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これなら学校に持ってっていいよね

合体基地消しゴムバージョン

お菓子にオマケをつけることは、戦前にもグリコのキャラメルなどで行われていた。

しかし、そのオマケにジョイントを付与して、いくつも繋げて遊ぶことで、いくつでも集めたくなるオマケの嚆矢は

1974年に発売された、明治製菓の「ピコタン」であると言って良いと思われる。

「明治製菓の歩み 買う気で作って60年」より引用

ピコタンの発売は、明治製菓の社史から1974年であることがわかっている。

ノベルティーズ製作ヒント集 おまけの玩具(おもちゃ)」(昭和58(1983)年 浅山守一: 自由現代社)という、

ノベルティのアイデアを集めた書籍には、「つなぎ人形」と言う名称で「ピコタン」が以下の様に紹介されている。

「ノベルティーズ製作ヒント集 おまけの玩具(おもちゃ)」より引用

ピコタンが流行すると、動物やスポーツを象ったピコタンの第二弾、第三弾が出された。

繋げるオマケは、カニタンやカメタンといった、2パーツものに進化して行った。

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1975年には、繋げるオマケに、当時流行していたUFOの要素を加えた「明治合体チョコボール」が発売された。

この年は、現在でも販売され続けている「きのこの山」が発売された年にあたる。

※明治製菓様より画像使用許諾。無断転載を禁ず。

このオマケは、発売時のロボットや宇宙船のシリーズ(前期・中期)、

その後のちょっと洗練されたデザインのシリーズ(後期型)、

リアルな宇宙服を着た人形と、それを差し込むための小さな穴があけられているシリーズ(最晩期型)の3つに分けられる。

明治合体チョコボールの種類は、

明治合体チョコボール軍装備識別図説を参照されたい。

販売期間は不明であるが、流行は短期間で終了し1年程で販売中止になったようである。

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「明治合体チョコボール」は発売されると大ヒットして、多くのパチモンが作られた。

パチモンは、発売当初の最も人気を得た最初のシリーズ(前・中期)のデザインをもとに作られている。

最初のシリーズは以下の24種類から構成されている。

このタイプには、少なくとも2種類の型違いがあり、どちらが先か判らなかったので、

24種類×各2種類をもって、「前・中期型」と命名していた。

きのこの山の30周年に合わせて公開された、先に紹介した発売時の広告画像に見られた円盤タイプに注目すると、

2種類のうち、上面の突起が凹部の方に向いているタイプが使われているのを確認できた。

新発売時の広告画像の一部拡大

このことから、円盤タイプのうち、円盤型宇宙船1型と命名した方が、発売時にあったことが推察され、

このタイプの方がより早い段階で出現したと考えられる。

円盤型宇宙船1型(前・中期)

円盤型宇宙船2型(前・中期)

しかし、他のタイプにも2種類が見られるが、新発売時の広告画像からは、どちらかを特定することができない。

制空戦闘機1型(前・中期)

制空戦闘機2型(前・中期)

軽戦闘機1型(前・中期)

軽戦闘機2型(前・中期)

高速偵察機1型(前・中期)

高速偵察機2型(前・中期)

そこで、これら2種類ずつあるタイプについては、前期と、それに続く中期に作られたものであろうと考えられたので、

あえて「前・中期型」と命名した。

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だが、オークションで、UFOタイプに、上部突起と下部の凹部の向きの違う第三のタイプが見つかった。

円盤型宇宙船16型(前・中期)

この発見を機に、全ての前・中期のオマケを比べたところ、裏面の刻印の位置や、線の太さや間隔がちがう、

3〜4種類のバリエーションが確認された。

ロボットは全て2種類のバリエーションしか見られないが、乗物系については最大4種類の型違いが確認されたタイプもあり、

サンプル数が多くないために、全ての乗物に4種類あるのを確認できないのか、

成形状の何らかの理由で、いくつかのタイプだけ別型で増産したのか、詳細は不明である。

その後の研究の結果、前・中期には複数の型違いが見つかった。

詳細は「明治合体チョコボールの前・中期の再検討(前半)」を参照されたい。

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ピコタンでもたこちゅうでも、新発売時に流行に火が付いて、それに合わせて偽物(パチモン)が作られることが多い。

