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いいデザインはみんなのもの?!

ポーズブロックマン

前回紹介したポーズブロックで言及したように、

ポーズブロックで申請され、ロボくんブロックでは承認されて番号が付けられた意匠権の要諦である、2パーツ構成の新種が発見された。

PAT.471097

「本物品は、上半身と下半身に分割され、上半身下部と下半身上部とにおいて連結し、

一定角度の範囲内で前後左右に連結部から屈曲し、単体でポーズを取らせて遊べるようになっていて、

上半身の頭部後面と胸部に設けられる孔と、下半身の上部背面に設けられる孔に、下半身足部の先端を嵌入し、

前後方向に連結でき、また上半身の両肩部と胸部両側に設けられる凹溝に上半身の両腕部先端をを嵌入し、

左右側方にも連結して遊べるようになっている。」

この特許は、合体基地やロボくんブロックを作った「マルコー産業」取得したことが、特許庁の特許電子図書館で調べられた。

意匠公報471097(クリックで別ウインドウで拡大)

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この2パーツパチモンに新種が発見された。

これが今回発見された、ポコタン小型である。

形状的にはポコタン系列の、腰部で合体する2パーツモノである。

右から純正、ポコタン小型、ポコタン、ポーズブロック、ロボくんブロック改

写真からもわかるように、ポコタンよりも若干小さく、純正ピコタンよりも大きい。

拳の大きさは、純正2mm、ポコタン小型3mm、ポコタン4mm、ポーズブロックとロボくんブロック改が5mmで、

大きさ的にはちょうど中間にあたる。

ポコタンで見られたような胴体部の肉抜きはなく、後頭部の孔はあるが、下半身後部の孔が無く簡略化されている。

顔は一種類で丸い目に一直線の口という大変簡単なもので、目と口のみの構成はポコタンポーズブロックと目のデザインが似ている

パチモン顔ありC型(ピコタン大図鑑参照)に見られるものである。

この顔ありC型は確証はないものの前述のマルコー産業が作ったと考えられる。

左から顔ありC型、ポコタン小型、ポコタン

このように見ていくと、このポコタン小型は、ポコタンと顔ありC型をもとに作られたと考えられる。

腕をつないで横に連結させることはピコタン型でも見られる形状上の特徴だが、

2パーツ化の部分はマルコー産業の意匠権が成立している。

今であれば問題となるような、デザインの盗用(と言うほどの問題意識もなかったかもしれないが)が

行われていたことが、このポコタン小型からも見ることが出来る。

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顔や胴体のプロポーションから、ポコタンと同じ業者の製作とは思えない。

今回はショップから入手したため、当時の販売形態を調査することは出来なかったが、

分解すれば20円ガチャに入る大きさなのでガチャガチャで売られていた可能性がある。

一個の重さが大きくないので、ピンキーブロックのように台紙付き袋入りで売られていた可能性もある。

純正ピコタンと互換性のないパチモンは、その種類のみで遊ばなければならないため、

袋入りのような或る程度まとまった数で売られていたと考えられる。

しかし、造形がラフなことから、ガチャのハズレとして、合体することを売りとすることもなく、

何となく流通していた可能性も高いと思われる。

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ピコタンから派生して、ピコタンのサイズ違いの系列、ピエロ型、ポコタン型の各系列が存在したことが分かってきた。

その後の研究の結果、ピコタン型人形ブロックの発生に関しては

純正ピコタンから他の型が派生的に進化し他のではないことがわかった。

詳細は「徹底解明!ピコタンのできるまで」を参照されたい。

このそれぞれの系列は、拳の大きさで大型の5mm、中型の4mm、ピコタン純正の2mm、小型ピコタン(パチモン顔ありC2型)の1.5mmと

形状は違うが緩い規格が決っているように見える。

今回の、ポコタン小型の拳が3mmだったことから、ピエロ型にも拳の直径が3mmの小型が存在する可能性が出てきた。

※実際に拳の直径が3mmのピエロ小型(ピエロD型)が発見された。

ピコタンは拳の直径が一緒でも腕の長さや接合部の出っ張りが完全に一致しないと合体することは出来まない。

(ポーズブロックとピコタン大型中空のように合体できる組み合わせもある。)

このことから純正ピコタンを中心に(純正ピコタンが最初だったという仮定に基づくのであるが)、

多くのメーカーがそれぞれにデザイン上の工夫を加えつつ、大きさ的な部分で使用する素材の重量と価格などの縛り以上に

他を参考にして緩い規格が自然発生的にできてきたことが伺われる。

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このポコタン小型の台紙付を確認した。

タイトルはポーズブロックマン。タグ付き金色の小台紙入りで、13個が1袋に入っている。

台紙のタイトルには、ポーズブロックマン、ニューの文字がある。

「フランダースの犬」のネロがポコタン小型で遊んでいるイラストが描かれている。

駄玩具のタイトルには、その当時流行ったアニメなどのイラストを使い、

「○○○TOY」といったタイトルの汎用の台紙が用いられることがあるが、

この台紙はポーズブロックマンのために作られたものであることがわかる。

その他、「NO 50」という番号と「1打付」の文字がある。

この番号の意味は明らかでないが、「全国景品付玩具、菓子規制協議会」の登録番号である可能性がある。

ぜんまい太郎氏の掲示板の書込みによると、

串間先生の著書、「ザ駄菓子百科事典」の年表によりますと、
『昭和44年、全国景品付玩具、菓子規制協議会を結成。
東京、名古屋、大阪の各支部ごとに登録制度』とあります。

