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徹底解明!

スッポリ大型の新種とたこちゅうの箱に関する考察

そもそも「たこちゅう」とは、1970年代後半に発売されたロッテ製菓のチョコレート菓子のおまけである。

細長い包装の中に、あまりおいしくないチョコと箱に入ったオマケが入っていた。

たこちゅうの入っていた箱には、赤と青、緑の3色があることがわかっている。

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たこちゅうには、水に浮く素材の前期、水に沈む素材の後期、

スッポリ型と呼ばれる新型が加わった最後期の3つの型がある。

たこちゅうは発売当初大変人気が出たようで、

前期・後期のものは箱に入ったまま残っているものはほとんど見られない。

その後、後期のデッドストックも見つかっている。

純正前期の箱入りも見つかった。

最後期になるとさすがの人気も衰えたようで、デッドストックとして残ったものから取り出したと思われる

箱入りのものが大量に見つかっている。

これらの箱には、たこちゅうは2個づつ、スッポリの小型も2個づつ、スッポリの大きいものは1個入っていた。

たこちゅうが店頭から見られなくなる直前には、たこちゅうとスッポリとが混ざって入っていたこともあるといわれている。

箱の色と中身に規則性はみられなかった。箱の色からは何が入っているかはわからない。

これは箱の裏面の「さあ どれがでてくるかな?」のコピーからもわかる。

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スッポリ型には2つの系統があることが確認されている。

A型と、それ以外の型である。

(大小ともB・C型と分類しているが、これが亜種なのか、別種としてたてていいのかはまだ確定していない)

左から大A型、小A型、大B型、小B型

A型とB型の形態的な違いは、吸盤の中央の凹みの有無や、小型の足吸盤内の肉抜き穴の有無、

顔のデザインのニュアンス、口吸盤の付け根の位置などである。

(スッポリ型の分類と形態的な特徴は「純製新型の分類」を参照されたい)

箱入りデッドストックで最後期型のたこちゅうと一緒に見つかるのは、A型ばかりである。

小B型が箱入りで見つかったのは一つだけで、箱はA型の入っていたものと違っていた。

下に掲げたように、小B型の入っていた箱は線の太さの他、チュウしてる中央上部のタコの目に線がないなど、

多くの違いがみつかった。

(左がB型が入っていた青箱。右がA型や、最後期型の入っていた青箱)

A型以外のスッポリ型は、発見数が少なく、この青の別バージョンの箱についても数は多くない。

箱についてもたこちゅうについても、別の型、別の版を作らなければ、このようなバリエーションは見られないわけで、

基本的なデザインを支給して、それをもとに複数の工場で生産されたものと考えられる。

B型が入っていた箱には、チュウしてるたこちゅうの目のラインがないこと、

左下のスッポリの足の部分の線が少ないこと、被っているたこちゅうの目が頭部の球面にそっていないこと、

また、被っているスッポリ小型の足が頭の形にあっていないことから、

A型用の箱をもとにB型が入っていた箱の絵が描かれた可能性が考えられる。

どちらが先というよりも、同じ企画書のデザインから、それぞれの製造工場が別々に線画を手配したために

上記の違いが出た可能性もある。

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で、ここからが、本題なのであるが、(本題まで長い?だぁかぁらぁ、ここまでの流れがわかんないと・・・)

このB型用の箱の緑バージョンが発見された。

箱は小B型が入っていたものと色違いで、緑色で印刷されている。

中身はスッポリ大B型として分類した、以前より持っているものと同じ顔であった。

このことから、スッポリ小B型と、今回見つかった、A型以外の大型スッポリが同じ系列であることがわかった。

左から今回発見されたスッポリ大型、大B型、大A型

今回発見されたものの顔を見ると、目が大きくリボンの幅も広く、B型に似ている事がわかる。

吸盤もA型とちがい、中央の凹部がない。A型よりも足のモールドが長いこともB型に近い。

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しかし、今回発見されたスッポリ大型とスッポリB型を比べると、形状がかなりちがうことがわかる。

