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試作品?それとも・・・

純正型破損タイプと非A型スッポリタイプ

ロッテの「たこちゅう」には、チョコレート菓子のおまけとして、箱に入ったタコチュウが2個(スッポリ大型は1個)入っていた。

大別すると水に浮く素材のもの、水に沈む素材のものの2種類がある。

水に浮かぶ素材のものの方が先にあったようだが、すぐに水に沈む素材のものが追加された様に思われる。

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純正たこちゅうには、普通目、ウインク、怒り目、眠り目、泣き目と名付けた5種類がある。

この5種類にはそれぞれ、目のモールドが細いものと、太いもの(太目系)の2種類がある。

純正たこちゅう

純正たこちゅう(太目)

たこちゅうの発売から1年前後が経過したころ、後述するスッポリダコが登場した。

それにあわせてたこちゅうの型が更新されたようで、デッドストックのスッポリダコと一緒に見つかる新型たこちゅうを

「最晩期型」と命名した。

純正たこちゅう(最晩期型)

この型には眠り目タイプがなく、4種類しかなかったようである。

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と、まぁ、ここまでが基本中の基本。

判らない人は「タコチュウ分類一覧表」、「タコチュウ派生一覧表」を参照し、復習しておくように。

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某クションでたこちゅうを入手した。

今回入手したこちゅう

箱入りのたこちゅうで、純正2個、スッポリ小2個、スッポリ大1個の5個である。

しかし、今回の入手品はどれも非常に意義深いものであった。

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タコチュウの箱には、赤・青・緑の3種類がある。各色には2種のバリエーションが確認されている。

赤箱は、ロッテの「テ」の字の棒の間隔が広いものと狭いものがある。

赤箱A型

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赤箱B型

間隔の狭いもの(赤箱A型)には、後期バージョン(沈む材質)が入っていた。

細目と太目の2種類が一緒の箱に入っていたこともあるが、前期バージョン(浮く素材)のものが入っているのは見つかっていない。

現在までのところ前期バージョンの包装形態はわかっていない。

間隔の広いもの(赤箱B型)は、スッポリ型が登場した際に作られたらしく、

純正最後期型やスッポリ大A型、スッポリ小A型が入っているのが確認された。

ここでいうスッポリA型とは、後述のB型に比べて数が多く一般的なタイプである。

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青箱A型

緑箱A型

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青箱B型

緑箱B型

青と緑の箱には「なかまがふえったくっつきたこちゅう!」とあり、スッポリタイプが作られた際に追加されたものである。

青と緑の箱には2種類あり、絵柄が違っている。

ラフな絵だが、A型のほうが線が多く、A型を元にしてB型の下絵を書き起こして作成したように考えられる。

A型の箱には、純正最後期とスッポリ大・小A型が入っている。

B型の箱は多少数が少ない印象があるが、中にはA型以外のスッポリタイプが入っている。

偶然かも知れないが、緑の箱にはスッポリ大が入っているようである。

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今回の入手品は、赤箱A型に純正沈オレンジと型破損タイプ。

青箱B型にスッポリ小B型が2個、緑箱B型にスッポリ大1個が入っていた。

以下にそれぞれを詳しく検討してみる。

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赤箱はA型で、中身は純正の水に沈む素材のオレンジ細目と、黄色の型破損タイプと名付けた特殊なたこちゅうであった。

