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あと一歩と思いきや、深まる謎

非A型スッポリタイプの再検討 Part.2

「たこちゅう」は、ロッテから販売されたチョコレート菓子である。

菓子の味も美味しかったらしいが、球体に2個の吸盤がついたシンプルだが親しみ易いデザインのオマケがついていたことから

当時の子供には大人気で品切れになるほどであったという。

そのため代替品として、駄菓子屋では、多くのパチモンが作られた。

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パチモンタコチュウの種類については、

タコチュウ分類一覧表」、

タコチュウ派生一覧表」を参照されたい。

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販売期間は1976年から1977年までの約1年間と短く、前後の世代にはほとんど全く知られていない。

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当時は菓子屋を廻っても売り切れていて、なかなか売っているところすら見つけられず、断片的な情報しか得られなかった。

しかし、ネット某クションや懐かしモノショップでの地道な調査の積み重ねによって、

「たこちゅう」の短い販売期間のなかでも、時期によっていくつかの種類があったことがわかってきた。

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以下に、それぞれのタイプに付いてまとめてみたい。

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【いわゆるたこちゅうタイプ】

直径1.3cm程の球体の本体に、口と脚に計2個の吸盤が付いている。

口吸盤の上には表情を表す彫込みがあり、これを「顔」と称することにした。

水に浮く素材と沈む素材を使った2種類がある。

水に浮かぶ素材で出来ている方が古かった記憶があるので、水に浮く素材のものを「前期」、

水に沈む素材のものを「後期」型と称することにした。

顔には同じ表情でも、線の細いものと太いものがあり、

太いものを特に「太目型」として区別することにした。

さらに最近になって、太目型に似た顔のデザインで、吸盤の付け根が短く吸盤が小さいタイプを見つけた。

これを「型破損タイプ」と称することとした。

また、後述のスッポリ型が追加されたときにリニューアルされたと思われるタイプを

「最後期型」と称することとした。

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<純正前期型>

純正前期型

細いクリアな線で彫り込まれた顔を持つ。

水に浮く素材でできている。

顔は普通目、ウインク、怒り目、眠り目、泣き目の5種類がある。

色は水色、黄色、赤、オレンジの4色が見つかっている。

当時の記憶から、この水に浮くタイプの方がより古いタイプであると考える。

脚吸盤の付け根から吸盤へ向けて、タコの脚を表すと思われる、線状の突起がある。

赤箱のA型に入って見つかっている。

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<純正後期型>

純正後期型

純正前期と同じ細めのクリアな線で彫り込まれた顔を持つタイプである。

素材は水に沈むものでできている。

顔は前期型と同じで、普通目、ウインク、怒り目、眠り目、泣き目と5種類がある。

色は水色、黄色、赤、オレンジ、緑、黒の6色が見つかっている。

形態的な特徴もほぼ同じで材質のみの違いと言える。

赤箱のA型に入って見つかっている。

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<純正太目前期型>

純正太目前期型

顔の種類は同じだが、太いハッキリした線のデザインの純正。

水に浮く素材でできている。

顔は普通目、ウインク、怒り目、眠り目、泣き目の5種類がある。

色は水色、黄色、赤、オレンジの4色が見つかっている。

脚吸盤の付け根から吸盤へ向けて、タコの脚を表すと思われる、線状の突起がある。

純正に比して、吸盤が肉厚のものが多い。

今の所箱入りの状態では発見されていないが、赤箱のA型に入っていた可能性が高い。

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<純正太目後期型>

純正太目後期型

太目前期型と同様な形態だが、素材が違う。

水に沈む素材でできている。

顔は普通目、ウインク、怒り目、眠り目、泣き目の5種類がある。

色は3種類が確認されており、緑と黒が主で、オレンジのものも見つかっている。

純正後期同様に、水色、黄色、赤も存在した可能性が高い。

脚吸盤の付け根から吸盤へ向けて、タコの脚を表すと思われる、線状の突起がある。

純正に比して、吸盤が肉厚のものが多い。

赤箱のA型に入って見つかっている。

