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一応、一区切り?

純正たこちゅうコンプリート

「たこちゅう」は、1976年から1977年までの約1年間だけ、ロッテから販売されたチョコレート菓子である。

そのオマケは、球体に2個の吸盤がついたシンプルなデザインであったが、

当時の小学生には大流行し、お菓子屋では売り切れが続出し入手が困難であった。

そのため、多くの駄玩具製造メーカーがパチモンを作り、駄菓子屋で販売されていた。

パチモンタコチュウの種類については、

タコチュウ分類一覧表」、

タコチュウ派生一覧表」を参照されたい。

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たこちゅうを集めようと思い立ったのが遅かったのも有り、当時はほとんど手に入らなかった。

友人の沢村君が、パチモンも含めて数十個をまとめて譲ってくれたことがあり、

そのコレクションを基礎に、高校に入って渡辺君からいくつかもらったものを加えて、

パチモンも含めて100個集めることができた。

しかし、それ以降は全く見つからず、2002年のホームページ開設の頃までは、

コレクションも研究もほとんど進まなかった。

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インターネットが普及しだして、自分でも「たこちゅう」や「ピコタン」といったオマケのホームページを

作ってみることにして、2002年4月に「実習指導 正しいタコチュウの遊び方」サイトを開設した。

その頃から某クションやショップ、同好の士の協力等によって、「たこちゅう」や「ピコタン」を入手することができるようになり、

ロッテ製のたこちゅうについて、段々わかってきた。

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沢村君のコレクションは、多種多様のパチモンが混ざっていたが、

譲ってくれたのが早い時期であったため、純正「たこちゅう」に関しては、

比較的初期のタイプに片寄っていたということが、蒐集を続けてから判明した。

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直径1.3cm程の球体の本体に、口と脚に計2個の吸盤がついた、普通な形状のたこちゅうばかりであった。

その中で、パチモン以外の純正と思われる「たこちゅう」には、

2種類の素材で2種類の顔のパターンの、計4種類があることがわかっていた。

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素材は、柔らかい水に浮く素材のものと、比較的固い水に沈む素材の2種類が有ることがわかった。

小学校の低学年の頃、津村君に見せてもらったたこちゅうは水に浮く素材であり、

この水に浮くタイプがより早い時期からあったものと考えた。

そこで、水に浮くものを「前期型」、水に沈むものを「後期型」と称した。

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たこちゅうの顔は、「普通目」、「ウインク」、「怒り目」、「泣き目」、「眠り目」の5種類があることがわかっていた。

この顔には、より太いしっかりした線で作られたタイプがあることもわかっていた。

太い線のタイプは「太目」と称することにしていた。

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ここまでに確認された純正たこちゅうは、

純正前期型純正後期型純正太目前期型純正太目後期型の4種類である。

純正前期型

純正後期型

純正太目前期型

純正太目後期型

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高校に入って、同じクラスになった渡辺君が、

「たこちゅう?あー、あったねぇ。まだ残ってるかも。あったらやるよ」といって持ってきたタコチュウの中に

初めて見る形状のタコチュウがあった。

もらった当初はパチモンの一種と考えていた。

脚吸盤の釣鐘型で小型の頭部、大型の頭部の突起が、大型の脚吸盤にスッポリと収まることから、

これを「スッポリ型」と称することとした。

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また、水に沈む素材の中に顔の彫が浅いタイプが有ることに気がついた。

後列が純正後期型、前列が彫の浅いタイプ

彫の浅いタイプは赤と水色しかなく、他の純正に見られる黄色やオレンジ等のカラーバリエーションが無かった。

しかし、素材は後期型に極めて近く、脚吸盤にある放射状の突起もあるので、純正の一種と考えた。

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サイト開設までの長い停滞期にわかっていたのは、以上の知識のみであった・・・。

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サイトを開設すると、当時を知る人から情報提供をしていただき、様々なことがわかってきた。