左から純正後期普通目、型破損タイプ普通目

今回発見された型破損タイプは、細目タイプとも太目タイプともちがう、第三の純正後期型とも言えるもので、

今まで2種2個が確認されている。

左から今回発見された普通目、ウインク、怒り目

このタイプは本体直径は純正太目タイプとほぼ等しいが、吸盤は薄く、また直径が小さく、脚部が短い。

足のモールドがなく、顔も太目を元にしてはいるが独自のものになっている。

左から今回発見のたこちゅう、純正太目

目は太目と同じくらい幅が太いが、瞳の大きさは太目よりも小さく、細目の大きさに近い。

左から今回発見された細目普通目、型破損タイプ、純正後期太目

純正細目や純正太目よりも目と目の間隔が小さく、瞳は細目とちがって上を向いているところは太目に近い。

純正がどちらも目の幅は一定だが、型破損タイプは楕円形になり下膨れになっている。

型破損タイプは、太目と細目のそれぞれに似た部分はあるが、印象は太目を元にラフに真似ていったら出来上がったという感じである。

左が通常の太目普通目、右が型破損

左が通常の太目怒り目、右が型破損

左が通常の太目ウインク、右が型破損

現在確認されている型破損タイプを太目タイプと比較してみると、曲線に伸びがなく直線部分は削りっぱなしであり、

純正太目型を元に、フリーハンドで似せた様に見える。

当初、ウインクを見つけた時は、太目のウインクの型がなんらかの理由で破損したために、つぶった左目の部分の型を修正したものと考えた。

しかし、怒り目の目の上部のラインが、太目型よりも型破損タイプの方がフラットであり、

修正したというよりも似せて新造した可能性が高まった。

さらに、今回、同じようなテイストの型破損タイプに普通目まで見つかり、

その目の形は修正というよりも独自のラインを持った新造されたものである可能性が高まった。

型破損型の吸盤も、太目型に比べてどれも同じように奥行きがなく扁平で直径も小さい。

足の短いのも、顔の型の破損を修正した際にたまたま修正したのではなく、3種類が同じように短いということが確認さたということで、

一つのタイプの特長として考えてもよいと思われる。

.つまり、型の破損を修正したものではなく、細目型でも、太目型でもない第三の型である可能性が非常に高くなった。

破損した型を修正したものではなく、なんらかの理由で作られた別の型であるようだが、

今の所は便宜的にこの名称で呼称し、今後の研究で名称を変更する可能性がある

ラフな造型であることから、太目の試作品である可能性があるが、今の所は断言できない。

試作用に当時は高価であったはずの型を作ることがあるのか?その型で作ったものを商品として出すのか?

太目型を量産したというのに、なぜわざわざ試作品の型から作ったものも商品として出したのか?

どちらにしても、極端に出現数が少ないのはなぜか?

・・・・・・わからないことばかりである。

純正太目型破損にも泣き目が見つかった。

左が通常の太目泣き目、右が型破損

これによって、純正前期・後期、太目前期・後期と同じ5種類が確認された。

純正太目型破損

型破損の箱入り状態も見つかった。

赤A型の箱に、型破損タイプが2個入っているものと、純正後期と1個ずつ入っているものも見つかり、

型破損タイプは純正の一種であることが確定した。

また、スッポリのB型系と一緒に見つかった例が多いことから、

純正前後期、太目前後期、スッポリB型の大小が同じ系列で、

スッポリA型系と最後期型の系統と対をなすものであることがわかってきた。

左から純正後期と太目、純正後期と型破損タイプが混在している例

型破損の情報は、

「純正たこちゅうの分類と紙箱について」を参照されたい。

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この型破損タイプは全て、スッポリ小B型と一緒に入手されている。

型破損タイプの怒り目が見つかった時も以下のような組み合わせで見つかった。

型破損タイプ(後列左から3つ目)と一緒に入手された純正たこちゅう

某クションの出品者は、このたこちゅうについて、「お菓子屋で買ったものでパチモンはない。

駄菓子屋が家の近くに無かったので、本物しか買えなかった」と証言しており、これらのたこちゅうが純正であったと考えられた。

また、それ以前に、型破損型ウインクが発見された時は、

やはり非A型のスッポリ大C型と名付けたタイプと一緒に見つかっている。

型破損タイプウインクとスッポリ大C型

今回、型破損タイプの普通目が箱入りで見つかったことで、このラフな顔の短足なたこちゅうが、

純正のバリエーションであることが確かめられた。

その点でも今回の発見は分類学的に大変重要な発見であったと言える。

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同じ箱に純正細目と太目系と思われる型破損タイプが一緒に入っていたことも大変興味深い。

箱入りで見つかったもののうち、赤箱A型に入っていたのは、純正後期細目(水に沈む素材)のものばかりで、

前期(水に浮く素材)のものや、太目系のものは見つかっていない。

純正の前期型が赤箱A型に入っているのが発見された。

詳細は「純正初期型箱入り」を参照されたい。

唯一、ウインクの型不良のものが細目オレンジと一緒に入っているのが見つかっている。

このサンプルは、緑箱B型に入った非A型系のスッポリ大が一緒に見つかっており、

後期の太目系と、非A型のスッポリとの関連性が強かったことを伺わせている。

太目系純正と非A型系スッポリが一緒に見つかった

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先に箱の種類の所で説明したように、箱によって入っているたこちゅうの系統が違っていることが考えられる。