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<純正太目型破損>

純正太目型破損

太目の顔に非常に似ているが、線が荒削りである。

水に沈む素材でできている。

本体直径が他の純正よりも若干小さく、吸盤も小さく薄く貧弱である。

純正や純正太目型に見られた脚吸盤付け根の線状の突起はない。

顔は普通目、ウインク、怒り目、眠り目、泣き目の5種類が確認されている。

色は黄色、緑、オレンジの3色が見つかっている。

赤箱のA型に2個ずつか、純正後期と一緒に入っているのが確認されており、

非A型のスッポリタイプと一緒に見つかる事が多い。

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後に詳述するが、赤箱のA型とは、発売の初期から使われたと思われるタイプの箱であり、

次に述べる最後期型が入れられているのは赤箱B型と呼ばれるタイプがほとんどである。

ロゴの「テ」の字の一画目と二画目の間隔が狭いのがA型である。

赤箱A型

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赤箱B型

理由は判然としないが、純正太目型破損は今まではほとんど見つかっていないが、

最近になって某ショップで売られていたものや某クションで出品されるのをみると、

スッポリタイプのうち、非A型と分類したものと一緒に見つかることが多く、

スッポリ型が追加された時期に新造されたタイプであると思われる。

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<純正最後期型>

純正最後期型

発売当初は大変な人気を博した「たこちゅう」も、飽きやすい子供相手に流行が下火になり、

人気回復のために第二弾として、新型のスッポリタイプを投入した。

スッポリタイプの追加にあわせて、普通型のたこちゅうもリニューアルされたようである。

その新型を純正最後期型と呼ぶことにした。

素材は硬質な質感を持ち、水に沈む。色は青と赤の2色のみである。

顔は眠り目が省略されて、普通目、ウインク、怒り目、泣き目の4種類になった。

顔の彫は浅くなり、デザインの下部が口吸盤の付け根にかかっている部分がある。

脚吸盤の付け根には脚を表す縦線の突起が存在する。

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球体の本体に吸盤が2個付いた、いわゆるたこちゅうタイプは上記の6つの型が見つかっている。

前・後期型、前・後期太目型、型破損タイプの5つの型では、眠り目を含む5種類があり、

箱は赤箱A型に入っていた(後期太目型は未確認)。

これらの型では、泣き目と眠り目が存在する

最後期には、眠り目が無くなっている。

各種の泣き目:左から最後期、後期、太目、型破損

各種の眠り目:左から後期、太目、型破損

初期化から存在した純正や太目は、顔が5種類あり、同じ箱に入っていたことからも、一つの同じ系統であった可能性が高い。

それに比べて、最後期型は、顔の種類が減らされて、箱も別版が使われていることから、別の生産工場で作られたと考えられる。

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【スッポリダコタイプ】

「たこちゅう」も人気に翳りが出たのか、人気回復を図って新型を投入したらしい。

ノベルティーズ製作ヒント集 おまけの玩具(おもちゃ)」(浅山守一著、昭和58(1983)年、: 自由現代社)という本に

以下のような記述がある。

「”タコチュー”のヒットにともなって偽物も出まわり、けっこう売れたようである。

同社ではその後、パート2(写真)もだされたが、初代があまりにも強烈だったため、

あまりぱっとしなかったようである。」という記載がある。

このパート2が、写真右側に写っている大きな脚吸盤を持つ、スッポリ型と命名したタイプである。

同時に多数が入手されたスッポリ小A型、大A型、純正最後期型

某クションでたこちゅうが出品されるようになったとき、比較的多かったのが、

最後期型と一緒に入手されることが多いA型と命名したスッポリ型であった。

スッポリタイプA型の大小

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<スッポリタイプ大A型>

左から:ウインク、怒り目、リボン、にっこり、眼鏡、縦結び

最後期型と一緒に見つかることが多い大型のスッポリダコ。

頭部にある突起は、脚吸盤の直径と同じ大きさで、縦に繋げることができる。

口吸盤に剥離用の凹部がある。脚吸盤は他の型に比べて若干短い。

脚吸盤の内部に肉抜き用と思われる凹部がある。

顔は6種類あり、色は赤と黄色の2色が確認されている。

イラストにスッポリ型が描かれた新型の箱の緑色で印刷されたものに1個ずつ入っていることが多い。

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<スッポリタイプ小A型>..