流行が短い当時の食玩は、飽きられない様に第二弾、第三弾と出しても退勢を如何ともしがたいもののようで、

後期のバージョンを元にしたパチモンは非常に少ない。

その辺の後のタイプが出て来ない事情を、先にも紹介した「ノベルティーズ製作ヒント集 おまけの玩具(おもちゃ)」で、

ピコタンの記事にもあったが、たこちゅうについても書かれている。

ピコタン(つなぎ人形)は「パート2、パート3と、動物などの形をした人形が出されたが、あまりぱっとしなかったようである。」と、

たこちゅう(たこの吸付)では、「ヒットにともなって偽物も出まわり、けっこう売れたようであった。

同社ではその後、パート2も出されたが、初代があまりにも強烈だったため、あまりパッとしなかったようである。」と書かれている。

つなぎ人形の記事には「大ヒットした商品は二番煎じがきかないというが」と、ハッキリ書かれている。

逆に言うと、この当時、偽物が多く出まわると言うことは、瞬間的に異常な流行を示したことの状況証拠に成りうると言える。

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「明治合体チョコボール」も多くのパチモンが作られたことが知られており、発売当初の人気を彷佛とさせる。

パチモンには5つのタイプがあり、A型、B型、C型、D型、E型と命名した。

全てが純正の前・中期型のデザインをもとにしており、大きく分けて、A・B型グループとC・D・E型グループに分けられる。

それぞれのグループは、以下の表の様に、デザインのもとになった純正のタイプが違っている。

●:どちらか一方にある、☆:A型系・C型系の両方のパチモンにある、○:B型にはなくA型にしかない

純正種類名



砲弾型
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十字目型
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星目型
. .

兵士型
.

飛行兵型

宇宙服型

ロボコン型
. .

掃射兵型

純正種類名



空挺型
.

バンザイ型
.

制空戦闘機

艦上戦闘機

重戦闘機

軽戦闘機
.

爆撃機

高速偵察機
.

純正種類名



偵察機
. .

重爆撃機
.

重戦車

六輪装甲車
.

八輪装甲車
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円盤型宇宙船

人面型宇宙船

星型宇宙船
.

重戦車や三角翼の艦上戦闘機のように、全てのパチモンに見られるタイプもある。

B型はA型のデザインを真似ており、全てA型と共通である。A型のみのタイプもあり、パチモンであるA型のパチモンであると言える。

これに対してC型・D型は、A型程純正のデザインに忠実ではないが、もとになった純正のタイプが判明する程度には似せている。

双方の系列にあるもの以外、どちらかにしかないタイプは、綺麗に別れている。

、A・B型、C・D型どちらも元になった純正は15タイプである。

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兵士型はA・B型にはあるが、C・D型にない。

軽戦闘機や装甲車はC・D型にはあるが、A・B型にはない。

後述するが、E型はC・D型の流れを継承しながらも、かなり独自要素が加えられており、

前・中期のデザインを基にしたと言いにくいものもある。

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では、それぞれの型についての解説を試みることとする。

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パチA型

前・中期のデザインを忠実にコピーしている。

戦闘機の機首、翼前縁等に突起が追加されている。

制空戦闘機1型(前・中期)

制空戦闘機3型(パチモンA型)

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爆撃機1型(前・中期)

爆撃機3型(パチモンA型)

15種類の純正のタイプをもとにした16種類が見つかっている。

空挺型と命名したタイプは、落下傘バンドに太いものと細いものがあり、前・中期型の中の型違いが見られる。

パチモンA型では、この両方のタイプを模したデザインが見つかっており、

このパチモンの製造が企画された際には、前・中期型の両方のタイプが市中に流通していたことが伺われる。

空挺1型(純製前・中期)
落下傘バンドが太く、胴体後部にも続いている

空挺2型(純製前・中期)
胴体に落下傘バンドの様な線がある

空挺3型(パチモンA型)
純製1型のコピーで、若干小さい

空挺4型(パチモンA型)
純製2型のコピーで、若干小さい

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このパチモンは大台紙に、タグ付き袋入りで、「合体基地」という商品名で売られていた。

一袋50円で、小型が14個前後入ったものが4袋、大型1個と小型3個の組み合わせが8袋ホチキス止めされている。

タグは袋の口を留めるための小さなホチキスが2ケ所、大台紙に留めるための大型のホチキス1ケ所で、大台紙に付けられており、

子供が自分で大台紙から毟り取って買ったものであった。

大型のものは、純正に見られない独自のデザインで、多数のジョイントを持っている。

アニメ番組のメカをモデルにしたようで、

「鋼鉄ジーグ」のビッグシューターと「UFOロボ グレンダイザー」のスぺーザーに似ている。

パチモンA型大のカラーバリエーション

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パチモンA型は、紙台紙にブリスターパック入りも見つかっている。