箱の種類

入っていると思われるたこちゅうの型
赤箱A型 純正前期型・後期型、太目前期型(?)・後期型、型破損タイプ
赤箱B型・青箱A型・緑箱A型 純正最後期型、スッポリ大A型、スッポリ小A型
青箱B型・緑箱B型 スッポリA型系列以外のスッポリ大・小型

今回の赤箱A型の純正後期、青箱B型のスッポリ小B型(非A型)、緑箱B型の非A型スッポリ大の組み合わせは、

最後期型とスッポリA型の大・小と、それ以外というグループわけの存在を示していると言える。

純正の前期細目・後期細目から最後期型とスッポリA型(大・小)の流れと、

それに並行する前期太目・後期太目から非A型スッポリ(+型破損タイプ)という2つの潮流があったようである。

もちろんどちらも「純正」であるが、製造工場か業者が違っていたと思われる。

純正の後期以前で箱入りのサンプルが非常に少ないので断定はできないが、

赤箱A型が使われていた発売当初は非常に人気があり、同じデザインの箱を量産し、細目と太目の両方の業者に納入していたが、

人気にかげりが見えてきた2年目(?)に、細目系の業者で最後期型とスッポリA型を主力とする生産体制に移行したようである。

この際に赤箱はB型に移行し、青箱A型・緑箱A型が作られた。

その際、多少ではあるがあまった後期細目型を太目型の業者に渡して太目型と混ぜて赤箱A型のままで箱詰めしたと思われる。

太目系の業者にも一応スッポリ型の生産にも参加させ、同じ顔の違ったデザインで製作させた。

その際、箱も青・緑A型をもとに、青箱B型・緑箱B型を新造した。

これは、青・緑箱のイラストが、A型のほうが線が多く、自然な描写になっていることから想像される。

販売中止の直前には、両方の系列の在庫を集めてごちゃ混ぜにして、いろいろな組み合わせで売られたという証言がある。

しかし、今の所のサンプルの出現比率と、箱に入って見つかったものを分析すると以上のような仮説が導き出せる。

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今回は、青箱B型に入ったスッポリ小B型が見つかっている。

スッポリ小B型と青箱B型

スッポリB型はA型に比べて出現数が少ない。顔はA型と同じだが線が太く大振りの顔になっている。

今回黄色の下目が増え、5種類になった。

スッポリ小B型

スッポリ小A型は10種類あるが、上掲の5種に対応するA型を以下に示す。

スッポリ小A型

本文中ではスッポリ小A型は、10種類確認されたとあるが、最終的には12種類が見つかっている。

左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目

左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B、リボン、にっこり

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.スッポリ小B型にも新しい種類が見つかり、小A型と同様に12種類が確認された。

左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目

左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B、リボン、にっこり

スッポリ小のA型には12種類が確認されている。

スッポリ小B型でも、同じ12種類が見つかった。

また、以前は「にっこり」タイプと命名したが、スッポリ小B型で同じタイプを確認したところ、

目の下の涙滴型が涙である事が確認できたので、「涙目」タイプとすべきだが、「にっこり」のままとする。

左から:スッポリ小非A型、スッポリ小A型

スッポリ小型の情報は、

「純正たこちゅうの分類と紙箱について」を参照されたい。

こうしてみるとスッポリ小型は、太目系と思われるB型の方が、大量に見つかっているA型よりもデザイン的に完成度が高いようである。

箱についてはB型のほうが線が省略されているためにA型系の方が先に作られたと思われるが、

顔については線を整理して、よりはっきりしたデザインにリファインしたものと思われる。

サンプル数が少ないのが残念だが、このスッポリ小B型が小A型と同じ10種類見つかるのか、

A型の10種類から選抜された少数の顔しかないのか、結論を出すのは難しいと思われるが、興味深い疑問である。

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もう一つは、緑箱B型に入ったスッポリ大B型系が見つかった。

