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最強の人型ブロック!!

合体ロボくんブロック

ピコタンに代表される人型のブロックは、実は大変息の長い玩具であり、

そのデザインの起源は外国にあり、ピコタンの発売よりも約10年は遡る可能性があることを指摘した

ピコタン型人形ブロックの発生に関しては

徹底解明!ピコタンのできるまで」を参照されたい。

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ピコタンの直接の先祖と思われるのは、ピエロ型と称することにした、藤田屋商店から昭和44年に発売された

知育玩具「ブロックボーイ」「ピンキーブロック」であると考えられる。

左から純正後期、ピエロA型、ピエロB型、ピエロC型

胴体が太いピエロ型から、純正ピコタンの腰が括れたデザインヘの変化がどのようになされたかは不明である。

明治製菓のプレミアムとして人形ブロックを提案する際、ピエロ型との差別化を計るため形状を変更したのか、

あるいは人型ブロックを模造した他のメーカーが腰のラインを変更していて、それを元にプレミアムにしたか、

この辺については追って調査していきたいと思う。

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ピコタンには、この腰の部分にボールジョイントを加えることにより、

体を捻ってポーズを付けられるパチモンがあることが当時から知られていた。

最近になって、それらが、「ロボくんブロック」や「ポーズブロック」という名称で売られていたことがわかった。

ネットで特許庁の特許電子図書館の「意匠文献番号索引照会」で、調べたところ、

この腰のジョイントだけでなく、腕同士の結合など、ピコタン系人型の基本的は特徴も、

パチモンメーカーであるマルコー産業が握っていることがわかった。

しかし、当時のプレミアムは今程重視されておらず、意匠権登録などせぬままに作られていたそうなので、

マルコー産業がこの意匠的特徴を作ったものか、後追いで登録だけしたものかは今もって判然としない。

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どちらにしても、腰のボールジョイントによって可動することでポーズを取らせることが出来、一層表情がでることになった。

左からパチモン大型、ロボくんブロック、ポコタン、純製後期

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.今回、さらに可動部分が増えた、「進化した人型ブロック」が発見された!

腰だけでなく、四肢全てがボールジョイントで可動するのである。

拳と同じ直径を持った突き出したつま先。それらと結合する胴体の穴や凹部といった、ピコタン系の特徴も持っている。

四肢の可動範囲は広く、足を巧く使うことによって、様々なポーズを取ることができる。

拳はつま先と同じ直径で、これが首や方の凹みや、頭や胴体の穴に嵌めることができ、自由に合体させることが出来る。

拳の先端にある小突起は、拳の裏面や踵後方の凹部に差し込むことが出来る。

この小突起と四肢の広範囲な可動によって、バランスをとりながら立体的に組み上げることができる。

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この人型ブロックは、幸いなことに台紙付き袋入りの状態で発見された。

台紙にタグ付き袋入りで、ピンク、黄色、緑、白が一個づつ4個入って入る。

タグはピンク地に白抜き文字でTOYと書かれている。

これは袋入りの駄玩具のタグによく見られるもので、様々な駄玩具に転用されていたと考えられる。

こういう台紙は普通、12袋が付いているものであるが、これは8袋分しかスペースがない。

パーツ数が多く大きめなこのブロックが、他のものに比べて高価な価格設定がなされていたことを思わせる。

一袋の価格を、他のパチモン駄玩具と一緒の50円以内に抑えるというのは困難であったと思われる。

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タグは流用だが、台紙は専用のものが作られていた。

名称は「合体 ロボくんブロック」であったことがわかる。

菓子のおまけのパチモンで、「合体」というワードを持つものを集めて以前に紹介したが、

この「合体 ロボくんブロック」にも使われている。

イラストは黄色地に線書きされており、胴体の太さが違う2種、色が4種類書かれている。

これは袋の内容とあっているので、カラー・タイプバリエーションは、これで全てなのかも知れない。

(後述のように赤も見つかり、5色が確認された。)