商品名は同じ「合体基地」で、大型が1個、上部に小型が7個入っている。

価格はシール等が貼られていないため不明であるが100円程度であったと思われる。

台紙には上部に円形の穴が穿たれており、店頭に下げた金属製のフックに掛けて売られてもいたと思われる。

入手されたサンプルは、他の駄玩具の大台紙に大型ホチキスで留められている。

大台紙の下部右側には、マルコー産業のロゴが見られ、

左側にはSTマークが印刷されている。このマークから「K541」がマルコー産業のコードであることがわかる。

今回見つかったブリスターパックタイプは、他の駄玩具の大台紙にホチキス留めされている。

この台紙の下部にはマルコー産業のロゴと社名が入っていた。

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他にも、大型のプラケースに入ったものも見つかっている。

商品名は、「UFO基地合体セット」である。

大型が2個、小型が40個入っている。価格はわからないが300円程度と思われる。

内部は厚紙で上下に仕切られており、上部に小型が、下部の左右に大型が1個ずつ入っている。

仕切り台紙にはこの商品のために描かれたと思われるイラストが描かれている。

人面型宇宙船には、A型の特徴の突起が見られるが、戦闘機の機首や翼端の突起は1機を除いて省略されている。

右上にはSTマークが入っており、番号は「P.5440150」である。

P544は、「たこちゅうセット帽子ケース」、「合体スリー」でも見られるコードで、

4桁目の数字は許可されたのが昭和50年(1975年)であったことを示している。

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カラーバリエーションは、緑、青、白、黄色、赤が基本で銀やピンクが入っている。

パチモンA型カラーバリエーション

パチモンA型別タイプカラーバリエーション

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このタイプは、当時、50円玉を握りしめて行った小松庵の裏の駄菓子屋で、実際に大台紙から毟って買った記憶がある。

家族で出かけた駅への道すがら、このタグ付き袋入りが1袋落ちており、手に取ってみると珍しい銀色が比較的多く入っていた。

一人で見つけていたら有り難くいただいていたであろうところ、親の目もあってその場に置いてきたのがいまでも残念である。

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パチB型

パチモンB型と命名したタイプは、先に紹介したパチモンA型のデザインに大変強い影響を受けている。

純正とパチモンA型の相違点として、突起が追加されていることがあげられるが、

パチモンB型には、その突起が同様に追加されている。

純製 パチモンA型 パチモンB型
風防が半球形で大きい 翼前縁に機銃を持つ 風防が細長く垂直尾翼が簡素化されている
全高が高い 円窓の後に突起がある 船体が薄くなり円窓と突起が低い

デザインの元になった純正前・中期型は、A型が15種類、B型が10種類で、B型はデザインの改変の有無、内容共にA型と同じである。

今の所、デッドストック状態で見つかっておらず、商品名や製造メーカーは不明である。

当時、このB型を駄菓子屋で買ったことがあるが、大台紙にタグ付き袋入りで売られていた記憶がある。

入り数は覚えていないが、A型とさほど変わらなかった様に思う。

A型と並べて売られており、どちらかというとA型の方がしっかり作られている様に見えたため、

このB型は、A型が売り切れていて仕方なく買った記憶がある。

パチモンB型は、純正デザインのパチモンというより、パチモンA型のパチモンであると言える。

カラーバリエーションは、緑、青、黄色、赤、クリアグリーンがある。

クリアカラーのパチモンは珍しい。

パチモンB型カラーバリエーション

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パチC型

先述の表からもわかるように、デザインの元になった純正のタイプがA・B型とは違うパチモンが見つかっている。

当時はごく少数が、確認されていたが、詳細はわかっておらず、後述するD型との区別もされていなかった。

ネットが使える様になりオークションを利用する様になると、この違うタイプのパチモンもデッドストック状態のものが見つかる様になった。

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デザイン的な特徴は、A型やB型ほど純正のデザインに似せていないところである。

純製 パチモンA型 パチモンB型
掃射兵1型(純製前・中期)
掃射兵3型(パチモンA型)
掃射兵4型(パチモンC型)
胴体が円錐形で腕に小さな突起がある デザインは純正に良く似ているが、若干小さい 胴体は円錐型だが腕の先が丸く、耳状の突起もない

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飛行兵1型(純製前・中期)
飛行兵3型(パチモンA型)
飛行兵5型(パチモンC型)
太い腕から膜状の翼がある ほぼ純正のデザインに似せている 翼の襞が強調され、ドット模様に変えられている

もとになる純正のデザインを残しながらも、かなり大体にリデザインされているのがわかる。

また、パチモンA・B型では起用されなかった純正のデザインを用いたタイプが確認されている。

例えば軽戦闘機タイプや重爆撃機タイプは、パチモンA・B型には見られないものである。

軽戦闘機1型(前・中期)

軽戦闘機3型(パチモンC型)

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重爆撃機5型(前・中期)

重爆撃機3型(パチモンC型)

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C型は、ネットを利用できるようになり、某クションを通して当時のデッドストック状態の商品が入手され、商品名等がわかってきた。

左が「宇宙のなぞ?合体ブロック」、右は「ミニ合体ブロック」

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ドーナツ型のプラケースの中央にフリスビー型のUFOが入っており、外周に6色のC型が40個入っている。