スッポリ大B型系と緑箱B型

箱は青B型と同じ版で色違いになっている。

非A型系のスッポリ大型は、当時からあった2個を除く3個が今までに発見されているが、

どれも緑箱B型に入って見つかっている。

スッポリ大D型、スッポリ大E型が入っていた緑箱B型

A型はスッポリ大型がないのに緑箱A型が見つかることもあり、かならずしもスッポリ大型が緑色の箱に入っているとは言えないが、

非A型のスッポリは、緑箱に入っている可能性が高いのではないかと思われる。

非A型のスッポリ大は、今回の発見を含めて6個が見つかっている。

左からスッポリ大B型(2個)、C型、D型、E型、今回発見されたスッポリ大型

スッポリ大B型は、当時から持っていたものだが、大量に見つかったA型に対して少数派だったためにB型と称することにした。

スッポリ大C型(黄色)は、型破損ウインクと一緒に見つかったもので、吸盤の直径が小さく、全長が短いことから別のタイプとした。

スッポリ大D型は、B型と同じ二重丸リボン付きだが、顔の線がシャープで、全長が小さい。

口の吸盤の直径が若干小さく深さがある。口の付け根は大B型に比較して太い。

同じ顔であるが形態的に相違点があるため、敢てB型とは別の種類とした。

スッポリ大E型は、背の高さはB型とD型のほぼ中間で、吸盤の直径はどちらよりも小さい。

口の吸盤の付け根が、細いB型と太いD型の中間くらいの太さになっている。

左からスッポリ大B型(2個)、C型、D型、E型、今回発見されたスッポリ大型

左からスッポリ大B型(2個)、C型、D型、E型、今回発見されたスッポリ大型

今回の発掘品は、E型と同じ怒り目であるが、口の吸盤はE型よりも大きく、D型に近い。

背の高さはほぼE型に近いが、B型以外の4種類の差異はほぼ違わないとも言える。

怒り目の顔はE型とほぼ違わない。口の付け根の太さはE型に等しい。

足の部分のモールドは、それぞれの間隔の特長はどれも同じだが、

一つとして同じものがないことがわかった。

今回の発掘品は、D型とE型の特長を部分的に持っていることになる。

吸盤の大きさ等の特長とプロポーションから、D型の怒り目と一応分類しておくのが妥当と思われるが、

顔はE型と全く同じで、足のモールドもE月型に近いので、D型とE型は同じ種類で、

今回見つかったのはこのD・E型系列の怒り目のバリエーションとも考えられる。

(非A型スッポリ大のB型以外タイプ(=D・E型)の、亜種D型と亜種E型と細分化して分類する)

とりあえず今回の発掘品はスッポリ大D型の怒り目タイプと分類しておくことにする。

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スッポリ大の非A型に関してはサンプル数が少ないため現段階では結論を出さない方がよいと考える。

同じ顔でもB型とD型は違うタイプとする必要があると思われるが、

同じ顔の見つかったD型とE型が、形態状の差異があまり大きく無いところで別のタイプとするべきかは、

まだ断定するのは時期尚早であると考える。

これについては今後、さらにサンプルが出てきた時に分析し、C・D・E型をどこまで細かく分類するかを決めて行きたい。

スッポリ大非A型は、現在、7個が確認されている。

新しく見つかった4個は全て緑箱B型に入って見つかっており、スッポリ大非A型は緑箱に入っていた可能性が高い。

左から:スッポリ大B型2個、スッポリ大D型3個、スッポリ大E型、スッポリ大C型

D型と称することにしたタイプは口吸盤の大きさが中ぐらいで、他のタイプと顔デザインがダブる事から、

もっとも一般的なタイプではないかと思われる。

しかし、サンプル数が少ない上に顔のデザインにも型違いが見られる事から、

それぞれ別種なのか、亜種レベルでの違いなのかは、今後の研究を俟ちたいと思う。

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スッポリ大型の情報は、

「非A型スッポリタイプの再検討」を参照されたい。

.スッポリ大非A型に新しい種類が見つかり、6種類が確認された。

スッポリ大非A型(左から:ウインク、怒り目、リボン、にっこり、眼鏡、縦結び)

スッポリ大のA型には6種類が確認されている。

スッポ大非A型でも、同じ6種類が見つかった。

純正たこちゅうの種類については、

「純正たこちゅうコンプリート」を参照されたい。

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でも、たこちゅうですよ。

ロッテの社史にも載って無い忘れられたおまけですよ。

非A型が少ないっていっても、たまたま出てきた数がすくないだけかもしれないし。

型破損タイプなんて吸盤も小さいし、パッと目に見たら出来損ないって感じだし。

そんなもんをあーだこーだ言たってねぇ・・・。

わっかるかなぁ・・・。わかんねぇだろうなぁ・・・。(^^;)

わかんなくても、別にいいんですけどね。

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