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あぁ!だからそういう名前なんだ!

宇宙のなぞ?合体ブロック

明治合体チョコボールは1975年に明治製菓から発売されたチョコレート菓子である。

前年に発売されたピコタンとともに、おまけ付き菓子として大ヒットした。

純正品の品薄感や、合体ものであるために子供に買える金額でなるべくたくさん欲しいという気持ちから、

駄菓子屋で多くのパチモンが売られていた。

現在まで、大別して5種類のパチモンが確認されている。

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明治合体チョコボールのパチモンには、純正と似たものと、純正をもとに独自デザインを加えたものにわけることができる。

純正に似たものとしては、「合体基地」という商品名のA型と、その派生型と思われるB型

独自解釈を加えたデザインのものとしては、C型D型、それらをもとにしたと思われるE型がある。

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最も純正のでザインに似せているパチモンがA型である。

パチモンA型

このA型は、パッケージ等の研究から、「合体基地」という名称で、マルコー産業の製品であったことがわかっている。

左がタグ付き袋入り、右は小台紙にブリスターパック

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A型を元に作られたパチモンのパチモンと思われるものにB型と名付けた。

パチモンB型

純正からA型を作る際、戦闘機の翼端に突起をつけたり、デザインにアクセントをつけているが、

このB型は、そのアクセントを踏襲しており、元にした純正の種類も同じで、種類はA型よりも少ない。

以上の点からB型は、A型パチモンを元にした「パチモンのパチモン」であると考えられる。

純製 パチモンA型 パチモンB型
風防が半球形で大きい 翼前縁に機銃を持つ 風防が細長く垂直尾翼が簡素化されている
全高が高い 円窓の後に突起がある 船体が薄くなり円窓と突起が低い

当時、駄菓子屋でもA型と並んで売られており、A型が品切れの際、仕方なくB型で我慢した記憶がある。

A型と同様に、台紙にタグ付き袋入りだったが、タグのデザインや商品名は覚えていない。

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パチモンA型B型は、元になった純正と、ほぼ同じ形であった。

それ以外に、ボールジョイントや上部の突起による合体という特徴をもちながらも、純正をもとに多少でザインを変えたシリーズがあった。

C型D型と分類したパチモンがそれにあたるが、当時はごく少数のみを保有していたため詳細はわからなかった。

しかし、各地の駄菓子屋や玩具問屋のデッドストックを入手する機会が増えたことによって、多少分かってきたこともある。

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純正とそっくりのデザインではないパチモンのなかで、C型と分類したものは、元になった純正の種類がA型B型とは違うものも見つかった。

パチモンC型

同じ型からではあるが、硬質の消しゴム素材で作られたものがデッドストックで見つかった。

「ミニUFO遭遇消しゴム」という名称で、「3重丸の中にイ」のメーカ−ロゴが見られた。

ケースに同じメーカ−ロゴの入った。プラスチック製のものも見つかった。

消しゴム素材の方をC−2型、プラ素材の方をC型とした。

左が消しゴム素材の「ミニUFO遭遇消しゴム」、右はケース入り(プラ製)

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元にした純正の種類がC型と同じパチモンのうちで、別種と思われるパチモンが存在することに気が付いた。

この種のパチモンをD型と分類することにした。

純正

C型

D型

各型の特徴

高速偵察機
C型機首先端付近にあった操縦席を機体中央部に後退させ、機首にも偵察員席と思われる膨らみがあるが、D型は操縦席を拡大し、機首の突起は小さくなっている。

艦上戦闘機
C型は風防が小さく省略されたが、D型は機首先端に移動させて前方視界を良くした形状になった。

制空戦闘機
純正よりも風防位置が前進し涙滴型に変更されている。純正は機首に2本線がある。C型には直線で2本、D型は1本のモールドがある。

重爆撃機
純正は水平尾翼の下面にも垂直尾翼が貫通しているが、パチモンにはない。C型には下面にも膨らみと鋲状突起があるが、D型はフラットになっている。

このD型は、残存数が少なかったこともあり、詳細は全く不明だったが、

ぜんまい太郎氏の御好意により、台紙付き完品を譲っていただいたことで、商品名が判明した。

名称は「合体基地ブロック」。

軽戦闘機や、高速偵察機、装甲車など、A型系列には見られない純正を元にし、

デザインはC型と共通点が多い。

このことから、D型は「3重丸の中にイ」のメーカ−のC型を元にした「パチモンのパチモン」である可能性が指摘できたが、

D型のタグが、マルコー産業製と思われるのA型と同じもの(色違い)であったことが発見された。

このことからD型は、意匠権意識の高まりからか、純正にそっくりのパチモンA型の製造ができなくなったマルコー産業が、

3重丸の中にイ」製のC型をもとに作ったものである可能性が出てきた。

このことについては、今のところあくまで仮説であり、本当のところはわからないといわざるを得ない。

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C型D型の系列には、さらに独自解釈を追加して、純正のデザインの影響が一層薄くなったものも見つかった。

