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あら、同じ名前がここにも

人間ブロック part.3

明治製菓のチョコレートのオマケであったピコタンは、1970年代中盤に大流行した。

1パーツで形状も比較的簡単だったこと、意匠権への規制が今程厳しくなかったことから、

多くの種類のパチモンが作られ、玩具屋や地方のお土産屋、近所の駄菓子屋などで売られていた。

ピコタンのパチモンに関しては「ピコタン大図鑑」を参照されたい

ここまで、前回流用(^^;)

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1974年9月に発売されたピコタンの大ヒットに触発され、多くのニセモノ(パチモン)が作られた。

今までに見つかったパチモンは、顔のあるものが13種(小型のもの=C2型を含む)、

顔のないものが12種(大型のもの2種を含む)が見つかっている。

さらに、ボールジョイントで腰部が可動するものが5種、手足が可動する派生駄玩具が1種類知られている。

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これらのパチモンの多くには、人型を表す「人間」、「人形」、「マン」という言葉と、「ブロック」と言う言葉が商品名に多用されている。

2パーツパチモンである、「ポーズブロック」、「ロボくんブロック」にも、そのパチモンと思われる「ポーズブロックマン」にも、

さらには別メーカー製であることがわかった「マンガ人形ブロック」にも、ブロックという名前が使われている。

パチモン顔ありB パチモン顔なしD パチモン顔ありD パチモン顔ありC パチモン顔ありC
パチモン顔ありA

パチモン顔ありA
パチモン顔なしE パチモン顔なしG

パチモン顔なしH

パチモン顔ありF・H
パチモン顔ありF・H

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ところで、(珍しくも、もうここから本題なのであるが)

先日、某クションで、パチモンピコタンの新種が発見された。

顔なしで、比較的しっかりとした造型で、腕はスムーズに組める。

腰のくびれが強く足の外側が太くなっている。

もっとも特徴的なのは、頭部が小さく下部側面の出っ張りがすくなっていることである。

頭が小さいため足が短く、背も低くなっていて、一番小さい顔なしF型よりもほんのちょっと高い程度である。

このタイプを、パチモン顔なしK型と命名することにした。

左から顔なしK型、顔ありC型、顔なしD型

見つかる時は見つかるもので、違う出品者から、このK型の台紙付き完ピンを入手した。

ピンクの特色1色刷りで、タイトルは「人間ブロック」。

「50円売・12付」とあり、タグ付き袋入りで、20個入りが12袋ホチキス止めされている。

色は赤、緑、黄色の3色で各色の入り数の割り合いはまちまちである。

先の青とあわせて4色が確認された。

落札にはいたらなかったが、同じ台紙付き完ピンで、青が入ったものも出品されていたのを確認している。

袋詰めにあたって、総数だけあわせて色の組み合わせは適当だったことが伺われる。

左から顔なしF型、顔なしK型の色バリ

当時、パチモン顔なしC型やD型(B型もあったかもしれない)を、同様なタグ付き袋入りで買った記憶がある。

入り数については記憶がないが、価格は50円だったことを覚えている。

当時のこの手のタグ付き袋入り駄玩具の相場が、50円くらいだったことの証拠になる。

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タグには表面には「人間ブロック」の名前が書かれている。

裏面は遊び方が書かれている。この同体のくびれのない人間型ブロックは、

明治製菓からピコタンが出る前に、藤田屋商店から発売されていた「ピンキーブロック」や「ブロックボーイ」に似ている。

このプレ・ピコタンというべきタイプを、その顔からピエロ型と呼んでいる。

左からピンキーブロック、顔なしK型

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人間ブロック」という名称は、顔ありC型にも使われている。

顔ありC型は、先にプラケース入り台紙貼りのタグ付き袋入りが見つかっている。

これらのパッケージにメーカー名はないが、顔ありC型で足に突起をもつものが入れられていた「メリーゴーランド」という駄玩具には

マルコー産業のロゴが入っていることが確認されており、上掲の顔ありC型の「人間ブロック」もマルコー産業のものだった可能性が高い。

プラケース入りの「人間ブロック」にも胴体の太いピエロ型のイラストが見られる。

このピエロ型のイラストは、マルコー産業製以外と思われるパチモンからも広く見つかっており、

ピコタンの前にピエロ型が比較的良く知られていたことを表すと考えられ、

このピエロ型のイラストが使われていることからメーカーを推測することは困難であると見てよいと思われる。

上から、顔ありC型、顔なしD型、顔ありB型のイラスト

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今回見つかった人間ブロックのタグを子細に検討すると、

マルコー産業製のパチモン顔ありC型を使った「人間ブロック」のタグと非常によくにていることに気が付く。

左から顔なしK型、顔ありC型

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両者は酷似していると言って良く、子細に分析すると、「人間」のいルビが省略されていること、

「ブ」の濁点が文字の上に移動させられて、商品名のレタリングが雑なこと、遊び方イラストの出来が悪いことから、

今回発見された顔なしK型のタグは、顔ありC型のタグを真似たものであると見られる。

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明治合体チョコボールのパチモンである、合体基地にも似たタグが見つかっている。

しかし、こちらの場合は、裏面の遊び方イラストが全く同じであることから、同じメーカーのものでないかと考えている。

しかし、全く同じ商品名で、イラストの構図などを全くパクった、今回のようなパチモンのパチモンが存在するということは、

類似点からパチモンのメーカーを探るという方法の有効性まで揺らぎかねないということで、

今回の顔なしパチモンK型の「人間ブロック」という商品は大変興味深い発見であるということができる。

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カタログがあるわけではなく、メーカーに記録があるわけでもなく、

30年以上前のオマケの、さらにニセモノ。これぞ間違いない正解!・・・なんてものは、絶対に見つからないわけで。

「イイ年してなにやってんだか」という声は一切無視して、駄玩具研究に邁進する覚悟でゴザイマス。

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