左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目

左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B、リボン、にっこり

※涙目は、 以前は「にっこり」としたが、B型を確認したところ、涙を流していることが判明し改名した。

最後期型と一緒に見つかることが多いスッポリダコの小さい方。

頭部は脚吸盤と同じ大きさで、縦に組み上げることができる。

しかし、口吸盤の付け根が干渉し、反り返るように重ねられるため、多くを重ねることはできない。

口吸盤の中央部には剥離用の凹部がある、

脚吸盤の脚を表す突起は正面を基準に前後左右にある。

脚吸盤の内部には肉抜き穴がない。

顔は12種類あり、色は黄色、オレンジ、緑が多く、青いものが1個だけ見つかっている。

青箱A型に2個ずつ入っていることが多い。

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最後期型のたこちゅうと、スッポリダコのA型の大小は、デッドストックの箱入り状態で見つかることが多い。

同時に箱入りの状態で入手されたスッポリ小A型、大A型、純正最後期型

赤箱には最後期型が2個、青で印刷された箱にはスッポリA型の小が2個、

緑色で印刷された箱にはスッポリA型の大が1個入っていることが多い。

赤箱B型 .

青箱A型

緑箱A型

青や緑の箱には「なかまがふえたくっつきたこちゅう!さあ どれがでてくるかな?」と印刷されている。

イラストも普通のたこちゅうの他にスッポリダコの大小が描かれており、

パート2として、スッポリ型が追加された際に新造された箱であることがわかる。

赤箱は先述のように、ロゴのテの字の間隔があいているB型と命名したタイプである。

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<スッポリタイプ大B型>....

某クション等、ネットを活用してたこちゅうを集めるようになったとき、A型のスッポリダコが急速に収集された。

そのため、このタイプのスッポリダコをスタンダードと考えてA型と命名することにした。

しかし、命名時において、既にA型と違うスッポリダコが少数見つかっており、これをB型と命名した。

左からスッポリ大B型2種、大A型2種

同じ顔でも様々な形態的な差異が見つかっている。

B型としたタイプは、軟質の素材を使っており、口吸盤には凹部がない。頭部の突起はA型よりも大きい。

口吸盤の付け根はA型よりも細く、下寄りに付いている。

脚吸盤の突起は前後左右がA型よりも間隔が狭くなっている。

脚吸盤の内部の凹部はA型よりも深く、中央は2段階で凹んでおり、剥離用の金具を押し込んだものと思われる。

下方より見る

緑色A型の箱に似たB型と命名した箱に1個入っていることが多い。

この他にA型以外のスッポリ型はいくつか見つかってきたが、この分類については追って詳述する。

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<スッポリタイプ小B型>....

左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目

左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B、リボン、にっこり

※涙目は、 以前は「にっこり」としたが、B型を確認したところ、涙を流していることが判明し改名した。

純正後期や純正太目、純正型破損タイプや、スッポリ大B型と一緒に見つかることが多い。

顔はA型と同様に12種類が見つかっており、似たようなデザインだが、線が太くはっきりしている。

色は赤、黄色、青で、素材は軟質でスッポリ大B型や、純正後期、後期太目タイプと似ている。

口吸盤には剥離用の凹部が無い。

脚吸盤の縦の突起は正面になく、小A型と区別できる。

脚吸盤の内部に剥離用の深い凹部がある。

左から小B型、小A型

青色の印刷の箱のうち、B型と命名したタイプに2個ずつ入っていることが多い。

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※つながり目タイプの色が薄れたスッポリ小型を、C型と命名したが、