これをE型と分類した。

台紙付き完品を入手したが、商品名は「ドッキングステーション」で、「合体基地」の英訳である。

ピコタンのパチモンも「ブロック」や「人間」「人形」といった共通のワードがいろんなメーカ−で使われたが、

明治合体チョコボールのパチモンは「合体」「基地」といった名称が多用されている。

パチモンE型

台紙には「オリジナルトーイ」、「アクセサリー」等と書かれており、台紙は他の商品と共用されていたようである。

メーカ−名は不明だが王冠のロゴマークが入っている。

形状はC型D型のデザインに大きな影響を受けていることがわかる。

C型D型E型と、純正のデザインの影響がどんどん減っていることから、

「パチモンのパチモンの、さらにパチモンである」という見方ができる。

パチモンC型制空戦闘機 パチモンD型制空戦闘機 パチモンE型制空戦闘機

風防が涙滴型になったが翼の後退角、機首のラインが2本なのが純製に似ている C型に似るが機首のラインが1本に減っている D型に似て機首のラインが1本だが、風防回りに鋲状の突起がある

パチモンC型艦上戦闘機 パチモンD型艦上戦闘機 パチモンE型艦上戦闘機

風防が小さくなり機体に3本突起がある 翼のラインが後方にさがり風防がほぞ長くなる 翼の前縁が更に下り小さな鋲の突起がある。風防がさらに大きくなる。

純製、C型、D型、E型のデルタ翼の機体デザイン

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・・・と、まあ、ここまでが前置きで、

明治合体チョコボールのパチモンの分類を概観してきた。

純正を元に2つの系列ができたことが見えてきた。

明治合体チョコボール(純正)


A型(マルコー産業)
「合体基地」
B型(不明)
不明
C型(3重丸の中にイ)
「ミニUFO遭遇消しゴム」
D型(マルコー産業?)
「合体基地ブロック」
E型(王冠)
「ドッキングステーション」

で、このC型のデッドストックが次々と発見された。

左が「ミニ合体ブロック」、右は「宇宙のなぞ?合体ブロック」

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プラケース入りのものは以前にも同じものが見つかっているが、

