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なんでもかんでも流用!活用!

ピエロ型の販売形態

ピコタンタイプの人間型ブロックは、明治製菓のチョコレートのオマケとなる前に、

想像以上に長い前史があることが、古い玩具業界紙などからわかった。

(「徹底解明!ピコタンのできるまで part.2」を参照されたい)

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このサイトを始めてから先輩にもらった人間型ブロックは特異な形状をしていた。

胴体は括れていずに3つの穴があり、特に特徴的だったのは、

およそかわいいとは言えない、実物に即したピエロの顔が描かれていることであった。

これをピエロA型と称することにした。

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しばらくして、同じ形だが、顔が若干簡略化されたものを、下北沢で発見した。

一緒にタグも見つかり、「ピンキーブロック」という名称であったことがわかった。

これをピエロB型と称することにした。

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この「ピンキーブロック」(ピエロB型)には4種類の顔があるが、

そのうちのにっこりと同じ顔の大きいものを、某クションで入手していた。

これは袋入りで、「SAFETY TOY」という汎用的なタイトルのタグには、フックなどに吊り下げるための穴があった。

大型20個と立たせるための台座が2個入っていたことから、駄菓子屋よりも玩具屋や土産物屋で売るための

高価な価格設定であったことが伺われた。

これを分類上、ピエロ型C型と称することにした。

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しばらくしてある店で、顔ありパチモンH型が沢山見つかったとき、一個だけ、このピエロ型の小さいものを発見した。

顔はピンキーブロック系ではなく、ピエロA型に酷似している。

左がピエロ小型、右がピエロA型

このピエロ小型は、表面の中央部にHONGKONGの文字が記されている。

つま先が省略され、腹部の穴も同様に略されて、板状の形態をしている。

これをピエロD型と称することにした。

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ソフビの膨大なコレクションを有する秀次郎氏が古い玩具業界紙を調査中に、

このピエロ型に関する記事を発見、送って下さった。

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玩具商報(昭和44年1月1日号)より引用 玩具商報(昭和44年8月15日号)より引用

それによると、ピエロ型には、「ブロックボーイ」と「ピンキーブロック」の2種類があり、

どちらも藤田屋商店が製造していたことがわかる。

下北沢で入手したピンキーブロックの台紙にあった組方見本は、この玩具商報の広告にある図と等しいので、

藤田屋商店のものであることがわかる。この台紙には藤田屋商店のロゴと思われるマークがある。

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で、ここからが本論。今迄はおさらいの所なので、ちゃんと勉強しておくように。

某クションでピエロ型を入手した。

かなり古い感じのプラスチック製の恐竜や、虫の形の鉛筆削り、プラ製手裏剣など、

タグには英文タイトルで一部MADE IN HONGKONGの文字のはいっているデッドストック品と一緒になって、

上掲の写真のように2個ずつが台紙付き袋入りで発見された。

顔は以前からあるA型と同じで、顔の種類はピエロ顔の一種類のみ。服の水玉模様に多少の大小が見られるが、

水玉の配置や数はどれも同じで、ピンキーブロックに見られたような水玉のばらつきのバリエーションはみられなかった。

原型の傷か、水玉模様の中に凹みのあるものがあったが、同様な凹みを今迄持っていたA型にもみることが出来たことから、

今回のA型と今迄のA型は同じ型から作られたことがわかる。

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注目すべきは下にはいっていた台紙である。

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上のものにも、下のものにもトラックの扉に、前述の藤田屋商店のロゴマークが見られる。