ロボくんブロック」という名称は、マルコー産業の「ポーズブロック」にインベーダー消しゴムをセットしたものでも使われている。

台紙には「○一つでもポーズがたのしめます。」「○二つ、三つと、いくつでも、つなぎあわせてあそびましょう。」と書かれている。

「一つでもポーズがたのしめます。」というフレーズは「ポーズブロック」にもあり、両種に共通する。

ポーズブロックでは「◎二つ以上でつなぎとファッション」書かれているが、これはポーズブロックの腰のボールジョイントを

スカートに見立て、色の組合せを変えることでたのしめることを示唆したものである。

合体 ロボくんブロック」も、一つでポーズをたのしみ、更に複数個を繋げられることをアピールするという、

同様のコピー展開が見られる。

これは「ポーズブロック」はどちらかというと女子向きで顔もかわいい感じなのに対し、

合体 ロボくんブロック」は男子向きで、ロボットそのものの顔と一層広い可動性で、ダイナミックに遊べるということかもしれない。

合体 ロボくんブロック」の台紙にメーカーロゴのでメーカーの特定はできない。

ポーズブロック」の小型版である「お早う!!ポコタン」のタグも地が黄色である。

ポーズブロック」と全く同じ形態の「お早う!!ポコタン」とタグの地色が同じで、

ポーズブロック」とコピーが等しいことから、これらの全てがマルコー産業の製品である可能性があると言える。

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先に紹介した「カニタンブロック」でも指摘したが、

プラスチックは、様々な色のクリア系に、白い素材を混ぜることによって安定化させ強度を持たせるらしい。

ポーズブロック」や「お早う!!ポコタン」、「合体基地」は不透明色で、素材的に丈夫な感じだが、

この「合体 ロボくんブロック」も同様の素材感がある。

可動する四肢の結合部は、抜くときに音がするほどしっかり作られていて、高い技術力を感じさせる。

ただ、ピコタンには10種類以上のパチモンがあり、これは製造されたメーカーの違いを表すものと思われる。

マルコー産業以外にも、同様な高い技術力を持ったメーカーがあった可能性もあり、

ポーズブロック」と同じ製造メーカーが作った可能性が非常に高いが、断言することは避けるべきであろう。

ポーズブロック」と「合体 ロボくんブロック」は、形状も非常によくにている。

頭や腹部の穴の形状や、胴体の縁の部分の厚さもほぼ等しい。

ポーズブロック」の拳と踵の後にある穴には、「合体 ロボくんブロック」の拳の突起が合致する。

合体 ロボくんブロック」の狭胴型の脇の凹みは、「ポーズブロック」の頭部のラインと一致する。

このことも、「ポーズブロック」と「合体 ロボくんブロック」がどちらもマルコー産業で作られたものか、

あるいは、「ポーズブロック」に合体させることのできるオリジナル商品を製造することが出来るくらいに、

技術的に優秀な同業他社が存在した事を示すと思われる。

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以前、形状が違う人型駄玩具も、拳の直径が共通であることを指摘した。

大型の人型ブロックは、腕の形こそ違うが、拳の直径はどれも5mmで、今回の「合体 ロボくんブロック」も等しいことがわかった。

左からピエロC型、ジャボタン、ポーズブロック、合体 ロボくんブロック

ピエロ型の「ピンキーブロック」は、藤田屋商店の製造であることが資料よりわかっている。

ピエロC型は、ピンキーブロックとデザインが酷似しており、藤田屋商店の系列の製造の可能性が高い。

実際は肩や首の凹みや腕の長さや形状のため、異種のブロックを合体させることはできないが、

メーカーの違いを超えたデザイン上の共通点があることは注目すべきことであると思われる。

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このような形状の共通点が、なぜ見られるのかは現状では不明である。

駄玩具メーカー間になんらかのつながりがあった可能性もあるし、

駄玩具の価格的な制約の中で、人型ブロックを作る場合、必然的にこの大きさになったのかも知れない。

この辺の経緯は、駄玩具の製造メーカーへの取材からしか、解決しえないものと思われる。

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最後に、「合体 ロボくんブロック」のデザインの元を、いつものぜんまい太郎氏より御教授いただいた。

1960年代に、堀川玩具から発売された、宇宙魔人といわれる、ブリキのロボットのデザインに似ているそうである。

堀川玩具とブリキ、ロボットで検索した結果、ミニチュアサイズで復刻されているようで、デザインは確かに似ている。

胸の扉が開き射撃しながら上半身を振るギミックがあったそうで、

合体 ロボくんブロック」の胸部には、この扉を表すと思われる四角いモールドがある。

復刻版の紹介ページには以下のスペックがあった。

●Super Giant Robot

1960年代、堀川玩具製、シューティングアクションの数ある中で最大級ブリキロボット。410mmh

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合体 ロボくんブロック」は名称こそわかったもののメーカーも特定することはできなかったが、

人型ブロックのバリエーションの広さを改めて見せつけるとともに、

ブリキの玩具のデザインをパクってしまうどん欲さを示し、当時の駄玩具の勢いを教えてくれる貴重な資料といえる。

これは、オークションで入手したが、関西の朝市で発見されたそうで、

居ながらにして日本中の駄玩具を入手できるようになったことを改めて喜ばしく感じる。

貴重な資料を御提供いただきました出品者に感謝するものである。

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合体 ロボくんブロック」のロボくんについて、

明治製菓のチョコレート菓子に「ロボクン」という商品があり、

そのオマケが手足が可動したことが、某ショップの記事からわかった。

ロボクン

頭部、胴体、左右の手、左右の足の6パーツで、

カニタンやカメタンと比較して非常に可動部分が増えた。

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マルコー産業の2パーツパチモンとインベーダー消ゴムのセットである

「ロボくんブロック」も、この明治製菓のオマケを意識したものだと思われる。

ロボくんブロック

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台紙に12袋ついた完品を発見した。

上記4色以外に、赤い色のものも見つかった。

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