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合体しないけど合体パチかも

宇宙船プラ駄玩具(UFO宇宙カー探査基地)

明治合体チョコボールが発売されたのは、1975年。

今でも知られている「きのこの山」と時を同じくして新発売された。

明治製菓のサイトの資料室には、きのこの山の同級生として、発売当時の物と思われる広告画像が掲載されている。

明治製菓 きのこの山・たけのこの里

http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/kinotake/

※明治製菓様より画像使用許諾。無断転載を禁ず。

パッケージ(箱)の裏側には、秘密基地のイラストが描かれており、

上掲画像の裏面右側に見られるパイプの絵が上下左右に描かれていて、

裏側の基地イラストを並べ替えて遊べるようになっている。

おまけは24種類とあり、ロボット10種類、

戦闘機4種類、爆撃機・偵察機4種類、車両3種類、宇宙船3種類が確認されている。

これらの種類には、2種類のバリエーションが見られる。

人面型宇宙船1型(前・中期)

人面型宇宙船2型(前・中期)

この宇宙船は左右のポッドの向きが逆になっている。

これほど顕著な例は珍しいが、同じデザインでも1型と命名した方が、モールドが薄く造形が滑らかで甘めになっている。

制空戦闘機1型(前・中期)

制空戦闘機2型(前・中期)

軽戦闘機1型(前・中期)

軽戦闘機2型(前・中期)

高速偵察機1型(前・中期)

高速偵察機2型(前・中期)

上記の例では飛行機のコックピットと機体の接合部を見ると、2型のほうがくっきりと別れている。

同様な特長が、ロボットについても見られる。

1型とした方が顔(特に目)のモールドが控えめなデザインになっている。

ロボコン1型(純製前・中期)
ロボコン2型(純製前・中期)

その後の研究の結果、前・中期には複数の型違いが見つかった。

詳細は「明治合体チョコボールの前・中期の再検討(前半)

を参照されたい。

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純正は後に、新デザインが追加された。このシリーズを純正後期と称する。

後期には、デザインを重視したため一部の種類には、上下のジョイント機構が省略されたものも見られる。

人面型宇宙船7型(後期)

大型輸送ポッド(後期)

潜宙艦(後期)

高速連絡艦(後期)

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明治合体チョコボールのパッケージの裏面に宇宙基地のイラストが描かれているが、

これに影響された基地の形をしたものが追加された。

同時に頭部ジョイントは有るが、それ以外のジョイントを省略したリアルな人間型のおまけが出た。

この人間型は脚に棒状の細い突起があり、人間型以外のおまけには、この某ジョイントを挿す穴があるのが確認されている。

このシリーズを最晩期型と称する。

艦隊旗艦用戦闘艦B型(最晩期)

艦隊型補給艦(最晩期)

新型六輪装甲車(最晩期)

新型八輪装甲車(最晩期)

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明治合体チョコボールには、複数種のパチモンが確認されている。

上記の純正前・中期のデザインを模したものから、かなり独自の改変を行ったものまで、5種類のパチモンが見られる。

これらのパチモンをA型〜E型と命名した。

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パチモンA型は、もっとも純正のデザインに近いものである。

この型は、「合体基地」の名前で大台紙ホチキス留めのタグ付き袋入りや、ブリスターパック入りでも売られていた。

左がタグ付き袋入り、右は小台紙にブリスターパック

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また、プラスチックケース入りで、「UFO基地合体セット」の名称でも発売されていた。

UFO基地合体セット

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このA型のデザインを詳細に検討してみると、

戦闘機の翼の前・後縁や、宇宙船の船体に突起を付けたりといった改編があるが、基本的なデザインは純正に酷似している。

パチモンB型は、A型の簡略化されたコピーで、機体の突起はA型に似ている。

純製 パチモンA型 パチモンB型
風防が半球形で大きい 翼前縁に機銃を持つ 風防が細長く垂直尾翼が簡素化されている
全高が高い 円窓の後に突起がある 船体が薄くなり円窓と突起が低い

パチモンA型は16種類(他にパチモンにしかないデザインの大型のものが2種類ある)。

パチモンB型は10種類で、基になる純正のデザインはA型と全く同じものが選ばれている。

このことから、A型とB型は同じ系列であり、B型はA型を基に作られたものと思われる。

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明治合体チョコボールのパチモンには、他にもC型と命名したシリーズがある。

左が宇宙のなぞ?合体ブロック、右は小台紙にブリスターパックのミニ合体ブロック

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ミニUFO遭遇消しゴムセット

このタイプには、デザインは同じだが、素材がゴム製のものも発見されており、これをC−2型と命名した。

このC型も、純正前・中期のデザインに強い影響をうけている。

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C型に似ているが、違う種類のパチモンをD型と命名した。

ぜんまい太郎氏がデッドストックを発掘して譲ってくださり、その商品名とパッケージ、種類等が判明した。

商品名は「合体基地ブロック」。先に紹介したA型の「合体基地」の台紙に下部のグリッドデザインが似ている(色は違う)。

合体基地ブロック

タグのデザインは表面の書体は違うが、裏面のイラストは酷似している。

左がA型が入った「合体基地」、右がD型の「合体基地ブロック」

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C型・D型をA型系列と比較してみると、基になった純正の種類を推定することができるくらいには純正前・中期に似ているが、

