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「カニタンブロック」は、某クション等で大台紙にタグ付き袋入りの完ピンを見かける。 微妙な値段なので、入手には至っていない。 . このカニタンブロックについて記載された資料が見つかった。 「’80東京小物玩具見本市 出品商品リスト(附・協栄会会員名簿)」である。 協栄会とは、東京玩具人形問屋協同組合協栄会ということらしい。 内容は、協栄会の見本市のようなイベントで出品された駄玩具のカタログで、 売価、商品名、包装方法(台紙付・箱入・その他)、1カートン入数、備考の順で文字で記載されている。 分野ごとの一覧表になっており、扱っているメーカーの記載の無いのは残念である。 「プラスチック製玩具」の項目の中に、カニタンブロックの記載があった。 この表によると、カニタンブロックは、売価50円であったようである、 ピコタンやたこちゅう、明治合体チョコボールの駄玩具がタグ付き袋入りで、だいたい50円だった記憶があるので、 相応の価格であると思われる。1袋5個入りだが2パーツなので、そんなに高価な印象はない。 台紙付き30打となっているが、他の商品は1〜2打か、数個までの個数が入っているので、誤植と思われる。 某クションで散見する大台紙付きは12袋(1打)が付いているのを確認している。 1カートン、つまり段ボール箱には、この1ダースつきの大台紙が30枚梱包されていたと読める。 50円×1打(12袋)×30枚=18,000円・・・。 当時、子供で駄玩具に2万円近くも使えるやつは居なかっただろうから、 この箱をひとり占めできた奴は居なかったろうけど。 . 気になるのは、カニタンは、1985年にもスナック菓子のオマケとして販売されていたことが、 パッケージをデザインしたデザイナー氏のブログを通じて教えていただけたことである。 1980年にカニタンブロックが販売されていると言うことは、1980年までに成形型が流出し、 明治の刻印を型から削除していることになる。 1985年のスナック菓子のオマケのカニタンはクリスタル素材だったらしいが、これは未見である。 このスナック菓子のために型を新造したものか、刻印を削られた型の他に、複数の型が明治製菓にも残っていたのかは不明である。 このあたりは、パッケージと一緒にクリアカニタンが見つかり、カニタンブロックと比較しないと結論が出せない。 . ちなみに、プラスチック製宇宙船合体「合体スリー」の記載があった。 100円で箱入りで、1箱20打(240セット)入りだったことがわかっている。 現在確認されているのは、3種各1機入りのブリスターパックである。
下部中央に「MARUKO」の記載があり、ピコタンやたこちゅうの駄玩具を作っているマルコー産業製と思われる。 STマークから、左側が昭和52(1977)年、右が昭和54(1979)年の発売であることがわかる。 後述の協会員一覧にマルコー産業(墨田区吾妻橋)は入っていなかった。 しかし、明治合体チョコボールのパチモン「宇宙のなぞ?合体ブロック」や、 大台紙付きブリスター入りの「合体スリーウオーズ」、 ブリスター入りでマルコー製パチタコとセットになった「スペースインベーダー」を作った「三重丸にイ」の字のロゴを見かける、 「マルイ」(仮称)というメーカーがあるが、 これと思われる「マルイ玩具」(杉並区東駒形)というメーカーが巻末の名簿に記載されているのを見つけた。 . マルコー産業と「三重丸にイ」ロゴのメーカーは、合体スリーの駄玩具をそれぞれの商品で流用しあっていることがわかっている。 合体スリーとマルコー産業のパチタコのセットである「スペースインベーダー」や、 マルコー産業のパチタコとブリキのUFOのセットである「UFO軍団」のSTマークのメーカー記号は「M259」だが、 この番号がマルイ玩具を表すのではないかと思われる。 . この資料は、商品名とメーカー名が直接ヒモ付けできないのが残念だが、巻末の名簿には参加メーカーの一覧が記載されている。 住所に注目すると、台東区がほとんどで55社、その中でも蔵前2・3丁目が17社、4丁目に1社と、計18社が集中している。 他は墨田区が8社、荒川区が4社と、東京23区の東側上部に集中している。 もちろん、東京都下の協会で入会していない会社もあるかと思うが、 駄玩具メーカーの多くがこの方面に集中していたことが良くわかる。 . 1980年の駄玩具見本市に、たこちゅうやピコタン、明治合体チョコボール等のパチモンが見られないことは、 パチモン駄玩具の寿命というか、入れ代わりが非常に激しいことを間接的に教えてくれる資料であると言える。 . |
タグ付き袋入りのカニタンを入手した。 4袋は黄緑、青、白、ピンク、黄色が各1個、1袋は黄緑、白、ピンク、黄色、赤の各1個の5個入りである。 タグには袋をとめる小さなホチキスが2ケ所、台紙に貼付けるための大きなホチキスが1個見られた。 これは、多くの駄玩具でも見られたように、大台紙にタグ付き袋入りのカニタンブロックが複数ホチキス留めされており、 買う時は子供が自分で毟って会計をする方式で販売されていたことがわかる。 赤が入っている一袋は、タグの印刷がずれている。 色の組み合わせは、ロットの違いである可能性が高い。 タグには丸い型抜きがなされており、大台紙に付けないでホックにかけて売られることもあったようである。 純正との違いは裏面の「丸C 明治製菓」の刻印が削り潰されていることであるが、 刻印の潰し方にもバリエーションがあることが確認された。 純正カニタンには、裏面前部に明治製菓の刻印がある。 今まで見つかっているのは、以下の写真の様にメーカー名の部分が凹んでいた。 今回の入手品の中には、刻印が薄く削られ、丸Cの部分の丸の曲線が残り、文字の位置も判るものが見つかった。 また、より刻印が判りにくいように、もじの部分が盛り上がって入るものもあった。 当初、明治製菓の純製品として作られたカニタンだが、その成形型がパチモン製造会社に流出して、 刻印を雑に削ったものが作られたと思われる。(青の例) その後、さらに深く削って、もじを読みにくく、再度修正したのではないだろうか。(ピンクの例) しかし、それでも文字の位置が判別できたため、文字の上に金属を盛り上げる形で、 完全に「丸C 明治製菓」の文字を消し去ったのではないかと考えられる。 製品が凹んでいると言うことは型を盛り上げたということである。 型を削る修正によって文字を判読不能にしようとしたが、なかなか消すことができなかったので、 逆に文字の部分を盛り上げて塗りつぶすことで、文字を完全に消し去ったのだと思われる。 . 今まで入手したカニタンブロックは、どれも明治製菓の文字の部分が凹んでいるタイプであった。 しかし、今回の入手品では、ひとつの袋に文字の消し方の違うものが入っていた。 下部のパーツも多数が同時に成形されたと思われるので、 初期には色々な処置をしたものがあったが、より完全に文字を消した形に落ち着き、量産されたと考えられる。 |