附)ピコタン図鑑(パチモン顔あり一覧2)

前ページでパチモンの顔ありタイプの中でも、比較的数が多く残っているもの、また、袋入りの状態を確認できたものを先に紹介したが、このページは残っている数が少なく、ガチャガチャで入手した可能性の強いものを扱っていくことにする。

パチモン顔ありD:パチモン顔無しD型と全く同じプロポーションで裏側に10種類の顔が発見されている。純正後期の顔をもとにかなり正確に似せられている。色は赤・うすい赤・オレンジ・黄色・薄い緑・青・紺・白・黒の9色が見つかっている。顔は「ズボン吊りブタ鼻」、「吊りズボンでか鼻」、「吊りズボン野球帽」、「吊りズボン野球帽」、「帽子を斜にかぶった少年」、「星バッチおかっぱ」、「真珠のネックレス」、「学生服」、「拳銃を腰に挿した野球帽」、「星のペンダント」の真似である。駄菓子屋売りのブロックと一緒に9個がまとまって入手された。また10個袋入りも見つかり駄菓子屋で売られていたと思われる。注射器駄玩具に顔ありAと一緒に封入されたのも発見された。

パチモン顔ありE:全長は純製後期と略等しいが、腕が細くプロポーションは顔無しCに近い。特徴的なのは顔が怪獣やウルトラマン、スペクトルマンの様なものになっていて、全く純製の真似になっていないことである。どうも、悪者とイイ者に別れて遊べるようにしてあるように考えれる。表面は顔ありBと同様の突起と顔ありCの裏面の縦線が共存している。新たに入手し顔6種類、色が12種類確認された。「ピョコピョコ組立ブロック」と「ピョコタンくみたてパズル」という2種類の名称で小台紙にブリスターパック入りで売られていたことがわかった。
パチモン顔ありF:大きさは純製前期型より若干小さいが、プロポーションは似ている。造形はラフで表面のストライプは純製と同じ、左上から右下に流れているが、本数も間隔もかなり適当な感じで数種類が確認された。顔はなにがオリジナルなのかわからないほどいい加減な作り。H型と一緒に入っているケース入りや袋入りのサンプルが発見された。顔は3種類とも非常に似ているが、ポケットの数、ボタンの有無で3バージョンが見つかった。製造技術の面で顔ありH型と共通する部分が有るため、同一の製造工場で作られたものと思われている。その後、古玩具店で数十個がまとまって見つかったが、顔の種類は3種で、色は緑・青・黄・赤・ピンク・白・オレンジの7種とそのバリエーションが確認された。パチモン顔無しH型同様に、腕の下に切り欠きが見られ、両種の関係性の高さを示唆するものと思われる。(H型の記事もあわせて参照されたい)「人形ブロック」の名称でブリスターパック入で、シマデンのロゴのあるビニール袋入りで、様々な販売形態がわかってきた。
パチモン顔ありG:顔ありCや顔無しBと似た大きさ、プロポーションを持っているが、表側腹部にジャンケンの手が刻印されている。少数が当時から存在し、入手経路は不明であったが、最近になって30個セットで入手し、グーチョキパーの3種が揃った。色は緑・青・黄色・赤の4種類であることがわかった。
パチモン顔ありH:最近発見された新種のパチモン。勿論デッドストックから発見されたので、作られたのは20年近く前と考えられる。顔はいかにもパチモンらしい、ウルトラ怪獣のダダ星人、片目、一つ目のカッパの様な顔の3種類がある。色は小さな違いまで指摘すると30種にもなり、素材の混合が非常にラフだったと思われる。。20個がバラの状態でまとまって入手したので、袋入りで売られていたものかも知れない。ピコタンのパチモンに詳しい方からの情報によると、「おみやげ」と書かれたラベルが貼られたビニールバックに、このH型とF型が一緒に入って売られていたそうである。観光地のお土産屋で売られていたと思われるということで、様々なケースに入れられて、比較的高い価格設定で売られていたと思われる。顔ありF型と一緒に、プラケース入りや袋入りになっているサンプルも見つかっている。
パチモン顔ありI:パチモン顔無しE型とプロポーションが酷似している。沢山の当時ものの中に入って入手した。表面の斜め縞はパチモン顔ありA型と同様に右上から左下に走っていて太さ・間隔は良く揃っている。顔は4種類で、純正の前期型・後期型のものから部分的に組み合わせて作られたと想像される。色は緑・赤・紺で、顔無しE型と大変似ている。その後、黄色が発見され、顔無しパチモンE型と同じカラーバリエーションであることが確認された。
パチモン顔ありJ:レッドバロン、ウルトラマン、トリプルファイター、電人ザボーガー等の特撮ヒーローっぽい顔を持つパチモン。腕などの作りの甘さが目立ち、表面は他にみられない細かい梨地になっている。某クションでこの種類だけ48個落札したもので、袋入り、あるいは何らかのプラ製ケースに入って居たものではないかと思われる。1970年代前半の番組をモチーフにしているので、その頃に作られたパチモンであることが考えられる。他の種類にはみられない紫色が使われているのが特徴的である。黄色に黒の線画の小台紙に、ブリスターパックのホチキス留めという形のデッドストックがはっけされた。メーカー等については今後の調査が待たれる。
パチモン顔ありK:形状は前期型に近く、全長は後期型に近くさらに若干小さい。顔は純正ピコタンの影響を大変強く受けており、細かいところまでよく似ている。そのため、以前は純正の中間型ではないかと考えたこともあったが、大量の純正を一度に入手したことが何度かあったが、その時に入って居なかった事、のちに台紙付きで「ブロック人形」の商品名でデッドストックが見つかったことから、パチモンの1種として分類することにした。基にした純正の前期後期の区別ができる程よく似せてあり、8種類が見つかっている。色は4色で、タグ付き袋入りで5個づつ入っていた。
パチモン顔ありL:足の形が頭の形と合致する特徴的な形状を持つパチモン。踵の部分が首の凹みに完全に合致する。このため、踵の間隔が狭く、それに合わせて胴体の穴の間隔も狭くなっている。他のピコタン型ブロックは、踵の間隔と首の凹みと反対側のわきの下の間隔が同じで斜めに合体させることができるが、このパチモンではできなくなっている。片方の踵をわきの下に嵌める事も出来ないため、合体の自由度がかなり損なわれている。顔は純正前期の「吊りズボン野球帽」をかなり忠実に真似している。大量にまとめて入手したが、顔は一種類しかなかった。色は4種類が見つかっている。(上段左側2個が純正)玩具業界関係者からの情報によると、「ピコタン」の名前で浅野製作所が現在でも製造している玩具であることが判明した。
パチモン顔あり大型A:中空で大型のパチで、パチモン顔無し大型A型(ジャボタン)やパチモン顔無し大型A型とほぼ同じ大きさである。胴体にいびつなハートマークがある他、パチピコC型系を彷佛とさせる長楕円に普通目、笑い目、つぶり目の3種の顔が見つかっている。動物ピコタンや大量のピエロ型と一緒に見つかった。色は赤、黄色、白が見つかっている。パチタコの帽子型ケース入にも2個ずつ入っていた。上記三色の他に緑が見つかった。