青箱B型に他のスッポリ小B型と一緒に入っている同じ顔をした青いものが発見されたことから、

保存状態に起因する色調不良としてB型に含め、C型という分類を廃することにした。

左から小A型、小B型のシワチュウ、小B型のつながり目、小C型としたもの、小A型つながり目

スッポリ小型の情報は、「非A型スッポリタイプの再検討」を参照されたい。

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スッポリA型以外のスッポリ型は、少数が断続的に見つかり、箱入りも少なかったが、2〜3年前から入手されることが増えてきている。

青箱・緑箱の版違いによってA型、B型があり、それにスッポリ型のA型、B型がそれぞれ入ることも予想されていたが、

最近の入手例からその仮説が正しいこともほぼ証明されたと思われる。

一度に見つかった純正と型破損タイプとスッポリ小B型、大非A型

スッポリB型はB型と命名した箱入っていることが多い。

青箱にはスッポリ小型が2個、緑色の箱にはスッポリ大が1個入っていることが多い。

人気が薄れてからはこの区別がいい加減になって、箱と中のたこがバラバラになっていたり、

スッポリ大型と普通のタイプのたこちゅうが入っていることもある。

また、デッドストック状態で残っていても、某クションの出品にあたっての写真撮影の際、

中身と箱が違ってしまう可能性もあるため、必ずとは言えないが、赤箱には普通のたこちゅうが2個、

青箱にはスッポリの小型が2個、緑箱にはスッポリの大型が1個入っていることが多いと言える。

青箱B型

緑箱B型

箱のタイプと中身と関係を表にすると、以下のようになる。

箱の種類

入っていると思われるたこちゅうの型
赤箱A型 純正前期型・後期型、太目前期型(?)・後期型、型破損タイプ
赤箱B型・青箱A型・緑箱A型 純正最後期型、スッポリ大A型、スッポリ小A型
青箱B型・緑箱B型 スッポリA型系列以外のスッポリ大・小型

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このB型と命名した箱は、スッポリB型の発見とともに発見数を増やしている。

(左が青箱B型。右が青箱A型)

青箱と緑箱は色が違うだけで、A型・B型それぞれ同じ絵柄になっている。B型の箱は、青箱A型とは以下の点で異なっている。

1、チュウしてるの目にラインがない。
2、チュウしてる右側の、足の線が4本ある。(今迄のは3本)
3、チュウしてる左側の足が4本だが、今迄のは一番右側の足の傾斜角度が急だが、今回のは4本とも放射状に出ている。
4、チュウしてる左側のウインク目のまつげが前のは4本だったが今回のは5本ある。
5、下段かぶってる上のスッポリの目の並んだ角度が違う。
6、かぶられたスッポリの足の最下部に横線がない。
7、右のスッポリの目の瞳が今迄のより大きく、白抜きになっている。
8、線が全体に太い。
9、ロゴとチュウタコの位置が近く、ロゴがちょっと上がっている。

眠り目が省略された最後期型と一緒に見つかることの多いA型の箱に眠り目のようなタコが描かれているのは不思議だが、

パチモンタコチュウにも泣き目と眠り目の中間のような、まさにイラストに描かれた様な顔のモノが見つかっている。

泣き眠り目と命名したが、多くの系列のパチモンに見られる特徴的な顔となっている。

後列左からパチモンJ型、C型、前列左からA型、A2型、B型、C型、D型

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2種類の箱で最も目立つ相違は、この普通型のタコの目を横切る線の有無である。

線があるものと無いものがあった場合、どちらかがどちらかを模倣したと想定すると、

線があるほうがオリジナルで、無い方が模倣の最中に書き漏らしたか、省略したと考えることができる。

同様のことは、左下のスッポリ小型の脚吸盤の下縁の線も省略されているところに認められる。

ロッテのロゴを比較すると、大きさが若干大きいこともあり、B型の方が「テ」の線の間隔が広いように見える。

カタカナのロゴについては、昭和30年代のはじめから使われていたようであるが、

社史を見てみたが、具体的にいつ制定されたかは記載されておらず、

赤箱A型とB型のロゴの差で、どちらが正しいのか、または時間的に差異があるのかはわからなかった。

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箱の左下のスッポリ小型だが、上に被っているのには、目を横切った線が描かれている。

