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きのこの山の同級生?!

明治合体チョコボールは30歳!

明治製菓のきのこの山というチョコレート菓子がある。

三角形のチョコレートがきのこの傘になり、サクサクのクッキーがきのこの柄になっている。

1口でチョコとクッキーの味のハーモニーを楽しむもよし、

甘くしっかりしたチョコだけを先に食べて、クッキーだけをカリカリ食べるも良し。

旅先で駅の売店に売っているのをおばあちゃんに買ってもらって、よく食べたものである。

そのきのこの山が、なんと発売30周年を迎えたということである!

明治製菓 きのこの山・たけのこの里

http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/kinotake/

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きのこの山の発売は1975年。

上記のホームページの資料室によると、山陽新幹線の博多ー岡山間が開通し、

激戦地沖縄では海洋博覧会が行われ、天皇陛下が訪米するなど、安定的に上昇して行く日本が夢を見られた時代であった。

流行歌も「なごり雪」や「木綿のハンカチーフ」と言った、発展し続ける都会への憧れを歌った曲が好まれた。

アニメでは「フランダースの犬」が放映された。

この登場人物が、ピコタンの2パーツパチモンの派生型であると思われるポーズブロックマンの台紙に描かれていたことを以前紹介したが、

このことからも、明治合体チョコボールはピコタンの後に発売されたという記憶が確かなものであると考えられる。

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上記の「きのこの山・たけのこの里」のサイトを見ていたところ、

きのこの山の同級生たち」というページに、1975年に発売された製品が紹介されており、

その中に、なんと!!

明治合体チョコボールの新発売当時の画像が掲載されていたのである!

※明治製菓様より画像使用許諾。無断転載を禁ず。

商品名は「合体チョコボール」であるようだが、テレビCMでは「明治合体チョコボール」と言われていた記憶がある。

そして、この30年間不明なままであった、前期・中期型の種類数が、シレっと明記されているのである。

「パッケージ裏面(20種類)及びおまけ(24種類)が合体します」

上の画像からもわかるようにパッケージ裏面にはマンガ調の宇宙基地が書かれており、

右側中央部に見られるパイプが上下左右(先頭部分は左側のみ)で繋がるように描いてあった。

(パッケージに関しては一箱60円と高価だったこと、絵がマンガ調だったことなどからあまり興味を引かれなかった)((((^^;)

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重要なのはおまけが24種類あったということである。

上記画像には5色(緑、水色、オレンジ、黄色、赤)7種類が写っている。

明治合体チョコボール軍装備識別図説で前期・中期と分類したものを数えてみると、

ロボット10種類、戦闘機4種類、爆撃機・偵察機4種類、車両3種類、宇宙船3種類の24種類が確認できる。

これらにはそれぞれ多少違いの見られる2種類の型違いが存在している。

上記画像からどちらの型かが明らかに分かるのは、ジョイントの向きから円盤型の1型だけである。

円盤型宇宙船1型(前・中期)

円盤型宇宙船2型(前・中期)

この2つの型はほとんど変らないが、窓の部分が1型は凹凸が少ないが、2型は凹凸が大きく、

窓の部分に枠が付いているように見えるところが違っている。

偵察機1型(前・中期)

偵察機2型(前・中期)

このことが上の偵察機でもみられる。左側の方の後部の2つの窓は凹んでいるだけだが、右側には凹部を囲む枠がある。

爆撃機1型(前・中期)

爆撃機2型(前・中期)

窓を囲む枠の有無は爆撃機の操縦席の部分でも見られる。

仔細に見てみると1型と命名したほうが2型に比べて風防の形がはっきりしている。垂直尾翼の形状も2型の方が滑らかな曲線を持つ。

制空戦闘機1型(前・中期)

制空戦闘機2型(前・中期)

軽戦闘機1型(前・中期)

軽戦闘機2型(前・中期)

高速偵察機1型(前・中期)

高速偵察機2型(前・中期)

風防の部分の形状を比べると、制空戦闘機、軽戦闘機、高速偵察機でも同様に2型と分類したものの方が

胴体部分との境界がはっきりしている。全体の造形も若干違いが見られ、2型の方がスマートな印象がある。

人面型宇宙船1型(前・中期)

人面型宇宙船2型(前・中期)

同様な視点で人面型宇宙船を観察すると、1型のほうが窓のモールドが薄く、円板型宇宙船1型に近い。

垂直尾翼様の船体後部の突起も2型のほうが複雑な形状をしている。

重爆撃機のように、どちらともつかない種類もあるが、メカ物に関しては、

「あっさりとラフなデザインの1型」と「若干の工夫が見られる洗練された2型」の2種類があることがわかった。

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ロボットについては胴体の形はほとんど変わらないが、顔が明らかに2つの系統が存在するのがわかる。

ロボコン1型(純製前・中期)
ロボコン2型(純製前・中期)