ピエロA型:文献等の研究から、ピコタンより古く、ピコタンの元祖にあたるものであることがわかった。。左側の純製後期と比べると、かなり大きい。形状もウエストがなく、胴体の穴も3個もある。左半分がストライプで、右半分が水玉で、顔はピエロになっている。ピンキーブロックの名前でプラケースに入ったものを発見した。ブロックボーイと言う名称で紙箱入りのものも発見された。
ピエロB型:都内某所で発見した。タグには「ピンキーブロック」という名称が書かれている。台紙付き袋入りで売られていたものらしい。ピエロA型と形状は似るが顔と模様が簡略化され、大型のC型に非常に良く似ている。組立てるとき立てる台が付いている。色は6色が各2個入っていた。顔は4種類でA型を大分簡略化したものである。顔はにっこり顔、怒り顔、眉付きにっこり顔、眉付き笑い顔であった。ひとつの顔に2〜4種のバリエーションがみられることがわかった。この種がピコタンより古くからあったことが最近の調査で判明した。
ピエロB2型:某クションで入手したピエロ型を分析した結果、ピンキーブロックという商品名で売られていたものに似ていることがわかった。色は6種類で、顔はにっこり顔、怒り顔、眉付きにっこり顔、眉付き怒り顔であった。ピンキーブロックにない眉付き怒り顔があることと、水玉模様のバリエーションがピンキーブロックと共通するものが無いことから、別の種類と分類した。素材的には似た感じであるので、たこちゅうの前期と太目のような、成型の段階からちがっているバリエーションの一つであると考えられる。このタイプをB2型とする。