青箱A型は、この線が目に対して左下がりになっている。

青箱B型は線が目に対して水平に近く、向って右の奥の目もちゃんと描かれており、上掲の泣き眠り目に近い。

スッポリ小型の泣き目は、A・B型とも、線の傾きが大きいので、青箱A型の方がオマケを正確に描いているといえる。

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各型の解説の際にも指摘したが、スッポリ型は大も小も口吸盤の凹部の有無で分類した。

A型には凹部があり、B型には無い。

左からスッポリ大B型、小B型、大A型、小A型

下から見てみると、スッポリ小A型の他は、どれも中央に凹部がある。

スッポリ大A型は滑らかな凹みであるが、スッポリ大B型では大きな穴の奥に直径の小さい穴が続いているのがわかる。

また、スッポリ小B型の穴は、最奥部に普通ダコやスッポリA型系の口吸盤に見られるような、

剥離のための棒で突いたような痕跡が見られる。

左からスッポリ大B型、小B型、大A型、小A型

これらの形態状の差異から、スッポリダコはA型系とB型系では、違った成型の方法で作られたものと考えられる。

A型系では、口吸盤に凹部があること、小の脚吸盤は凹部がないことから、成型の型から剥離する際は、

口吸盤の部分に押し出すための可動部を押し当てて外したと思われる。

赤いスッポリ大型(スッポリ大A型)の成型金型の構成(予想)

このような成型型は、普通のたこちゅうでも用いられたとおもいわれる。

これに対して、スッポリB型系は、口吸盤に凹部が無く、脚吸盤の方に剥離用の可動部を押し付けたと思われる凹部がある。

このことから、スッポリA型系と90度違う形で成形された可能性があると考えられる。

青いスッポリ大型(スッポリ大B型)の成型金型の構成(予想)

どちらの成型が良いのかは不明であるが、A型系とB型系は、

全体の形状や顔のデザインは合わせつつも、全く違う型によって作られたことがわかった。

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A型系とB型系では、入っていた箱のイラストが違うことは指摘したが、

左下のスッポリ小型の脚吸盤や、左上の普通型のたこちゅうの目の横線等が無くなっいること、

さらには左上のウインクのまつげが5本に追加されている(普通型のウインクは6本、スッポリ小型は5本)ことから、

A型の箱のデザインを、たこちゅうの顔デザインを知った者が模倣してB型の箱を作ったような印象を受ける。

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スッポリ型のA型・B型のどちらが元になったかは良くわからない。

しかし、顔のデザインのそれぞれを比較してみると、いくつかのヒントが見つかる。

下掲の写真の左側のニッコリ顔は、A型はシルクハットを被っているが、

B型と命名した方は帽子のフチが省略されている。

左からB型、A型の正面

スッポリ小型の「にっこり」と命名した顔のタイプが有るが、

当初A型を見て瞑った目の下に有る模様をにっこりと笑った口と見た。

後にB型の対応する表情を発見したところ、口では無く涙に見える。

どちらが先か、これだけではわからないが、笑った口の雫の様な形をより分かりやすい形として涙にしたと考えられる。

B型の涙の形は良くで来ており、これを模倣するとしたら正反対の笑った表情にはならないと思われる。

このことから、「にっこり」は「涙目」に改名することとした。

左から:スッポリ小非A型、スッポリ小A型

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スッポリ型の大小をA型系とB型系で比較すると、

A型は手書き(手彫り)の印象があるが、B型は、それを元に線を整理して、

より製図的なテイストが濃く感じられる。

先述の箱のイラストでも青箱・緑箱A型のほうが元になり、青箱・緑箱B型のイラストが模写されたように見えることから、

人気低迷の回復のために投入されたのは、

A型の箱に入ったA型系のスッポリタイプと赤箱B型に入った最後期型のたこちゅうだったと思われる。

この経緯を図表化すると以下のようになる。

純正たこちゅうのデザインの変遷

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純正前期・後期と太目の前期・後期で爆発的な人気を得た「たこちゅう」であったが、人気の低迷期に入った。