吸盤はどちらも、中央に凹部がないことは同じだが、今回見つかった方のものほうが吸盤が小さい。

今回見つかったものはB型に比べ若干背が小さい。

顔の模様は今回見つかったものの方がシャープな線である。

パチモンでも顔の部分が共通で吸盤の形等が違うものが見つかっている。

また、パチモン2A型は目の部分がパチモンA型より目の部分が小さく、Aを元に複製した可能性がある。

しかし、今回見つかったものはB型より全長は小さいが、リボンの傾きやまつ毛の角度などから、B型を元型に複製されたものではないことがわかる。

左が今回発見されたスッポリ大型、右が以前からあるスッポリ大B型

側方から見ると今回発見のものの方が前傾姿勢を取っているように見える。

身長が低く前傾姿勢というと、一つだけ発見されているスッポリ大C型の特徴に似ている。

左から今回発見されたスッポリ大型、大C型、大B型、大A型

そこで、スッポリ大型のそれぞれの型を側方から比較してみる。

全長は大A型と大B型がほとんど等しく、大C型と今回発見されたものが等しい。

口の吸盤付け根は、A型が一番太く胴体の中央に近い部分からでている。

B型、C型、今回発見されたものはどれも比較的胴体下方についている。

太さはB型が一番小さく、C型と今回見つかったものが等しい。

胴体に関しては、C型が熱による劣化変形があるかもしれないが、前面が突出していない。

それに比して、B型と今回発見されたものは、前方の出っ張った形状がよく似ている。

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このように見てみると、A型とそれ以外のものは明らかに別種であることは、まず確かであると思われる。

今回発見されたものが箱付きであり、その箱が、スッポリ小B型の入っていたものと色違いであることがわかった。

このことから、スッポリ小B型も、スッポリ大A型以外のスッポリ大型も、箱入りの純正のバージョンの一つであることが、ほぼ確実になった。

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スッポリ大A型以外のものは、現在4個が見つかっている。

左から今回発見されたスッポリ大型、大B型2個、大C型、大A型

スッポリ大B型は1985年頃に友人から2個を、スッポリA型小一個とともにもらったものである。

そのため、スッポリ型たこちゅうが純正であるかどうかすらわからなかった。

その後、たこちゅう研究家のかとう氏にスッポリ型が純正であることを教えられた。

某クションで箱入りデッドストックが入手できるようになると、スッポリ型で良く見つかるのは大・小ともA型がほとんどであった。

当初からあったスッポリ大B型の方が、マイナーバージョンであることが段々とわかってきた。

純正の前・後期と太目の前・後期のように、同じ顔でもA型とB型で違っていることがわかった。

その後、バージョン違いの青箱入りのスッポリ小B型が発見され、B型系列も純正のバージョン違いであることがわかった。

ついで、某クションで、スッポリ大型のA型でもなく、B型とも形状の違う、仮にC型と分類したものを発見した。

顔のニュアンスや足のモールドの長さなど、明らかにA型系列よりはB型系列に近い特徴を持っているが、

胴体の形や、口吸盤の付け根の太さ、全長が小さいことなど、違いがあったため、

仮にC型と分類したが、詳細はわからなかった。

以下に、A型とそれに対応する顔のA型以外のスッポリ大型とを比較してみる。

左から今回発見されたスッポリ大型、大B型、大A型

左からスッポリ大B型、大A型

左からスッポリ大C型、大A型

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今回発見されたスッポリ大型は、上述の通りスッポリ大B型とC型の両方に似た特徴を有するものである。

また、別バージョンの緑の箱に入っていたことから、これも純正であったことがほぼ確実であると考えられる。

このことは、今回発見されたスッポリ大型は別バージョンの青箱入りで見つかったスッポリ小型と同じ系列であると言える。

また、全く同じ型ではないが、B型と顔のデザインが同じであるので、B型も今回発見されたモノと近い系列のロッテの純正品であると考えられる。

素材的にはスッポリ大B型の方が柔らかい。

今回発見されたスッポリ大型は、別の機会に発見されたスッポリ小B型の青と似ていることがわかった。

左から今回発見されたスッポリ大型、小B型、大B型2個、小A型

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以上のことから、A型以外のスッポリ型を分析すると、全てのサンプルは顔はA型と同じ種類であるが、線が太くなっている。