パチモンA型よりも独自色が強くなっているのがわかる。

C型とD型を比較すると、C型のほうが若干、純正のデザインにより近い印象を受ける。

全翼式の艦上戦闘機は、C型のほうが純正の翼形に近く、D型はコックピットが前進し突出している。

制空戦闘機では純正の機首にある2本の線が、C型では再現されているがD型では1本に省略されている。

純正

C型

D型

各型の特徴

高速偵察機
C型では機首先端付近にあった操縦席を機体中央部に後退させ、機首にも偵察員席と思われる膨らみがあるが、D型は操縦席を拡大し、機首の突起は小さくなっている。

艦上戦闘機
C型は風防が小さく省略されたが、D型は機首先端に移動させて前方視界を良くした形状になった。

制空戦闘機
純正よりも風防位置が前進し涙滴型に変更されている。純正は機首に2本線がある。C型には直線で2本、D型は1本のモールドがある。

重爆撃機
純正は水平尾翼の下面にも垂直尾翼が貫通しているが、パチモンにはない。C型には下面にも膨らみと鋲状突起があるが、D型はフラットになっている。

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A・B型とC・D型の基になった純正をまとめてみた。

●:A型系・C型系の両方のパチモンにある、○:B型にはなくA型にしかない

純正種類名



砲弾型
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十字目型
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星目型
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兵士型
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飛行兵型

宇宙服型

ロボコン型
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掃射兵型

純正種類名



空挺型
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バンザイ型
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制空戦闘機

艦上戦闘機

重戦闘機

軽戦闘機
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爆撃機

高速偵察機
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純正種類名



偵察機
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重爆撃機
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重戦車

六輪装甲車
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八輪装甲車
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円盤型宇宙船

人面型宇宙船

星型宇宙船
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これによってわかるのは、A・B型、C・D型のどちらにも使われているものもあるが、

それぞれの系列でしか使われていないものもあり、それぞれが独自に作られたものであることが推測出来る。

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当時は知らなかったが、このC・D型に似たパチモンが他にも有ることがわかった。

商品名は「ドッキングステーション」。

「合体基地」の英訳というわけである。

ドッキングステ−ションのパッケージ

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大台紙は、駄菓子屋の壁に懸けて売る駄玩具用の汎用台紙のようで、「アクセサリー」、「Deluxe Toy」とかかれている。

メカデザインは、D型に似ており、一層純正からは遠くなっている。

全翼型戦闘機は、D型でキャノピーが前進し大型化したが、E型ではさらに大きくなって、翼高面のラインも一層後退角が増えている。

純正 C型 D型 E型

この戦闘機の裏面、胴体形状を見ると、アルファベットが下る程胴体が細くなり純正から遠ざかっていくのがわかる。

純製、C型、D型、E型のデルタ翼の機体デザイン

制空戦闘機では機首のラインはD型同様に1本になっている。

コクピットはC型以降の涙滴型で、突出が大きくなっている。

純正 C型 D型 E型

純正の人面型宇宙船もC型に採用されているが、先に紹介したA・B型にあった円窓の後の突起はついていない。

このことからも、C型系はA型系と違う流れであると言える。

そのC型に続くと思われるD型にも突起はなく、さらに特徴的なのは翼と先端のポッドが省略されている。

同様にE型にも突起がなく、翼が省略されていて、D型の直接の影響をうけたと考えられる。

純正 C型 D型 E型

これらのデザインの差異と変化の連続性から、C型→D型→E型の流れは明らかで、

先のA・B型の系列と違うことがわかった。

純正
「明治合体チョコボール」 チョコボールのオマケ。一箱60円で一個入っていた。

パチA型
「合体基地」 台紙に、タグ付きで12袋あり一袋には小14個か、大1個小3個が入っていた。
大1個小7個が入ったブリスター入りのものもあった。

パチB型
(不明) 台紙にタグつき袋入りで売られていた。(12袋?)内容数は覚えていない。

パチC型
「ミニUFO 遭遇消しゴム」
「宇宙のなぞ?合体ブロック」
プラ製とゴム製があり、ゴム製は「ミニUFO 遭遇消しゴム」といい、台紙つき小台紙入り袋に7個入っていた。
プラ製は「宇宙のなぞ?合体ブロック」という円形プラケース入りで40個と円盤2個が入っていた。
ブリスターに16個入りの「ミニ合体ブロック」もある。

パチD型
「合体基地ブロック」 台紙に、タグ付きで12袋あり一袋には16個が入っていた。

パチE型
「ドッキングステーション」 台紙にタグ付きで12袋ついていた。一袋には小13個が入っていた。

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で、延々と明治合体チョコボールのおまけとそのパチモンについて紹介したのはなぜか?!