そのため、テコ入れのために新型のスッポリタイプを投入することにした。

新型のスッポリは、それまでのデザイナーとは違う者が担当した可能性が高い。

そのため、多少似たデザインだった泣き目と眠り目のうち、眠り目を廃することにしたと考える。

新しいデザインは脚吸盤が大きく発達したものになり、大型のものも作られた。これをスッポリ型と称することにしている。

この新型(スッポリ型)の追加に伴い、

それまでのロゴと「くっつき たこちゅう どんどん あつめよう!」と書かれた赤箱をリニューアルし、

さらに青と緑の刷り色で、普通型たこちゅうとスッポリダコの大小のイラストを入れ、

「なかまがふえた くっつき たこちゅう! さあ どれが でてくるかな?」と書かれた箱を追加した。

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新型のスッポリダコが追加された時、それまでたこちゅうを作っていた工場(?)でも、後期型と太目後期型の生産は継続されていた。

併せて、スッポリ型のデザインと箱のイラストを支給され、新型たこちゅうの増産に協力したと思われる。

その際、成型の型も新造し、箱の印刷用の版下も模写して新版を作ったと考えられる。

また、それまでの後期型や太目型の成型型になんらかの故障があったのか、

増産のために新造したのか、「型破損タイプ」と名づけたラフな成形のタイプが追加されたようである。

このタイプは、発見されるときは単体か、後期・後期太目、スッポリダコの非A型と見つかることが多い。

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このあたりの経緯は、先述の「ノベルティーズ製作ヒント集 おまけの玩具(おもちゃ)」という本の

「”タコチュー”のヒットにともなって偽物も出まわり、けっこう売れたようである。

同社ではその後、パート2(写真)もだされたが、初代があまりにも強烈だったため、

あまりぱっとしなかったようである。」という記述からも推測される。

作者の浅山守一のプロフィールに、

「考案した「おまけ」には、アメリカン・クラッカー(リズムボール)、ジャンピオン(跳ねる虫)、

タコチュー(吸着盤)、カニタン(連鎖動構造)等多数。」とあり、

たこちゅうのデザインを案出した際に、密接に関係していたように見える。

「同社ではその後、パート2(写真)もだされたが、」と、スッポリダコの投入の際には距離があったようなニュアンスが感じられ、

「初代があまりにも強烈だったため、あまりぱっとしなかったようである。」と、これもひとごとのような冷淡さが見られる。

この記述から、前・後期、太目前・後期を作成しヒットさせた浅山の意向の元に開発したチームとは、

別のチーム(?)によって、第二弾のスッポリダコが作られたと考えられる。

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と、ここまでが例によって長い前置きである。

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って、いうか、ここまでで、純正たこちゅうの分類がまとまった、他では読めない記事なんであるが、

さすがに16年も続いているサイト。

ここからいよいよさらに突っ込んだ研究を発表してしまうのである。

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小学生の頃、津村君からたこちゅうをいくつかもらった。

明治製菓の「ピコタン」はチョコ菓子も買ってもらい、駄菓子屋の大台紙から1袋50円のパチモンを買った記憶も有るが、

「たこちゅう」は町中を探しても見つからず、ガチャでいくつか入手できただけだった時、

水に浮く素材の今でいう前期型を中心とするたこちゅうは宝物となった。

小学生高学年の頃、沢村君からたこちゅうを沢山もらった。

様々な種類のパチモンを含み、今の研究の土台となるコレクションとなったのであるが、

その中にスッポリダコは入っていなかった。

思うに、人気回復を狙ってスッポリダコを投入する前の全盛期、前・後期と太目前・後期のみだった頃、

駄菓子屋やガチャでパチモンが入手できた頃で関心が他のことに移ってしまい、沢村君が収集を止めてしまったものと思われる。

高校生になってから、渡辺君からガチャも含むたこちゅうを譲り受けた。

この中には、スッポリ大型の非A型が2個、小型のA型が1個入っていた。

スッポリダコは、形状が特異なため、その当時はパチモンの一種と認識していた。

ネットを始めてこのサイトを作るようになって、たこちゅう博士のかとう氏から、スッポリダコが純正であったとの証言を得た。

某クションでの落札や、ぜんまい太郎氏がフリマで発掘してくれることでタコチュウコレクションが成長するにつれて、

スッポリダコA型系が箱入りのままで数多く入手できた。

そのためにスッポリA型系がスタンダードなタイプであると考えるに至った。

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思えば、この研究の土台には、多くの友達の協力があったのである。感謝に堪えない。