素材や形態は共通点・相違点があるがどれもが同じデザインテイストを持っている。

今回発見されたスッポリ大型と、同じ顔を持つ大B型は、同じデザインであるが、別の顔の型を使っていると思われる。

今回発見されたスッポリ大型は、C型と胴体の側面シルエットが違うが、全長や前傾姿勢など共通点は多い。

胴体の形状の差異は、顔の種類が違う場合、顔の型と一緒に胴体を成形したために、顔によって胴体形状がそれぞれ違う可能性を示唆する。

スッポリ小には、C型と分類した妙な顔のものが一個だけ、スッポリ小B型と一緒に見つかったが、

これも、A型以外のスッポリが、A型に比べてデザインの管理の面で緩かったことを示すのではないかとも考えられる。

左からスッポリ小C型、小B型、小A型

今回発見されたスッポリ大型と、スッポリ小B型は、別バージョンの箱に入っていた純正であることがわかっている。

これらのことから、A型以外のスッポリ型は、全て別バージョンの箱に入っていた同一の系列であることが考えられる。

このことから、純正のたこちゅうと太目たこちゅうの大きな2つの系列があるように、

スッポリA型と、それ以外のスッポリ型という2つの系列に分けられるのではないかという仮説が導きだせる。

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今回発見されたスッポリ大型は、「A型以外のスッポリ型」という大きなグループの中の、

大B型のバリエーションである可能性が高いが、一応ここでは、B型とC型の特徴を併せ持つことから、

スッポリ大D型と命名することにする。

スッポリ大非A型は、現在、7個が確認されている。

新しく見つかった4個は全て緑箱B型に入って見つかっており、スッポリ大非A型は緑箱に入っていた可能性が高い。

左から:スッポリ大B型2個、スッポリ大D型3個、スッポリ大E型、スッポリ大C型

D型と称することにしたタイプは口吸盤の大きさが中ぐらいで、他のタイプと顔デザインがダブる事から、

もっとも一般的なタイプではないかと思われる。

しかし、サンプル数が少ない上に顔のデザインにも型違いが見られる事から、

それぞれ別種なのか、亜種レベルでの違いなのかは、今後の研究を俟ちたいと思う。

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..スッポリ小B型に新しい種類が見つかり、11種類が確認された。

左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目

左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B(欠)、リボン、涙目

スッポリ小のA型には12種類が確認されている。

スッポリ小B型でも、このうち11種類が見つかった。

また、以前は「にっこり」タイプと命名したが、スッポリ小B型で同じタイプを確認したところ、

目の下の涙滴型が涙である事が確認できたので、「涙目」タイプと、呼称を変更する事とした。

左から:スッポリ小非A型、スッポリ小A型

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.スッポリ小C型について、

スッポリ小B型のつながり目とシワチュウが見つかり、

特徴とされた肉抜き穴の直径に関しても、上述の穴の小さいスッポリ小B型が発見された事から、

スッポリ小B型に含めることにした。

左から小A型、小B型のシワチュウ、小B型のつながり目、小C型としたもの、小A型つながり目

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スッポリ非A型の情報は、

「非A型スッポリタイプの再検討」を参照されたい。

.スッポリ小B型に新しい種類が見つかり、12種類が確認された。

左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目

左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B、リボン、にっこり

スッポリ小のA型には12種類が確認されている。

スッポリ小B型でも、同じ12種類が見つかった。

スッポリ小型の情報は、

「純正たこちゅうの分類と紙箱について」を参照されたい。

.スッポリ大非A型に新しい種類が見つかり、6種類が確認された。

スッポリ大非A型(左から:ウインク、怒り目、リボン、にっこり、眼鏡、縦結び)

