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驚愕の新発見!

駄菓子屋パチタコ台紙付

当時を知る人々の証言と地道な調査で、パチモンタコチュウの分類も進んだが、

その販売方法については、駄玩具との抱きあわせの他、ガチャガチャと駄菓子屋の袋入りがあることが

推測されただけで、実際の販売形式を示す物的証拠は今迄発見されていなかった。

以前紹介した、「別冊太陽 子供の遊び集-明治・大正・昭和-」(平凡社1985)に

台紙付き、袋入り小台紙付きの状態を写した写真があったが、

今回、その画像に写っているものと思われ新種パチを発見することが出来た。

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今回発見のパチモンと小台紙

このパチモンは、某クションで出品された際の画像からはC型・H型の色違いかと思われたが、

実際手に取って見たところ、素材や吸盤の大きさなどに顕著な違いが見つかったことから、

それぞれを新種と判断するに至った。

今回の入手品(左側)と対応するC型を並べてみた。

最も目立つのは、今回の入手品のほうが透明度が極めて高くクリアな素材でできていることである。

さらに、この素材は大変柔らかく、吸着力が強い。また、C型に比べ吸盤の直径が若干大きい。

パチモンのJ型は吸着力が強いが、吸盤の厚さが薄いために今回の入手品のほうが吸着力が強いように思われる。

顔は彫り込み部分のムラにも同様の特徴が見られるため、同じ原型をもとに作られたと考えられる。

側面を見ると、大きいほうはH型に比べて口の根元の長さが半分位しかない。小さいほうもC型に比べ若干短い。

本体の直径は両種ともほとんど変らないが、今回の入手品の方がより丸くなっている。

表情は全く同じ型から作られ、素材や吸盤の形がちがう例として、A型とA2型の例があるが、

ロットの違いか、製造工場の違いか、何らかの要因でバリエーションが出来たことが推測される。

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次に台紙に注目してみる。「別冊太陽」に掲載されていた台東区立下町風俗資料館の

関東大震災前の駄菓子屋の店先のジオラマの写真を拡大して再掲載する。

「別冊太陽 子供の遊び集-明治・大正・昭和-」(平凡社1985)

この写真からわかることは、大きなカラー印刷された台紙に、タグなし小台紙入り袋に

大・小各2個が入ったものが9個ホチキス留めされている。

今回の小台紙にも、ホチキス穴が確認できる。

小台紙と台紙のイラストは色違いではあるが同じもので、名前はない。

明治製菓のピコタンが「ブロックマン」、「人形ブロック」と改変され、

明治合体チョコボールのパチモンが「合体基地」と名付けられていたこと比較して、

メーカーによる意匠権や商標の扱いが一層シビアになったことを示すのではないかと考えられる。

イラストのタコは、赤・青・緑・黄色・オレンジで、純正のカラーバリエーションに近く、

写真に見られる袋の中には、青はないが、赤・緑・黄色・オレンジ・黒が入っている。

黒は純正にもあり、この構成も純正に大変近い。

C型は今のところオレンジはないが、赤・緑・黄色・青・黒がある。

先日、C型にも写真にあるような薄い緑のものが発見され、緑の素材にはバリエーションがあることが確認された。

これは、色の面でもこの新種とC型の類似性・関係性の深さを示唆するものと思われる。

参考画像:C型緑のカラーバリエーション

顔も、普通目、怒り目、ウインク、泣き目とも眠り目とも取れる目に斜線が入っているものが書かれている。

この眠り目と泣き目のいい加減なイラストが、両種の区別を曖昧にし、

C型系列の「泣き眠り」を生んだものと考えられる。

このことからも、このC系列のパチモンは純正たこちゅうを強く意識したものであることがうかがわれる。

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今回発見のパチモンはC型の影響を強く受けてはいるが、材質、形状に差異があるので、

今後は「C2型」と分類することにしたい。

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小台紙の右下に書かれたキスをしている黄色のウインクは両目を瞑っている。

このようなオリジナルを適当に咀嚼して変形してしまう自由さ、ラフさが、

パチモン駄玩具の面白みである。

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