たこちゅうを当時あつめていた、かとう師からは、スッポリ型は純正のたこちゅうの一種であり、

後期のバージョンであることを教えられた。

飽きやすい子供の関心が薄れてきたために、「たこちゅう」の新型を投入してテコ入れしたものであると考えられる。

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某クションにパチモンを含む「たこちゅう」が出品されるようになり、色々なことがわかってきた。

同時に多数が入手されたスッポリ小A型大A型純正最後期型

デッドストックの箱入りたこちゅうが何度か入手されたことで、

先述の彫の浅いタイプは、スッポリ型と一緒に販売されていたことがわかってきた。

このタイプを、後期よりも後のバージョンということで、「最後期型」と命名した。

純正最後期型

最晩期型と一緒に見つかるスッポリ型は、比較的硬質の水に沈む素材で作られている。

このタイプはデッドストックの箱入り状態で一度に多数が入手されて、急激にサンプル数を増し、

スッポリ大型には6種類、スッポリ小型には12種類が見つかった。

このタイプを「スッポリ大A型・小A型」と命名した。

スッポリ大A型(左から:ウインク、怒り目、リボン、にっこり、眼鏡、縦結び)

スッポリ小A型(左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目)

スッポリ小A型(左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B、リボン、涙目)

※涙目は、 以前は「にっこり」としたが、B型を確認したところ、涙を流していることが判明し改名した。

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スッポリA型が揃ってくると、同じ顔デザインでもA型と違うタイプがあることがわかってきた。

左から、渡辺君からもらったスッポリ大B型2個、大A型2個、小B型、小A型

渡辺君からもらった大きなスッポリ大ダコは、スッポリ大A型に比べて柔らかい素材で、

口吸盤の中央に凹部がなく、直径は大きい。

同じ顔デザインのA型が見つかったが、顔のパーツの大きさのバランス等が明らかに違っているのが確認された。

スッポリ小ダコにもバリエーションが確認された。

口吸盤に凹部がなく、脚吸盤に見られる足を表す突起の配置が沢山見つかるA型と命名したスッポリ小ダコと違っていた。

暫定的にA型とは違うスッポリダコを、それぞれ大B型小B型と命名した。

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某クション等で、箱入りの状態でみつかる純正たこちゅうが増えてくると、

箱にも種類が有ることがわかってきた。

赤箱A型

赤箱B型

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青箱A型

緑箱A型

青箱B型

緑箱B型

箱には、赤、緑、青の3種類があり、

赤箱にはロッテのロゴと「くっつき たこちゅう どんどん あつめよう!」の文字が印刷されている。

ロゴの「テ」の文字の一画目と二画目の間隔に大小がある。

緑箱と青箱は色違いで、ロッテのロゴと一般的なタコ中だけで無く、スッポリ大・小型のイラストも描かれている。

反体面には「なかまがふえた くっつき たこちゅう! さあ どれが でてくるかな?」の文字があり、

スッポリ型が追加された時に作られた箱であることがわかる。

この青や緑の箱には、イラストに違うがある異版が確認されている。

(左が青箱B型。右が青箱A型)

ロゴと一緒に描かれたイラストに以下の相違点が見られた。

1、チュウしてる右側の目にラインがない。
2、チュウしてる右側の、足の線が4本ある。(A型は3本)
3、チュウしてる左側の足が4本だが、A型は一番右側の足の傾斜角度が急だが、B型は4本とも放射状に出ている。
4、チュウしてる左側のウインク目のまつげが前のは4本だったがB型のは5本ある。
5、下段かぶってる上のスッポリの目の並んだ角度が違う。
6、かぶられたスッポリの足の最下部に横線がない。
7、右のスッポリの目の瞳が今迄のより大きく、白抜きになっている。
8、線が全体に太い。
9、ロゴとチュウタコの位置が近く、ロゴがちょっと上がっている。

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先に入手数が増えたスッポリA型が入っていた青箱、緑箱を、それぞれA型と命名した。