価格を表すシール等は見つかっていないが、当時は300〜500円程度で売られていたと思われる。

高額な価格設定であることから、町の駄菓子屋ではなく、玩具店や土産物屋で売られていたのではないかと考えられる。

蓋にはシールが貼られており、「宇宙のなぞ?合体ブロック」の文字が書かれている。

シールの添付がないものも確認されている。

シールの星の部分が、STマークになっており、番号はD0290020となっている。

このマークから認定は昭和50年(1975年)であることがわかった。

ケースの底面には、「三重丸にイ」のロゴマークが入っている。

蓋に貼られたシールから、D029が製造した「三重丸にイ」のメーカーか、発売されたメーカーのコードであると思われる。

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大台紙にブリスターパックがホチキス止めされたものは、プラケース入りの「宇宙のなぞ?合体ブロック」よりも入り数が少ないためか、

商品名は「ミニ合体ブロック」となっている。

大台紙の上部には、駄菓子屋で壁に掛けて売るための穴が開いている。

メーカー名やロゴは描かれていない。STマークの印刷もシール添付も見られない。

左側の基地と戦闘機は、ウルトラマンタロウに出てくるZATの基地を模倣しているようである。

右側の宇宙基地も、アニメに何らかの元になるデザインが有るのかも知れないが、わかっていない。

..

ブリスターパックには16個が入っており、上下左右に普通サイズのホチキスで留められており、

大台紙には普通サイズのホチキスで固定されている。

小台紙は黄色ベタに線画で、もとになった純正の前・中期タイプが描かれている。

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このブリスターに黄ベタに線画というデザインは後述する消ゴムバージョンや、合体スリーという駄玩具でも見られた。

合体スリーは、後にマルコー産業のロゴ入りのカラー小台紙のバージョンも見られ、製造メーカーが何処かはわかっていない。

左がスリーウォーズ小台紙、右がミニUFO 遭遇消しゴム

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パチモンC型には、柔らかい素材を使ったものも見つかっている。

商品名は「ミニUFO遭遇消ゴム」という。

大台紙に小台紙袋入りで、スーパーカー消ゴムのような軟質なゴム素材でできたC型タイプが7個入っている。

このゴム素材のものをC-2型と命名した。

大台紙の上部には商品名と「三重丸にイ」のメーカーロゴ、一打付の文字が入っている。

背景には、このパッケージのために制作されたと思われる大きな岩や、荒野、基地を暗示させる人工の施設、巨大な発光体と月の画像を合成した、

昭和感溢れるテイストの画像が使われている。

大台紙のイラストの右下には「三重丸にイ」のロゴが入っている。

同じロゴはプラケース入りの「宇宙のなぞ?合体ブロック」のケースに見られた。

大台紙にブリスターパック入りの「ミニ合体ブロック」と同様に、

小分けされた小台紙袋入りを「ミニUFO遭遇消ゴム」といい、

もっと入り数の多いケース入りの状態で販売されたセットがあった可能性もあるかもしれない。

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カラーバリエーションは緑、青、ピンク、黄色、赤の他に、プラ素材には白が、ゴム素材には黒がある。

パチモンC型カラーバリエーション

パチモンC-2型カラーバリエーション

元になった純正のデザインは15種類で、C型・C−2型ともに20種類(円盤型が6種)が確認されている。

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パチD型

近所の駄菓子屋に売っていたパチモンA・B型とは対照的に、それ以外の系統と思われるパチモンもごく少数だが確認されていた。

8輪装甲車など、A・B型系には見られないタイプがあり、色調が違うため別のメーカーのものであることは推測されたが、詳細は長く不明としていた。

非A・B型系には、同じデザインだが若干違う点が見られるものがあり、

これが型違いなのか、別の種類とするべきかはサンプル数が極端に少なく、判断できなかった。

例えば、翼端にミサイルか増槽タンクを着けた制空戦闘機と名づけたタイプでは、

翼端のポッドの後部上下に有る小翼が省略され、胴体が細くなったタイプが見つかった。

これには、コックピットから機首に向って伸びラインが1本のものと2本のものが見つかっていた。

制空戦闘機1型(前・中期)

制空戦闘機3型(パチモンA型)

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制空戦闘機4型(パチモンC型)

制空戦闘機5型(パチモンD型)

その後、軟質素材ではあるが、C型と命名したタイプのデッドストック状態のサンプル(「.ミニUFO 遭遇消しゴム」)が見つかり、

制空戦闘機の機首のラインが2本のタイプはC型で、機首のラインが1本のタイプは別のタイプであることが確認され、暫定的にD型と命名した。

....

