徴は吸盤の付け根が非常に短く背が小さいことである。このことから分類的には先の2種とわける必要があり、これをJ3型とすることする。

 ここで思い出したのが、足の長いパチモンB型の顔が普通目と寝ぼけ顔しかないことである。今回J型の普通顔が見つかったことから、この2タイプの顔が同じ種類であることに気が付いた。並べて見ると寝ぼけ顔の目の横線の角度、普通顔の下寄りの瞳の位置が大変良くにている。このことから、D型とI型のと同様に、大小のそれぞれの形態の違いはあるものの、同じシリーズである可能性が高まった。素材的にも柔らかく、吸盤の柔軟性もにていることから、かなり高い確率で言いうると思われる。その後、今回入手のこのパチモンはガチャガチャで入手したという情報をいただいた。

<追記>

 その後、最近になってこのJ・B型の顔なしバージョンが発見された。同じ出品者が集めたものの中に、両方の型の顔なしが見つかったことから、口と足の長さの比率といった形態的特徴が違っているが、材質も同じと思われ、共に顔なしであったことから、この2つの型は非常に密接な関係が或るものと思われる。

<追記2>

 スッポリ大D型とともに、パチモンB型が2個発見された。緑とクリアピンクの眠り目である。パチモンB型の眠り目は、J型にない黄色しか見つかっておらず、両型の深い関連性を示唆するも確実とは言いにくい部分があったが、今回、J型にもある緑色とクリアピンクの眠り目が発見されたことで、この2系統が同じ素材をもって作られた事がほぼ確実になった。特にクリアピンクは今までJ型のものしか発見されておらず、パチモンB型でも見つかったということは、この色の特異性からも、両者が同一の系統であることの証拠となりうる。

このタイプのデッドストックが見つかった。

プラスチックケースにJ型とB型が入っていた。

商品名は「たこちゅう」で、丸にWのロゴが入っている。

このJ型は、B型だけではなくもう1種類の小型パチモンと一緒に売られていたのがわかった。

商品名はないが、丸にWのロゴが確認された。

一緒に入っていた小型パチモンは付け根が短く、新種としてパチタコP型と命名した。

左からJ型、B型、P型

この系列には白系の素材が使われており、J型とP型には白いものが見つかってる。

同じ小台紙で3吸盤タイプのカクチュウも見つかった。

<追記3>

 たった一つしかなく、分類できなかった足の短いタイプ、J3型。これに黄色と赤の2色と、吸盤の付根が短く、素材的にも似通っている小型(O型と命名)が発見された。これにより、大小2種で、カラーバリエーションはJ型と同じで緑・赤・黄色の3色である可能性が高い。顔はJ3型が5個とも、O型は4個が、全て普通目であることから、それぞれの型には1種類しかないのではないかと思われル。これで、全ての大型パチモンには、それに対応する純正大の小型があることがわかった。

このタイプのデッドストックが見つかった。

大台紙にJ3型とO型が入り小台紙ごと袋に入っていた。

商品名は「たこちゅう」で、大台紙は他の玩具の流用で、タイトルの部分に紙がホチキス留めされていた。

大台紙には、丸に満のロゴが印刷されている。

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別系統のパチモン

 パチモンはこの他に、C型・H型と分類したパチモンがある。これらは、他のパチモンに比べ顔の種類が多く、普通目・怒り目・ウインク・泣き寝ぼけの4種類がある。他の多くのパチモンとちがって、目は彫り込みで表情も純製に近い。色は赤・青・黄色・緑・黒だが、青と緑は色の濃さにかなりのばらつきが見られる。

 先のD型・J型にも、吸盤の大きなA型系列にも、泣き寝ぼけ(純正タイプの泣き顔と寝ぼけ目の中間のような顔)があるが、このC・H型には怒りやウインク、普通目と、非常に純正に近い顔になっている。しかし、泣き顔と寝ぼけ目がなく、中間を取ったようなこの泣き寝ぼけがあることから、このなき寝ぼけのルーツはC・H型にあるのではないかと思われる。また、このC・H型は純正と同じ様に顔が彫り込みになっている。このことからも、このC・H型はオリジナルに近く、このシリーズを元に他のパチモンが出来た可能性が大きいと思われる。

 先述のG・K・L型の系列には泣き顔と寝ぼけ目が別々に作られている。また、笑い目(先の写真3列目左)は他のパチモンシリーズにない。G型は大きさがオリジナルに近いが、K・L型はそれぞれ一回りずつ大きく、H型やその派生型と思われる大型パチモンよりも小さい。これらの特徴から、このG・K・L型の系列はC・H型との関係は薄く、独自の発生をしたのではないかと考えられる。

 出品者の方にお伺いしたところ、パチモンタコチュウをガチャガチャで入手した記憶はないので、駄菓子屋か玩具屋等で買ったものと思うとのこと。これ以外の系統が全てガチャガチャで売られていたという先の証言と併せて、C・H型系はガチャガチャで売られた他の系統と分けることができることがわかる。

 当時、C・H型をタグ付き袋入りで駄菓子屋で見た記憶があるが、合体基地と同様、小さなものだけの袋は10数個、大きいのが入ると大きいのが2・3個に小さいのが数個入っていた記憶がある。大きいのが入っていると小さいのがほんの少ししか入っていなかったため、小さいのだけの方がお得感がった様に思う。今回の入手品から、大入りのタグ付き袋入りの入り数は、大2個・小3個だったのではないかと思われる。

<追記>

 その後、最近になってこのC・H型が、台東区立下町風俗資料館内に復元された駄菓子屋の写真に見られる台紙とともに発見された。その写真は、台紙にタグなし、小台紙入りで大2個・小2個が入っているように見える。また、この写真にはクリアオレンジのタコが写っているが、今回、オレンジの小を入手したが材質が非常にクリアで柔らかく、別種とすることになった。これをそれぞれC2型・H2型と命名することにした。

<追記2>

さらにH型系列の顔で不思議なパチモンが発見された。下の写真のように顔が口と足の間にあり、素材はH型に近い色でH2型に近い柔らかい材質が使われている。吸盤形状はH2型に酷似しているが、口の長さがH型より短くH2型よりは長い。このようにH型・H2型の双方の特徴を持っていることから別種に分類しH3型と命名した。顔の位置が特異なのが、エラーなのかこのような仕様なのかは、今のところ不明である。

このタイプは様々な形で売られていたことがわかってきた。

大台紙にH型系とC型が入り小台紙ごと袋に入ってホチキス留めされている。

この小台紙は、H型だけではなく、H2型、H3型にも使われていた。

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他にクリア素材のC2型が入ったプラスチックケース入りも見つかった。

商品名は「タコチュー」。C2型が11個入っている。

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単体ではないが、当てモンクジのあたりとして流用されたと思われる箱入りのサンプルも見つかった。

商品名は「キッスだこ」。

箱には「赤玉(当り)おすきな「タコ」2個とって下さい」と書かれており、

たこちゅうが当てモンのアタリと扱われる程、人気があったことを示すと思われる。

最後にパチモンタコチュウを持ち続け、ガチャガチャで入手した等の情報を教えていただいた前のオーナー氏と、

取引終了後もこんな趣味サイトにお付き合いくださり、前のオーナー氏との仲立ちをしてくださった出品者氏、

C・H型の情報をお教え下さった出品者氏に満腔の感謝を捧げたいと思う。

「御協力ありがとうございました!」

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