最初に見つかったのが、ロゴのテの字の一画目と二画目の間隔が狭い方だったので、狭い方を赤箱A型と命名した。

最晩期型が入っている赤箱が、スッポリ型が入った青箱・緑箱のA型と一緒に見つかった。

これは、先の赤箱A型に比べて、ロゴのテの字の間隔が広かったため、B型と命名した。

赤・青・緑の3色、各2種類、計6種類の箱には、内容物の種類と数に対比が見られることがわかってきた。

箱の種類

入っていると思われるたこちゅうの型
赤箱A型 純正前期型・後期型、太目前期型(?)・後期型、型破損タイプが2個
赤箱B型 純正最後期型が2個が多いが、スッポリ小A型が2個か、スッポリ大A型が1個もある
青箱A型 スッポリ小A型が2個が多いが、純正最後期型が2個か、スッポリ大A型が1個もある
緑箱A型 スッポリ大A型が1個が多いが、純正最後期型が2個か、スッポリ小A型が2個もある
青箱B型 スッポリA型系列以外のスッポリ小型が2個
緑箱B型 スッポリA型系列以外のスッポリ大型が1個

デッドストックでも出品用の写真撮影のための出し入れで、内容物と箱の組み合わせが変わることもあるが、

一回に入手されるサンプルの、箱の数とたこちゅうの種類と数から上携の表のような関係性が見られた。

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箱のデザインからも、最晩期型と、スッポリA型の大小が同じグループであることがわかった。

以前から知られていた純正前期型・後期型、太目後期型(太目前期型は未確認)が、赤箱Aに入って見つかることから、

純正と純正太目の前期・後期型の後に、新しく箱をデザインしたスッポリ型と赤箱をリニューアルした最晩期型が追加されたと考えた。

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蒐集を続けていく内に、奇妙なたこちゅうが見つかった。

本体は純正たこちゅうに比べて若干小さく、顔は太目系に似ているが、削りだしたようなラフな線であるのが特徴である。

口・脚共に吸盤は小さく成形がよく無く、純正たこちゅうに見られる脚吸盤の放射状の突起が見られない。

当初はパチモンかと思ったが、このタイプを某クションに出した出品者から、

「このタイプはロッテのお菓子のオマケに間違い無い。なぜなら周りに駄菓子屋とか、パチモンを売る店が無かった」と聞くことが出来、

これが純正の一種であることがわかった。

ラフな造形であったので、型が破損したために修理をしたのか模知れぬと考えたことから、

これを「純正太目型破損(型破損タイプ)」と命名した。

純正太目型破損(型破損タイプ)

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型破損タイプは、この数年で発見数をのばし、太目型に似たデザインで、5種類が全て見つかった。

赤箱A型に入り、青箱B型や緑箱B型に入ったA型ではないスッポリタイプと一緒に見つかることが多い。

赤箱A型に入った型破損タイプと、青箱B型に入ったスッポリ小B型

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この数年で、なぜかスッポリA型ではないスッポリダコや型破損タイプが見つかるようになった。

型破損タイプは、箱入りは某クションで、バラは中野のショップ等で見つかりった。

スッポリ小B型も、スッポリ小A型同様に12種類あることが確認された。

スッポリ小B型(左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目)

スッポリ小B型(左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B、リボン、涙目)

※涙目は、 以前は「にっこり」としたが、B型を確認したところ、涙を流していることが判明し改名した。

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最後に残ったのが、スッポリ大A型に対応する、別系統のスッポリ大型である。

これは、当初渡辺君にもらって、スッポリ大B型と命名した口吸盤の大きく凹部のないタイプが、その後見つからず、

同じ様な顔デザインの特徴がありながら、口吸盤が小さいものが散見されるのみであった。

スッポリ大A型以外の大型のスッポリ型は、吸盤の大きさや全長でいくつかのバリエーションが見つかっている。

スッポリ大A型以外のスッポリ大型各種

一番大きいのは渡辺君からもらったもので、B型と命名した。

吸盤が小さく全長もB型よりも小さいものをC型と命名したが、

保存状態が悪いがために、特にB型と違って見えているのかも知れないとも考えた。

口吸盤の大きさが、B型よりも小さくC型よりも大きいものが見つかり、

その中でも比較的大きいものをD型、小さいものをE型と命名した。

ただ、顔のデザインはどれも似ており、スッポリ大A型と違っている。

左から:D型縦結び、C型縦結び

左から:D型リボン、B型リボン

左から:D型にっこり、B型にっこり

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これらのA型以外のスッポリ大型は、口吸盤に凹部が無い。その代わりに脚吸盤の内側に深い凹部がある。