このようにして、パチモンA・B・C型のどれにもあてはまらないタイプの存在が確認されたが、その詳細は不明であった。

しかし、フリマ巡回隊の(そういえばコロナでフリマなんてものも懐かしい風物詩になっちゃったが・・・)ぜんまい太郎氏から、のD型の完品を譲り受けることができた。

商品名は「合体基地ブロック」で、大台紙にタグ付き袋入りが12袋、大型ホチキスで留めてある。

大台紙上部にはフックに掛けるための穴が開いている。

大台紙上部のイラストは五角形の宇宙基地から、なんとなく純正前・中期っぽいデザインのメカや、ロケットや宇宙飛行士が描かれている。

マルコー産業のロゴの入った「合体基地」(パチモンA型)の台紙は、純正のデザインとあまり関係性がなく、

パチモンA型のオリジナルでザインである大型円盤が描かれていたりと、独自のデザインテイストを持っている。

宇宙基地が描かれていることに関しては、「ミニ合体ブロック」(パチモンC型)の大台紙上部のイラストと類似している。

描かれている小物メカは、商品に一番近く、

「あの明治さんのオマケ、ウチでも作りたいんだよね。他所がこんな感じで売り出してるから、ちょっと台紙の絵を描いてよ。

商品名は「合体基地ブロック」にするから基地を入れて、これ(「ミニ合体ブロック」)参考にして。

実際のブツはこんな感じ。成る早でチャッチャと頼むよ。」

という感じで依頼されて、背景はエアブラシでシュッシュと適当に埋めた、やっつけ仕事の様に見える。

....

大台紙には、タグ付き袋が12個、袋の開口部をタグと一緒に閉じた一般的なサイズのホチキス2箇所と大きなホチキス1ケ所で留められている。

一袋の入り数は16個で、、価格は販売形態から考えても50円程度だったと思われる。

元になった純正のデザインは15種類で、D型は17種類(円盤型が3種)が確認されている。

カラーバリエーションは、緑、青、黄色、赤、白の5種類であった。

パチモンD型カラーバリエーション

....

パチモンA・B型が純正のデザインを踏襲しているのに対して、先のC型はデザインを大きく変えてシンプルにしているが、

D型は、その流れを汲んでさらにデザインを簡略化している。総じて高さを減らし成形しやすい形になっていると思われる。

純正

C型

D型

各型の特徴

高速偵察機
C型機首先端付近にあった操縦席を機体中央部に後退させ、機首にも偵察員席と思われる膨らみがあるが、D型は操縦席を拡大し、機首の突起は小さくなっている。

艦上戦闘機
C型は風防が小さく省略されたが、D型は機首先端に移動させて前方視界を良くした形状になった。

制空戦闘機
純正よりも風防位置が前進し涙滴型に変更されている。純正は機首に2本線がある。C型には直線で2本、D型は1本のモールドがある。

重爆撃機
純正は水平尾翼の下面にも垂直尾翼が貫通しているが、パチモンにはない。C型には下面にも膨らみと鋲状突起があるが、D型はフラットになっている。

簡略化の端的は例は、人面型宇宙船と命名したタイプで、パチモンC型まではあった翼が省略されてしまっている。

純正 C型 D型

人面型宇宙船2型(前・中期)

人面型宇宙船5A型(パチモンC型)

人面型宇宙船6型(パチモンD型)

C・D型系の飛行兵タイプでは、腕から垂れている翼の縁の凹凸を、純正よりも強調しているが、

D型では、C型にはあった口や胴体の線状のモールド、翼の細かい点状突起を省略してしまっている。

純正 C型 D型
飛行兵1型(純製前・中期)
飛行兵5型(パチモンC型)
飛行兵6型(パチモンD型)

....

パチモンD型は、パッケージにメーカー名がわかる手がかりはない。

デザインは「三重丸にイ」のメーカーが作ったC型に似ており、商品名はC型の「合体ブロック」に似ている。

しかし、マルコー産業のパチモンA型の商品名である「合体基地」の「基地」という言葉を含んでいる。

大台紙の下部は赤、青、黄色、赤で格子状に塗り分けられているが、その部分のでデザインは「合体基地」と「合体基地ブロック」は酷似している。

右がA型が入った「合体基地」、左がD型の「合体基地ブロック」

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また、タグを見てみると、書体こそ違うが、どちらも合体基地となっており、裏面の遊び方のイラストは非常に良く似ており、

どちらがどちらをトレースしたというよりも、同じ版下を使ったのではないかと思われるくらいに類似性が高い。

左がA型が入った「合体基地」、右がD型の「合体基地ブロック」

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描かれているのは、「空挺兵」と「軽戦闘機」だが、「空挺兵」はD型には含まれず、「軽戦闘機」はA型には含まれない。

最も純正のデザインに近いパチモンA型が最初に作られたものと思われるが、

その後、多くの駄玩具メーカーが一斉に、純正や他社のパチモンを手本にして、流行に乗り遅れるなとばかりに多種多様なパチモンを投入したと考えられる。

....