ぜんまい太郎氏のホームページで紹介した駄玩具には、番号の前に支部名を表す漢字が入っているが、

ポーズブロックマンには入っていない。東京は支部名を省略した可能性が考えられるが、

そうではなく商品の型番の様なものかもしれない。

右上にはST(安全玩具)マークが入っている。番号はC8088566である。

(STマークに関しては、(社)日本玩具協会のHPを参照のこと)

人間ブロックのケースにもSTマークが見られたが、この場合もアルファベット1文字に7桁の数字で構成されていた。

現在はSTマークの直後に西暦の下2桁を表示するように決められている。

アルファベットの意味は不明だが、このアルファベット以下の2桁は年号を表すのではないかと考えられる。

STマークの制定は昭和46年。人間ブロックの数字は「52」で昭和52年(1977)を示すと考えられる。

ピコタンを2パーツ化したポコタンタイプであるポーズブロックの特許申請が昭和50年であるので、

それのパチモンと思われる、このポーズブロックマンのSTマーク取得は「80」年(昭和55年)であると仮定すると

この前後関係はつじつまがあうように思われる。

「フランダースの犬」昭和50年(1975)に放映されているので、台紙に書かれているキャラが少し古い気もするが、

以前に紹介したロボくんブロック”改”にも「巨人の星」(昭和43年1968年)などが使われているので、

人気キャラクターは長期間使われていたことが考えられる。

STマークの通用期間は4年なので、人間ブロックポーズブロックマンもそれぞれ、

昭和48年(1973)、昭和51年(1976)ころに作られ、更新されたものであるかもしれない。

STマークについては玩具協会に問い合わせて以下のことがわかった。

<STマークについて>

玩具協会にSTマークの表記方法についてお伺いした。

STマークが始まったのは昭和46年(1971年)であった。平成以降は付番方法が変わった。

番号はアルファベット1文字と、数字7桁で構成される。最初のアルファベットは業界ごとの組合を表す。

数字は3桁がメーカーを表す。次の4桁目が和暦の下一桁を表す。

例えば4桁目が「1」であれば、昭和51年か61年だが、キャラクター商品等であれば、判断がついた。

残りの3桁は、認証に受かった時の合格番号を表すとのことであった。

平成以降は西暦表記を取り入れた、新しい付番方法が取られたとのことである。

STマークは数字の4桁目が昭和の年号の下一桁になるので、

「8」は昭和48年(1973年)か昭和58年(1983年)になる。

ピコタンの発売は昭和49年(1974年)だし、台紙に「フランダースの犬」のネロと思われる少年が描かれており、

アニメ版の公開が昭和50年(1975年)であること、

マルコー産業による2パーツパチモンの意匠登録が昭和53年(1978年)であることから、

STマークの取得は昭和58年(1983年)と思われる。

ピコタンの発売から9年、マルコー産業の意匠登録からも5年が経ち、ちょっと遅いようにも思えるが、

少なくともSTマークからの判断ではこの時点で発売されたと考えて良いと思われる。

当時のことはわからないが、現在でもマークの有効期限は2年で、再検査で合格すれば更新して表示出来るとあるので、

この台紙は、何度目かの再合格を経て、STマークの数字だけ訂正して印刷されたのかもしれない。

ひとつひとつは、「ポーズブロックマン」、「NO 50」、STマークが書かれたタグ付きの

中に金色の厚紙の小台紙が入った袋入りであった。

色は緑、青、白、ピンクの4色で、どれか1色が4個、他の色は各3個の計13個が入っている。

1袋に入れるには半端な数量とも思えるが、一定の価格(50円ではないか?)で、

使いうる素材の分量から算出された数量ではないかと思われる。

中列3番目の袋のみ、青が薄い色で、この袋のみ青・ピンクが各4個、緑と白が各3個の14個が入っている。

ポチキスの錆具合を見ると他と同様であるので、この1袋だけ別ロットの小袋で数を合わせたものと思われる。

顔は先に紹介した、丸い目に直線の口の一種類しかなく、台紙に書かれているのもこの一種類である。

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ピコタンのパチモンには、「人形+ブロック」、「人間+ブロック」、「ブロック+マン」というように、

ブロックと、人間(マン)の二つの要素を組み合わせた名前を付けてある

ポコタン型は2パーツで、ポーズを付けられることが特徴で、ポーズブロックと命名されていた。

そのポーズブロックに「マン」(人間)を追加したのが、このポーズブロックマンであるので、

ポーズブロックマンはポーズブロックのパチモンである可能性が高いと言える。

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ポーズブロックでピコタンから、ピコタン型のサイズバリエーション、ピエロ型、ポコタン型が派生したことを指摘した。

さらに、意匠権登録申請をしたポーズブロックの名前をちょっと変えたパチモンと思われるポーズブロックマンの存在は

それぞれの派生型から、サイズなどを変えて、恐らく別の会社がパチモンのパチモンを作っていたことが

一層はっきりしたということができる。

・・・・・・だからなんだ?!って?

別に意味なんかないんですけどね。

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