今回のものには「宇宙のなぞ?合体ブロック」と書かれていた。

シールの星の部分には、STマークがあり、D0290020と印刷されている。

台紙のタイトルは「ミニ合体ブロック」。

「いっぱいあつめて合体あそびをしましょう」と書かれている。

この部分のコピーは「合体基地」のA型は「基地とロボットの合体だよ」「いろいろな基地を集めて合体させよう!!」、

「合体基地ブロック」のD型は「たくさんあつめて合体基地をつくりましょう」と書かれている。

3種とも「集めて」「合体」させるようアピールしている。

「合体基地」(A型)は、2文、他の2種(C型D型)は1文の構成になっている。

「合体基地」(A型)は、文末が「させよう」、他の2種(C型D型)は「しましょう」となっている。

この文章を見てもC型D型に共通性がより強く見られる。

イラストの左側の戦闘機は、ウルトラマンレオのマッキー2号に似ている。

検索すると、ウルトラマンレオの放送期間は1974(昭和49).4.12〜1975(昭和50).3.28までで、

明治合体チョコボールの発売時期と重なっている。

このことから、このC型のパチモンは、1975年の比較的早い時期に作られたものと考えらる。

C型をもとにしたと思われるD型の台紙イラストと比較してみると、多角形の基地からメカが飛び出し、

ミサイルが飛び交い、ワイヤーに繋がれた宇宙飛行士がただよっていて、大変似ている。

特に左下の宇宙飛行士のポーズは、明らかに同じ絵を元に描かれたとみられる。

C型の「合体ブロック」の台紙の下部は黄色、赤、緑のストライプとなっており、

A型合体基地」(マルコー産業製)やD型合体基地ブロック」(マルコー産業製?)とは違っている。

合体基地」や「合体基地ブロック」は、赤、青、黄色、緑の色分けになっている。

しかし、改めて、C−2型(消しゴム素材)の「ミニUFO遭遇消しゴム」台紙を確認したところ、

この台紙には「3重丸の中にイ」のロゴがあり、マルコー産業製とは明らかに違うが、

台紙下部のデザインは赤、青、黄色、緑の色分けになっている。

1ダースの小袋のうちいくつが残っているのかを把握するのに便利なデザインで、

メーカ−を問わずデファクトスタンダードとなった可能性もある。

台紙下部がストライプになっている駄玩具を探したところ、

先に紹介したパチモンタコチュウ「チュチュ たこちゃん チュ!」が赤、黄色、水色のストライプであった。

チュチュ たこちゃん チュ!」もブリスターパック入りで、小台紙は黄色ベタがベースになっている。

台紙上部のタイトルイラストにメーカ−ロゴはないが、「合体ブロック」にもないことから、

チュチュ たこちゃん チュ!」も「3重丸の中にイ」の製品である可能性が考えられる。

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C型をもとにD型を作ったと考えると、

まず、A型合体基地」があり、C型の「合体ブロック」が別メーカ−から作られた。

そこで、D型では両方の名前をまぜて「合体基地ブロック」としたのではないかと思われる。

D型のメーカ−は確定できないが、A型と酷似したタグのデザイン、C型のメカデザイン、台紙デザインと、

双方の影響が強いことは否定できない。

.以前、マルコー産業製と思われるパチモンタコチュウと、プラスチック製の宇宙船が、

UFOの車輪付き玩具とセットになって「スペースインベーダー」という名前で売られていたのを発見した。

この宇宙船の駄玩具は「スリーウォーズ」と商品名であることが台紙付き完品からわかった。

この小台紙は黄色ベタにスミでメカの上面図が線画で描かれている。

この小台紙でザインは、「3重丸の中にイ」のロゴがある「ミニUFO遭遇消しゴム」にも見られる。

このことから「スリーウォーズ」も「3重丸の中にイ」の商品と考えられる。

左がスリーウォーズ小台紙、右がミニUFO 遭遇消しゴム

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「スペースインベーダー」と題した駄玩具のセットが、何時頃販売されたのは不明だが、

マルコー産業製のパチモンタコチュウと、「3重丸の中にイ」の宇宙船が一緒になっていることからみて、

この2つのメーカ−は、比較的近い関係にあり、そのために商品デザインの共有(模倣)が行われた可能性も考えられる。

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C型の「合体ブロック」(正確には「ミニ合体ブロック」)のパッケージを見てみると、

ブリスターパックに16個が入れられており、100円と思われる印字がされたシールが貼ってあった。

この価格はピコタンやたこちゅうのパチモンが50円だったことから、少し高い設定である。

しかし、このシールは売れ残った後に、時間が経って他の駄玩具の値上がりから、それにあわせるために追加されたものと考えられる。

小台紙は黄色ベタにスミで線書きされたイラストが描かれている。

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このイラストを見ると、純正に非常によく似ていることに気が付く。

例えば掃射兵型は、C型の「合体ブロック」に入っているものより、

純正、あるいは純正に非常に近い形のA型の「合体基地」に入っているものに近い。

左から純正、パチモンA型、パチモンC型

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円盤型宇宙船のイラストは、上部突起が、側面のボールジョイントと同じ向きの純正の中期バージョンに酷似している。

ボールジョイントの付け根の縦型の窓状の模様は、パチモンA型にも見られるが、

円盤が数種類あるにも関わらずC型には見られないものである。

ボールジョイントではなく凹部ジョイントになるが、D型にはこの窓状の模様が見られる。

左から純正、パチモンA型

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左からパチモンC型、パチモンD型

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高速偵察機と思われるイラストは、純正に見られるエンジン部の円錐状の形状が正確に描写されている。

キャノピー部分は描かれていないが上部突起は機体のほぼ中央にあり、これはパチモンC型D型にみられるデザインである。

左から純正、パチモンC型

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三日月型戦闘機のイラストは簡略化され過ぎて、どの型を元にしたかはわからない。

しかし、このイラストを描く際、手本にしたのは明らかに純正であったと思われる。

上部ジョイントが横向きの円盤型や高速偵察機といったパチモンA型に見られないデザインのイラストがあるということは、

パチモンA型ではなく、純正を手本に独自でザインを追加して、C型がデザインされたことが推測できる。

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最後に商品の名称に注目したい。

台紙付きの「ミニ合体ブロック」にはブリスターパックに16個が入っていた。

プラスチックケース入りの「宇宙のなぞ?合体ブロック」には40個と、フリスビータイプの円盤2個が入っていた。

同じC型で、ゴム素材を使用した(C-2型)「ミニUFO遭遇消しゴム」には、

小台紙付き袋入りで7個が入っていた。

このことから、小台紙付きの、12袋入りのものを「ミニ」と呼んでいた可能性がある。

ということは、プラスチックケース入りでゴム素材の「UFO遭遇消しゴム」が存在する可能性が考えられる。

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C-2型についでC型も販売形式が判明し、

A型D型E型の販売形式も分かっているので、残るはパチモンA型のパチモンと思われるB型のみとなった。

B型に関しては当時、台紙にタグ付き小袋入りで売られていた記憶がある。

つまり、似たような形態で複数のメーカーがパチモンを作っていたということになる。

意匠権意識の少なかったおおらかな時代が、このパチモン群からも伺いしることができて、大変興味深い。

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と思っているのは、まぁ、私だけなんですけど。(^^;)

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