先に紹介したC型のデザインで、ゴム素材でできた「ミニUFO遭遇消ゴム」を紹介したが、

最近になって、このD型でもゴム素材で出来たものが発見された。

この軟質のD型を、-2型と命名した。

入手したD-2

9種類の存在が確認されているが、D型同様に17種類があると思われる。

バラで入手したため、商品名等、パッケージに関する情報は得られなかったが、C型に続きD型でも軟質の素を材を使ったパチモンが、

それも同じカラーバリエーションで見つかったことは、駄玩具製造会社がこぞってパチモンを作った個を表していると考えられる。

パチモンD-2型カラーバリエーション

....

パチE型

明治合体チョコボールのパチモンに関する情報は、ネットの利用が可能になり、

全国からデッドストック状態の完品が入手できるようになったことで、急速に充実した。

パチモンE型も、そのような状況の中で「新発見」された。

...

他のパチモンが、どれも純正前・中期型の影響を受けているのがわかるが、このE型は、その影響が少ないのが特徴と言える。

ドッキングステーション」と書かれたタグの付けられた、タグ付き袋入りのパチモンは、それまで見たことがない種類であった。

大台紙には「オリジナルトーイ」や「アクセサリー」と刷られており、同じような駄玩具に汎用的に使われるもののようである。

大台紙にホチキス留めされたドッキングステーション

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大台紙はユルい戦隊ヒーローのイラストが描かれており、王冠のようなロゴマークが入っており、

STマークが印刷されている部分には同様のデザインのシールが貼られている。

メーカー名は不明であるが、アルファベットのMと思われる文字の上に王冠が描かれている。

「デラックストイ」の大台紙にはSTマークは印刷されているので、STマークの認証を受けた駄玩具用に作った大台紙を流用した可能性もある。

強粘着シールのために下の番号は一部見えないが、合格番号はB1?10006と読める。

Bは「大阪玩具事業協同組合」を表すと思われ、4桁目の「0」は、明治合体チョコボールの発売された昭和50年(1975年)の登録であることを示す。

この駄玩具も、明治合体チョコボールの流行に合わせて、急遽、台紙を流用して作ったのだったと考えられる。

...

このタイプの駄玩具の発見は比較的早かったが、パチモンC型やD型が豊富に見つかる様になると、

そのデザインがC型やD型と共通点があることがわかってきた。

例えば、純正前・中期型のUFO型の宇宙船であるが、上部の板状突起の向きが違ったものがあることがわかっている。

円盤型宇宙船1型(前・中期)

円盤型宇宙船2型(前・中期)

パチモンA型・B型は、板状突起が凹部ジョイント方向のタイプに似ている。

純正 A型 B型

対して、C型・D型、それにE型は凸ジョイントの方向に向いている。

C型までは純正同様に凸ジョイントがあったが、D型では円盤タイプは全ての側面ジョイントは凹タイプにされた。

E型でも、D型同様に全て凹部タイプになっている。

純正 C型 D型

E型

また、人面型宇宙船でも、C型までは純正のデザインを踏襲しているが、D型では翼が省略され、そのデザインはE型でも見られた。

純正 C型 D型 E型

制空戦闘機タイプでも同様の事が見られる。

C型では機首のラインは直線的になったが2本であった。しかし、D型では1本に削減されている。

E型でもラインは1本になっており、コックピットまわりに鋲のモールドが追加される等、形成は良くなっているが、デザインの傾向はD型に連動しているのが見て取れる。

制空戦闘機4型(パチモンC型)

制空戦闘機5型(パチモンD型)

制空戦闘機6型(パチモンE型)

三角翼の艦上戦闘機についても、このデザインの進化がより顕著に見られる。

純正の三角翼は、二等辺三角形の翼の前端に涙滴型のコックピットがある。

C型では涙滴型のコックピットが縦長になった上で翼に埋没するように低くなっている。

D型では三角翼に短い胴体が乗ったデザインに変化し、翼の前縁は機首から少し下がったところから始まっている。

E型はD型に似て、コックピットと胴体が一体化し翼は後翼の角度が大きくなっている。

艦上戦闘機5型(パチモンC型)

艦上戦闘機6型(パチモンD型)

艦上戦闘機7型(パチモンE型)