ロボコン型や兵士型、砲弾型に顕著に見られるが、2型の方は目が大きくモールドが深い。

十字目型や掃射兵型は、両方を並べて見ないとわからないが、2型の方がより漫画的なデザインになっているといえる。

バンザイ型はたまたま未入手だが、前・中期の純正を正確にパクったパチモンA型に見られることから、

純正にもバンザイ型があったことが予想される。

バンザイ型についても、2種類のバリエーションが見つかった。

バンザイ1型(純製前・中期)
両手を上げている
バンザイ2型(純製前・中期)
1型より顔のモールドが深く、口は凹状である

詳細は「明治合体チョコボール軍装備識別図説

を参照されたい。

その後の研究の結果、前・中期には複数の型違いが見つかった。

詳細は「明治合体チョコボールの前・中期の再検討(前半)

を参照されたい。

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駄菓子屋やガチャガチャで販売されていたパチモンA・B・C・D型は、

全て先に挙げた24種類を元に作られていることからも、前・中期のラインナップはこれであっていると思われる。

また、独自のデザインに派生進化してしまったE以外のほとんどのパチモンは比較的早期に作られたことがわかる。

上からパチモンA型、B型、C型、D型

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発売時には1型が入っていた可能性が高いことが分かったが、

現存数は1型も2型も大差がなく、流通時期に前後があったのか、生産工場の違いによる差異なのかは分からない。

純正たこちゅうにも太目型という同じ種類でありながら明らかにデザインの違うものが確認されているが、

流通時期については大きな差がない可能性が高いことが分かっている。

このあたりについてはメーカーの資料などが発見されないかぎり、明らかにするのは困難であると思われる。

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今回、発売当初の種類数が確定したことから、それ以外の純正は、後期以降のものであることが分かった。

後期のものは、2型の系統のくっきりしたモールドのロボットと、空母・潜水艦といったより具体的なデザインの艦船。

2型のUFO同様に上面突起が側面の突起方向になっている、多くの種類のUFO型宇宙船がメインである。

このことは逆に2型と後期との関連性の深さを表し、2型の方が1型よりも後に出現した可能性もある。

宇宙船の系統が多いのは、当時、特にUFOといったものが流行したことによるものと思われる。

種類数については不明だが、新発売時に24種類あったことから、同等の種類数があった可能性がある。

指揮官型(純製後期)
工作1型(純製後期)

司令官型(純製後期)

レーダー型(純製後期)

ロボットは2型系列の深いモールドの人間タイプと、一層機械的なデザインのいかにもロボットらしいものが多い。

円盤型母船2型(後期)

円盤型母船3型(後期)

宇宙空母(後期)

高速連絡艦(後期)

UFOの上下のジョイント部は、円盤型宇宙船2型と同じである。

また、人面型宇宙船7型や潜宙艦、高速連絡艦の様にデザインを優先して上下のジョイントを省略したものもある。

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最晩期にあたるものは、やはり宇宙船型が多く特徴としては、マルコー産業のパチモン玩具、メリーゴーランドに付いていたピコタンの様に

足の部分に突起がある人間型のおまけに対応するため、上部に穴があるのが特徴となる。

デザインは一層洗練され、同時期のグリコのおまけや、ジョイントロボと言ったSF食玩と近いデザインテイストを持っている。

宇宙船型のものが多く、足に差し込みのある人間型があったためか、今迄のサイズのロボット・人間型はなかったように思われる。

艦隊旗艦用戦闘艦B型(最晩期)

新型六輪装甲車(最晩期)

戦闘艦B型の艦首中央部に見えるように、人間型おまけを立てる穴がある。

人間型おまけは頭のボールジョイントしかなく、足は突起があるため自立させることができず、

一箱60円のおまけとしてはハズレ感があるのは否めなかった。

さらに、山やビルの裏側に秘密基地が作られているのがあったが、これについてもスケール感の統一性を崩し、

大きさの限界もありあまり精密でなかったため、一層関心が薄れてしまった。

しかし、艦艇などのデザインはかなり洗練されており、1パーツのオリジナルSF食玩の中では出色の出来であったといえる。

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以前より、前・中期、後期、最晩期という分類を、当時の記憶やデザインの共通性から提唱してきたが、

今回、本家本元の明治製菓様のホームページから決定的な画像を発見し、流用させていただいたことにより、

明治合体チョコボールの分類が一挙に進むことになった。

24種類という決定的は解答が得られたため、前・中期のおまけが判明したが、これは飽く迄手持ちの実物を検討した結果であり、

今後の調査で入れ換えが出てこないとも限らない。しかし、パチモンとの考察からもかなり確実性の高い分類であると確信している。

明治合体チョコボールは、ピコタン、たこちゅうと同様に文献等で系統立てて扱われたことがなく、

30年を経た今、分類を研究するだけのサンプルを用意することも大変困難であると言わざるを得ない。

そのことからも、グリコのおまけや、絶版プラモなどの評価が定まったコレクターアイテム以外にも

研究し記録しておかなくてはならないブツがあることを示し、駄玩具の面白さを提案していきたいと考えている。

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上掲の明治合体チョコボールの新発売当時の画像は、明治製菓様に著作権があり、今回好意により転載を許諾していただいたものである。

二次使用、転載等は一切禁止する。

無断転載を発見した場合は、著作権者に報告するものである。

また、明治合体チョコボールの分類に関しては、独自の調査によるものであり、

誤りがある場合は御指摘いただければ研究の上訂正させていただきたいと思っている。

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一切の内容の無断転載、盗用を禁止する。

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