下の台紙に書かれた段ボール箱にはロゴマークと「フジタヤ」の文字があり、このピエロA型が藤田屋商店のものであることがわかる。

車のナンバーも「大」とあり、玩具商報の広告にある住所、「大阪市東住吉区今川町」に対応する。

一緒に上掲のような手裏剣とバネ仕掛けのバズーカ砲を入手したが、これらにも同じ様な台紙が入っていた。

この台紙を全てスキャンし、復元してみたところ、以下のような長さ20センチ、高さ10センチ位の「コンテナーカー」の箱の一部であったことがわかった。

この台紙には2個所に折り目が入れられており、小さなトラックの幌が左上にも見られることから、

コの字型に折り込む、蓋状に成型するものであったのではないかと思われる。

「コンテナーカー」はかなり大きな玩具で、荷台の箱には藤田屋商店製のコマだとか戦車だとか怪獣などの玩具が入れられていたらしい。

<発見!コンテナーカー!!>

某クションでこのコンテナーカーと思われるトラックの玩具を入手することができた。

大体振りを合わせてみたがライトに多少の違いがあるが、プロポーションは台紙の絵に非常に近い。

後部の透明なコンテナーには、前後2個所にセロテープの痕があり、この中に玩具が入っていたと思わせる。

残念ながら、タイヤは欠損しておりこの写真のものはオリジナルではないということであった。

説明には後部に駄玩具が入っていたと書かれているので、多分間違いないものと思われる。

サイズは全長が23センチと、上の台紙の大きさに符合する。

サイドのドアには藤田屋商店のロゴシールが確認できる。

コンテナの大きさは短辺が7,5cm、長辺13,2cm、高さが5cmである。

先にあげた手裏剣もバズーカも入るし、かなり大きな駄玩具も入れることができそうである。

タコチュウを適当に入れてみたが、約110個を積むことができた。

子供のころに、こんなタコチュウ入りのトラックを貰ったりしたら・・・。喜びのあまりショックで死ねる自信がある。

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上掲の玩具商報の広告には、「ピンキーブロック」に”改良型”の文字がある。

ピエロA型に比べて「ピンキーブロック」(ピエロB型)は簡略化された顔になっている。

ピエロA型の顔は首や手足のフリルを表す線も含め、写実的であるが、かわいさに欠ける。

日本人向きではなく、外国っぽいニュアンスが感じられる様に思う。

「ピンキーブロック」には顔の種類が4つに増えている。

広告の日付から考えて、「ピンキーブロック」は「ブロックボーイ」を改良したものであると思われる事から、

このピエロA型こそが、「ブロックボーイ」であったのではないかと考えられる。

広告によると「ブロックボーイ」は5色とあるが、以前よりあるピエロA型が青、白、黄色の3色で、

今回緑と赤が確認され合計5色になったことも符合する。.

(追記:同じピエロA型が、「ピンキーブロック」という名前でも売られていたことを示す資料も見つかった)

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藤田屋商店という会社についてはネットで検索してみたがヒットせず、廃業したか会社名を変更した可能性が高い。

一緒に発見されたものにはメイドインホンコンのタグがついたものがいくつもあり、

ピエロA型を扱っていた販売業者がホンコン産の玩具も扱っていたことが伺われる。

ピエロA型に非常によく似た小型のピエロD型は、ホンコン製の文字がある。

ガチャガチャ用や駄菓子屋用の駄玩具は、ホンコンからの輸入に頼っていたが、

日本でも技術的にも能力的にも生産できるようになり、40年代前後は多く海外に輸出され外貨獲得の重要な手段になってきたことからも、

このピエロ型のデザインが、ピコタンに比べて古いことの証左になると考えられる。

このピエロD型の販売形態が判明した。

駄玩具のセットの中に、ホチキス留め去れたビニール袋に入ったピエロD型が見つかった。

緑、青、水色、黄色、赤、ピンクが各2個で計12個入っていた。

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ブロックボーイよりも更に前の人間型ブロックである、トミーの「タックルボーイ」をこういったブロックの元祖ではないかと考えた。

「タックルボーイ」の意匠がイギリスで登録されていたことが、箱に記された番号からわかった。

この「タックルボーイ」にも、ホンコン製の偽物があることを紹介した。

この「タックルボーイ」の偽物にしても、ピエロA型の偽物であるピエロD型にしろ、

古い人間型ブロックにはホンコン製の偽物がある。

これ等の偽物が、「タックルボーイ」やピエロA型の偽物としてつくられたのか、

それとも、「タックルボーイ」やピエロA型のもとになる外国の玩具の偽物として作られたのかはわからない。

この辺りの事情は、玩具の輸入量の推移なども調べたうえでさらに調査していきたいと思う。

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今回、この駄玩具の入手にあたって、ぜんまい太郎氏の情報に助けられた。

いつもすまないねぇ、ゴホゴホ(^^;)。

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