以下の写真で、この点を改めて検証していく。

純正は三角形の平坦な翼の上に涙滴型のコックピットが乗っている形になっている。

パチモンA・B型系では、コックピットがやや小さくなったり、縦長になったが、この基本は位置は変わらない。

C型になって、コックピットは小さくなったり、コックピット後部に3本の整流用の突起が追加されているが、やはり翼上に乗っている基本コンセプトに変更はない。

D型になって、コックピットと、その後端は胴体と一体化し機体長の半分位に拡大し、翼の後退角も増えて精悍なシルエットになっている。

E型では胴体前端が細くなり胴体の後端が細く長くなっている。

純製、C型、D型、E型の三角翼の機体デザイン。

この傾向は下方から見るとより分かりやすい。

純正は胴体下部は全幅の1/3程になり非常に幅が広くなっている。

C型は純正より幅が小さくなっているが前部から後部へのラインはなだらかである。

D型では前部の幅が細く後部の中央部から後部にかけての変化が少ない。胴体の最大幅は純正と比較すると明らかに小さくなっている。

E型は、胴体がより細くなり、胴体前縁が円筒形になり、その後ろから胴体が太くなり、翼前縁の部分にくぼみがある。

純製、C型、D型、E型のデルタ翼の機体デザイン。

純正のデザインを踏襲しながら新造されたC型があり、それを元に新しいコンセプトを追加したD型が作られ、

そのD型をさらに独自進化させたE型が作られたと見て良いと思う。

F型はカラーバリエーションが多く、10色が確認されている。

パチモンE型カラーバリエーション

鋲状の細かいモールドが用いられ、造形はそれなりに丁寧だが、デザインはD型の真似と、その枠から飛び出した独自のもので、

良く出来ているが、オリジナルの大台紙を作られることもなかった、なんとなく間に合わせ感が漂っている。

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パチF型

パチモンF型がパチモンD型のデザインを模倣した可能性が強いことを指摘したが、サイズ的には純正とほぼ同じであった。

しかし、純正に比べて非常に大きく、純正のデザインを踏襲していないパチモンのパチモンが確認された。

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パチモンA型には、パチモンオリジナルの大型宇宙船があることは先に紹介した。

板状突起やボールジョイントに対応する多数の接合部を持っており、非常に大型で、上部にある円柱上突起で、大型同士が縦に連結できる。

純正のデザインではなく、アニメのメカを元に独自にデザインされた、パチモンオリジナルのタイプである。

この大型のパチモンを真似たデザインの駄玩具が発見された。

白い大型パチモンと円盤の駄玩具、バネが入ったミサイルとそれを発射するプラスチックの銃が

台紙にブリスターパックで固定されている。

商品名は「UFO宇宙セット」となっている。

台紙の左上には、海外のデザインを元に人間型ブロックを作った「藤田屋商店」のロゴであった。

このため、マルコー産業の合体基地から大型のパチモンを仕入れた藤田屋商店が、

当時流行していたUFOをテーマにした駄玩具セットに組み入れたと考えた。

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しかし、実際に手に取ってみたところ、入っていた大型パチモンは、マルコー産業のものとは違っていることがわかった。

上段の銀色のが「合体基地」に入っていたもので、下の白色のが「UFO宇宙セット」に入っていたものである。

大型宇宙空母A型(パチモンA型)

大型宇宙空母B型(パチモンA型)

大型宇宙空母C型(パチモンF型)

大型宇宙空母D型(パチモンF型)

大きさも基本的なデザインもほぼ似ているが、双胴型の上部にある板状突起と翼の上端は、

「合体基地」に入っているものでは小型のパチモンの下部にある凹部のサイズに合わせてあり合体させることができるが、

「UFO宇宙セット」に入っていた方は突起の長さが合わずに合体させる事ができない。

台紙には「セパレート宇宙船はいろいろ組み合わせて遊ぶことができます」という説明イラストが描かれている。

それぞれの船体にあるジョイントは、小型のパチモンを着けるためではなく、この2個の大型パチモンをくっつけるためのものであると言っている。

これらの大型パチモンは、「合体基地」に入っていたものと比較すると成形がラフで、製造技術は若干劣るように見える。

船体後部の厚みは下半分を形成する型からは省かれ、主翼の突起も省略されており、垂直尾翼も長めの板状突起に簡素化されている。

左からセパレート宇宙船、マルコー産業製

大型円盤型の方も船首の突起は薄く、主翼も細くなり、尾翼の付き方が簡略化されている。

左からセパレート宇宙船、マルコー産業製

マルコー産業の大型パチモンを参考にして、成形型からつくったものであると考えられるが、

小型のものについてはあまり興味を持たなかったのか、純正と同じサイズのパチモンを作ることは考えなかったようである。

台紙に印刷されたSTマークに記された合格番号は、「B1383506」であった。

数字の4桁目は昭和の年号の下ひと桁になるので、昭和53(1978)年と読める。

明治合体チョコボールの発売は1975年で、多くのパチモンが前・中期デザインをもとに作られた時期からは大分遅れて申請されたことになる。

何時の段階で藤田屋商店において、この大型宇宙船の型が作られたかは不明だが、円盤玩具と大きさ的に釣り合う標的として、

古い他社の駄玩具を真似て作製したとも考えられる。

この白い大型パチモンこそが、駄玩具メーカー同士が他社の商品を割と気軽に真似て商品化した、

「パチモンのパチモン」が存在した証拠になるものと言える。

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明治合体チョコボールのパチモンに関して、その分類を、デザインの類似性から分析してきた。

これだけ理解すれば、砂場に埋まっているパチモンを見つけた際に、その種類を言い当てることができて、

ともだちから尊敬されること間違い無しだ。

しっかり理解して、君も分類しちゃおう!