左から純正後期、ピエロA型、ピエロB型、ピエロC型

ピエロC型:前述のピエロA・B型に比べて更に一回り大きい。顔はB型に似ているが一種類しかない。手足には穴があり糸を通して遊ぶことができる。内側が肉抜き去れている。胴体の穴はない。タグ付きの袋に5色が4個ずつ入れられており、他に赤と白の台が入っていた。駄菓子屋というより、玩具屋や駅などの御土産屋で鍵に吊るされて売られていたようである。

左から純正後期、ピエロD型、ピエロA型

ピエロD型:非常に小さいピエロ型。顔はピエロ型A型に大変よく似ている。つま先の突起は省略されている。胴体の孔もなくなっている。顔の反対面には「HONG KONG」の文字がある。ピエロ型は胴体の右側に水玉、左側に直線の模様があるが、このピエロD型は左右が逆になっている。ピエロA型に見られる首のフリル状の模様がこの小さいD型にも見られ、非常に共通性が高い。緑、青、水色、黄色、赤、ピンクが各2個入った袋入りが見つかった。

左から純正後期、ピエロE型

ピエロE型:前面にSPORTSの文字がある。拳の大きさはピエロA・B型とほぼ等しいが、背の高さが若干低く、厚みが半分程度しかない。裏面はスポーツ選手の絵柄になっている。ピコタンのうんどうかい編に影響された可能性が高い。ピコタンよりも先行してあったピエロ型だが、ピコタンの流行の影響され、ピコタンの新バージョンを取り入れたパチモンが作られた思われる。。色は黄緑・青・黄色・赤の4色がある。絵柄は、ヤキュウ、キャッチャー、スモウ、プロレス、ボクシングの5種類が見つかっている。

左から純正後期、ピエロA型、ピエロF型、ピエロE型

ピエロF型:他のピエロ型同様、左半身が縦線、右半身が水玉模様で、A型に見られるフリル模様は省略されている。顔はスマイルマークになっており、ピコタン顔有りC型のデザインに似ている。背の高さはピエロA・B型よりも低く、ピエロE型とほぼ等しい。厚みも若干薄いがピエロA・B型にほぼ等しい。色は緑・黄・ピンク・白の4色が見つかっている。

左から純正後期、ピエロA型、ピエロC型、ピエロD型、ピエロG型

ピエロG型:駄玩具に混じって1個発見された。大型のピエロ型だが、先に発見されたC型よりも大きい。顔はリアルなピエロタイプだが、服の模様がA〜C型と逆で、水玉が左側にある。腕が長い点、服の模様は香港製駄玩具で小型のD型と共通する。ピエロA型は日本製であることがほぼ確かだが、サイズも独特で香港製のパチモンと似た特長を持つこのG型は、ヨーロッパ製のオリジナルか、オリジナルに近いコピーの可能性がある。

左から純正後期、ピエロA型、ピエロH型

ピエロH型:表裏と頭の蓋の3パーツから成る。本体内は空洞で、仁丹様の菓子の容器であったと思われる。顔は表裏で違い、鉄腕アトムと少女になっている。黄色の胴体には「意匠登録第9267号 出願済」とあり、意匠公報から出願は昭和39(1964)年、登録は昭和41(1966)年であることがわかった。ピエロA型が発売されたのは昭和44(1969)年なので、最も古い記録となる。ピコタンの発売が1974年なので、10年も前に人間型ブロックの意匠が存在したことが明らかになった。

.

新説!!

型が上下逆?!

今回、H型を入手して気がついたが、顔のないサンプルが見つかった。しかし、良く検討してみると腹部の模様が顔のあるものと上下が逆になっていることが判明した。

また、顔無しの右足を見ると顔の一部と同じ形のエンボスが確認できた。また、顔のないサンプルは頭の部分のバリが大きいことも観察される。これらのことから、左側のサンプルは右側のサンプルと同様の型を使用しているが、そのとき上下を逆にしいる可能性が非常に高いものと考えられる。この手のオマケの製造過程を詳細に調査しないと、型を上下逆に使いうるかどうかわからないが、かなり確度の高い仮説ではないかと考えることが出来る。

.

一切の内容の無断転載、流用を禁止する。

附)ピコタン大図鑑(純製顔一覧1)へ

附)ピコタン大図鑑(純製顔一覧2)へ

附)ピコタン大図鑑(パチモン顔あり一覧1)へ

附)ピコタン大図鑑(パチモン顔なし一覧)へ

附)ピコタン大図鑑へ

4-4-1、ピコタンの使用へ

4-4、他戦力との合同へ戻る

戻る