スッポリ大のA型には6種類が確認されている。

スッポ大非A型でも、同じ6種類が見つかった。

純正たこちゅうの種類については、

「純正たこちゅうコンプリート」を参照されたい。

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たこちゅうの前期のものの箱入りは見つかっていないが、後期は赤箱入りであったことがわかっている。

最後期になってスッポリ型が追加されたとき、青箱と緑箱が追加され、赤、青、緑の3色の箱が使われ、中身はランダムだったことがわかっている。

スッポリ型には、A型とそれ以外の型の2つの系列があったことは先に述べた。

では、このA型以外のスッポリ型が入れられていた、線の太い別バージョンの箱に対応する赤箱があるのかという疑問が生じてくる。

そこで赤箱を全数調査してみたところ、興味深い発見があった。

赤箱にも2種類のバリエーションが発見されたのである。

「テ」の字に注目すると、上の棒と「丁」の間の間隔が、左のもののほうが広くなっているのがわかる。

これは当初印刷のインクの盛りの問題かと思われたが、間隔の大きい左側の方が「ロ」は太くなっていることから、

インクが多く付いたために線の間隔がつぶれてしまったという仮定が成り立たないことから、別の版であると考える。

この左側の方が数的には多い。

この間隔の狭い右側の箱に何が入っていたかを確認してみた。

この細い箱には、後期型のたこちゅうが入っているということが、残っている画像から確認できた。

赤箱のバージョン違いからわかることは、スッポリA型以外の入っている緑や青の別バージョンに対応するのではなく、

スッポリ型が登場する前の後期のものか、スッポリ型が加わって以降のものかがわかることが判明した。

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これらのことをまとめると、6種類ある箱の柄から、中身が或る程度予想できることが判明した。

赤箱A型 青箱A型 青箱B型
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赤箱B型 緑箱A型 緑箱B型

箱の種類

入っていると思われるたこちゅうの型
赤箱A型 純正前期型・後期型、太目前期型(?)・後期型、型破損タイプ
赤箱B型・青箱A型・緑箱A型 純正最後期型、スッポリ大A型、スッポリ小A型
青箱B型・緑箱B型 スッポリA型系列以外のスッポリ大・小型

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スッポリ型のうち大A型は6種類、小A型は12種類が確認されている。

現在までに発見されている小B型、大B・C・D型は、デザインの多少の違いはあるが、同じ種類がA型にも見られる。

いくら意匠権の認識が薄かった当時とは言え、顔が同じということはパチモンである可能性は低いと考えざるを得ない。

純正の普通のものに対して太目があるように、スッポリ型にも複数の生産工場で作られたと考えられるバリエーションが存在すると考えられる。

このA型以外の系統はひとつのグループなのか、それとも、大B・C・D型がそれぞれ違うグループを形成するものなのかはわからない。

今回、別バージョンの緑箱に、B型にもC型にも形態的に似ていて、B型と同じ顔のD型が見つかったことは、

A型以外のスッポリ大型も純正である可能性が高くなったものの、それぞれの分類学的な位置については一層の混乱を招来したといえる。

数が少ないこともあって、このスッポリ大型のA型以外の系列の位置づけには、

さらに多くのサンプルと、継続的な研究が不可欠であると言える。

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今回、赤箱を再点検することで、後期型(前期型も含む可能性あり)と最後期型の箱が違う可能性があることを発見した。

このことからも、入手時から綿密な分析と分類が不可欠で、新しい可能性に気が付いた段階で、

今まであるものを分析し直せるような整理と保管が重要であることが、改めて認識された。

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まあ、30年も前のお菓子のオマケですよ。

会社の方だって、そんなに細かいこと考えずに、数を揃えるために複数の下請けに出したってだけだと思いますよ。

それをバージョン違いだの系列だの・・・。

そんなこたぁ、別にどうでもいいんですけどね。((((((((((^^;)

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