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と、ここまでが、長い前置きである。

これからが本題である。

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C型とD型には、同じ型で作られたと思われる、軟質の素材を使ったものが見つかっている。

この軟質の素材は、スーパーカー消ゴムや怪獣消ゴムにも使われて、筋肉マン消ゴムで大流行した。

当時の小学生は「玩具じゃない。これは消ゴムだから学校に持っていっていいんだ」と、強弁してセンセイに取り上げられたものであった。

消ゴムと言っても擦っても紙に汚れが広がるだけであったが、BOXYのボールペンで弾いてレースをしたり、相撲を取らせたりして遊んだのだった。

合体チョコボールの軟質素材のものも、同様の理由で学校にもちこまれたのではないかと思う。

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合体チョコボールのオマケのパチモンは、純正に良く似たA・B型の系列と、

純正のデザインに独自の解釈を加えたC・D.E型の系列の2つの系統が見られることを詳述したが、

このうち、A・B型の系列でも、軟質素材のものが見つかった。

軟質素材を使ったこのタイプをA-2型と命名する。

左側のクリア素材のものが今回見つかった軟質素材のA型である。左側は比較のためにA型を置いてみた。

A型の特徴である機首や翼前面の突起は軟質の方にもあり、同じ型から作られたものと思われる。

素材の特性か、軟質の方が若干ちいさくなっている。

クリアな軟質素材は多くないが、先に紹介したようにスーパーカー消ゴムにも見られた。

今回入手されたのが2個で、三角翼の艦上戦闘機の翼端がまがっていることから、ガチャガチャに入っていたのかもしれない。

しかし、C-2型の様にタグ付きで売られていたものも見つかっていることもあるので、

このA型の軟質素材バージョンについてどのように販売されていたかは今後の調査を待ちたい。

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ちなみに、この手の軟質素材の宇宙モノとしては「UFO宇宙カー探査基地」という駄玩具も見つかっている。

小台紙袋入りで8個入っている。価格は不明で、台紙には袋の口をとめる普通サイズのホチキスが1箇所あるだけなので、

大台紙に大型ホチキスで留めて売られていたのではなく、紙箱にいくつかが入れられ、棚等に置かれて売られていたと思われる。

合体機能はないが六輪の探検車両と宇宙船が6種類あり、カラーバリエーションは緑、青、黄色、赤、黒の5色である。

台紙にはサンダーバード3号に似たロケットと宇宙飛行士、バックにはドーム型の建物が描かれている。

白っぽい星は地球の様にも見えるので、月面基地を表してるのかもしれない。

小台紙の左上には二本足の火星人のようなイラストと「Takeuchi」と描かれたロゴマークが見られる。

このメーカーについての詳細は不明で、多くの駄玩具メーカーが様々な宇宙関係の駄玩具を作っていたことがわかる。

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宇宙関係の駄玩具では、明治製菓から1977年に発売された「カプセルダ−」の棒状ジョイントを模した一連の駄玩具にも軟質素材を使ったものがある。

この棒状ジョイントを用いた駄玩具については、元になったアニメにも言及せねば成らず長くなるため、章を改めて紹介したい。

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と、まぁ、たった2個のパチ駄玩具を紹介するために、明治合体チョコボールのパチモンの全てを紹介してしまったわけであるが、

この記事を呼んだだけではとても理解できるとは思えない。

まして、ショップの店頭で、某クションの出品画像から、そのパチモンの種類を言い当てることは非常に困難であると思われる。

そのような場面で的確に分類できる様に、タコチュウやピコタンに続いて、明治合体チョコボールのオマケとパチモンの図鑑を作制しようと思う。

同じようにタコチュウで図鑑を作ると言ってから、かれこれ10年にもなるだろうか。

1冊作っちゃえば勝手もわかるだろうから、ピコタン、そして明治合体チョコボールの図鑑をまとめられるのは20年後だろうか。

昔ならいざ知らず、これから20年と時間を区切られると、生きていられる自信がない。

まぁ、こんな形ででもまとめておけば、そのうちなんとかなるんじゃないかと。

そのように考えておるわけですよ。

今回のパチモンの入手にあたって、T女史の手を煩わせた。毎度の事で申し訳なく思う次第である。

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