・・・そう。ここまでが前振りなのである。

このトピックスページももうすぐ100項目にならんとしているが、

何時の頃からか、前置きが長くなってしまって・・・。

今では、前置きだけで何日もかかるようになり、大変なのである。

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フリマに毎週のように通い、様々な昭和グッズを発掘しているぜんまい太郎氏から、

またまた貴重なサンプルをいただいた。

7種類8個の宇宙船っぽい駄玩具である。このうち上段右の小さいのは別種のようである。(後述)

高速戦闘艇 ミサイル艇1型 ミサイル艇2型
大気圏連絡艇 ミサイル搭載砲艦 6輪探検車

特徴的なのは「ミサイル艇1・2型」に見られる、機体から伸びたアームの端についたミサイルである。

このようなデザインは、明治合体チョコボールの純正にも見られる。

制空戦闘機1型(前・中期)

人面型宇宙船7型(後期)

制空戦闘機は、C型系にもあるが、翼端ポッドには小翼は省略されている。

人面型宇宙船は、純正後期型には小翼があるが、C型では翼自体が省略されている。

そのため、この点ではC型(→E型)系列との関連は少ないが、純正のデザインおいては長期間使われた特長であることがわかる。

今回発見された「ミサイル搭載砲艦」はその機体デザインが大変興味深い。

左から人面型(純正)、砲艦(E型)、今回発見のミサイル搭載砲艦、重爆撃機(純正)

写真でわかるように、船体はE型の砲艦に似ている。左右のポッドは純正の人面宇宙船ににる。

このような翼端ポッドはC型系の戦闘機等に良く見られる。

ミサイル砲艦の艦首には、純正の重爆撃機に見られるのと似た窓のようなモールドが存在する。

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良く見ると機体には細かなモールドがある。

線の太さは割とラフで、いかにもパチモンらしい。

キャノピーのサイズやデザインはC型系に似ている。

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また、今回発見された宇宙船には、下部に脚がついている。

このようなデザインは他には見られないが、E型の高速偵察車にはこれに似た突起状の脚がある。

この点で、特にE型の影響を感じることができる。

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今回、いただいた中に、ひときわ小さいものが1個あった。

一緒に売られていたようであるが、サイズが小さく素材も他のものより硬質な印象で、

背面に突起様の脚もないため別種と考える。

先端に合体チョコボールのような突起があるが、先端の球状部の直径は小さく、受け部もない。

デザインもスッキリしていること、背面のスリット状の凹部があることから、

超合金か、それを模した駄玩具のパーツであったのではないかと考える。

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今回の宇宙船プラ駄玩具は、明治合体チョコボールのデザインに影響されているようである。

また、純正から派生したパチモンE型に似ている部分があり、純正と、派生型の両方の影響をうけている可能性が指摘出来る。

しかし、フリマで30年以上経ってから見つかったものであり、パッケージもなかったので、

この駄玩具の商品名や発売時期の正しい情報は不明と言わざるを得ない。

ただ、他の駄玩具との比較から、類似点・相違点を丹念に拾っていくと、何となく見えてくる関係性を感じることができる。

このような正解のないパズルを考えていくことが駄玩具の楽しみ方の一つであると考える。

この宇宙船の駄玩具のパッケージ入りのサンプルを発見した。

パチピコF・H型のタグ付き袋入りと一緒に見つかった。

商品名は「UFO宇宙カー探査基地」。

探査車と宇宙船が8個入っている。

緑、青、黄色、赤、黒の5色があることがわかった。

小台紙袋入りだが、ホチキスは上部の1ケ所だけで、他に穴はあいていないため、

大きな台紙にホチキス留めされていた痕跡は見つからなかった。

イラストはどこかの衛星のドーム基地とロケット、いかにもな宇宙服を着た人間が2人描かれている。

左下には探査車とそこからのびるアームが見て取れる。

右上には「Takeuchi」の文字と、アンテナを付けた火星人のような宇宙人が描かれている。

タケウチというメーカーロゴは今まで見たことがないが、当時の駄玩具業者が、

大手製菓メーカーや同業の駄玩具メーカーの商品を研究して、独自の解釈で駄玩具を作っていたことがわかる貴重なサンプルである。

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パッケージもなければ、何時、どこのメーカーが作ったのかもわからない駄玩具ですけど。

良く見ていくと作った人の思いというか、思考の動きが垣間見えるもんなんですねぇ。

まぁ、見えたからなに?!って言われればそれまでなんですけど。

そんなどうでも言い趣味のために御協力いただいているぜんまい.太郎氏をはじめ、フリマを巡るみなさんに感謝しております。

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