スッポリ小A型にも、口吸盤に凹部があり、脚吸盤には凹部がない。

スッポリ小B型には、口吸盤に凹部がなく、脚吸盤の内側に凹部がある。

左からスッポリ小A型、大A型、小B型、大B型

これは、成形型から剥離するとき、スッポリA型の大小は口吸盤の凹部を押すことで、

スッポリA型以外は脚吸盤の凹部を押すことで分離することを表している。

スッポリ大A型の成型金型の構成(予想)

スッポリ大B〜E型の成型金型の構成(予想)

この特徴は、A型と、A型以外のスッポリ大型が違う設計思想で作られていることを表している。

そのため、素材や形状の特徴から、B・C・D・E型は一つの大きなグループとして捉えた方が良いかも知れないと考える。

そこで、これらをまとめてスッポリ非A型と呼ぶことにする。

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つい最近、吸盤の大きさの違うD型とE型の「眼鏡」を検討したところ、

顔のデザインはほぼ同じであったが、頭部の小さな突起については、数も向きも違うことがわかった。

D型もE型も少なくとも2種類の型違いが見つかった。

左側:スッポリ大D型2個 右側:スッポリ大E型2個

これはスッポリ小型が12種類あることから、6種類のスッポリ大型も、2セット12個を一度に成形したためと考えることもできる。

非A型のスッポリタイプが、B型、D型、E型の3種類が各2セットずつ作られた可能性が考えられる。

(C型はE型の劣化サンプルであると考えるが、あるいはC型も別種である可能性もある。)

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スッポリ大型が6種類2セット以上が作られたという説は、スッポリ大A型でも見つかり、

いくつかの顔で型違いが見つかっている。

スッポリ大A型、眼鏡タイプ

スッポリ大A型、にっこりタイプ

スッポリ大A型、りぼんタイプ

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スッポリ大の非A型の型違いの総数は不明であるが、

某クションでの「ウインク」タイプの落札により、スッポリ大A型と同じ、6種類の顔のデザインが全て揃った。

スッポリ大非A型(左から:ウインク、怒り目、リボン、にっこり、眼鏡、縦結び)

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スッポリ大非A型のコンプリートにより、現状で確認されている全ての純正の顔デザインが揃うことになった。

昭和の懐かしいモノを集めた書籍も多く出てきているが、

「たこちゅう」の全ての顔が揃っているコンテンツは無いようである。

1976年の発売以来、2019年5月まで、実に43年を経た今、

当時は存在すら知らなかった型破損タイプをはじめ、スッポリ型にも2系列があることなど、

このサイトを続けていく中で判明した事実も多い。

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パチモンタコチュウに関しても、当時、存在を知っていたものと、

某クションで入手したり、同好の皆さんから譲っていただいたもので、ほぼ全てを分類できたと思われる。

今回の純正たこちゅうのコンプリートで、国内で発売された「たこちゅう」の蒐集が完了したと考える。

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で、これ以降は今までにわかったたこちゅうに関する情報を整理して、

タコチュウ図鑑を作ろうと思う。

英語タイトルは「 A Field Guide to the TAKOTYUU OF JAPAN」。

フルカラーで70ページ程。定価4万8000円で、受注生産して5000部を売り切りたいと考えている。

考えるだけならタダですからね。

夢は大きく!

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この稿の最後に、コレクションを譲ってくれた沢村君、渡辺君、

販売当時のたこちゅうの記憶を教えてくれたかとう師。

フリマパトローラーのぜんまい太郎氏、

最近のスッポリダコの落札をお願いしたT様をはじめ、

このアホなコレクションに御協力いただいた皆様に心からの感謝を捧げるものである。

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バカですねぇ。

えっ?!図鑑が何時出るかって?

まぁ、発売50周年記念、なーんてキリが良くていいんじゃないっすか?

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