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ところで、このスッポリダコであるが、A型系は比較的しっかりした作りで、形状にばらつきが無いが、

非A型系の、特に大型のものは非常にばらつきが多い。

渡辺君からもらった、スッポリダコの大型は、沢山見つかったA型ではないことから、スッポリ大型B型と命名した。

口吸盤が大きいことがB型の特徴であるが、同じ顔デザインでも、吸盤の大きさの違うものが見つかった。

某クションで落札した中に、吸盤が小さく、劣化によるためかひときわ全長も短いものが見つかった。

これをC型と命名した。

その後、B型よりも口吸盤が若干小さいものが見つかり、これをD型と命名した。

材質はD型と同じようだが、さらに口吸盤の直径の小さいものがみつかり、これをE型と命名した。

左から:スッポリ大B型2個、スッポリ大D型2個、今回見つかったもの、スッポリ大E型、スッポリ大C型

素材は、A型よりも柔らかで、色は青が多く、黄色がC型で1個だけ見つかっている。

1個だけしか黄色が見つかっていないことも、C型が特殊なものではないかと考えた根拠の一つとした。

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某クションの利用が可能になって早い時期に、

ロッテの「たこちゅう」が販売されていた当時の後半に発売されたと思われるものが大量に入手されるようになった。

このことは、先にも述べたように、この大量入手で見つかったスッポリ型がノーマルタイプであるという認識を生んだ。

このときに箱入りの状態で入手されたのが、最後期型と命名したたこちゅうであり、

スッポリ型では、スッポリ大A型、スッポリ小A型と命名したタイプであった。

純正最後期型

<スッポリタイプ大A型>

左から:ウインク、怒り目、リボン、にっこり、眼鏡、縦結び

<スッポリタイプ小A型>..

左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目

左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B、リボン、にっこり

※涙目は、 以前は「にっこり」としたが、B型を確認したところ、涙を流していることが判明し改名した。

スッポリA型は、大は6種類、小は12種類の顔が確認された。

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最後期型やスッポリA型が大量入手された後、

スッポリA型系と違うタイプのスッポリ型が徐々に見つかってきて、

スッポリ型には2つの系統があることがわかってきた。

これらのスッポリ型を総称してスッポリ非A型系と称することにした。

顔のデザインは、多少のアレンジは有るが、スッポリA型の大小と良く似ている。

これまでにスッポリ大非A型は5種類が、小B型は12種類が確認された。

<スッポリタイプ大非A型>....

左から:怒り目、リボン、にっこり、眼鏡、縦結び

<スッポリタイプ小B型>....

左から:泣き目、ウインク、つながり目、上目、下目、中目

左から:シワチュウ、縦ジワチュウ、怒り目A、怒り目B、リボン、にっこり

※涙目は、 以前は「にっこり」としたが、B型を確認したところ、涙を流していることが判明し改名した。

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某クションで、箱入りのたこちゅうを落札した。

今回落札した3箱の純正タコチュウ

赤箱は、ロッテのロゴの「テ」の字の間が狭いA型の箱で、純正後期型が入っていた。

緑色の箱は、左上のたこちゅうの眠り目に横線のないB型で、

これはスッポリ大非A型が1個入って見つかるタイプである。

今回見つかったものは純正後期型とスッポリ大非A型が1個ずつ入っていた。

このような混在は、たこちゅうの販売されていた後期の時期に見られる現象で、

人気が減退してきたためか、箱の種類と中身の対応関係が乱れたり、

スッポリ大型に普通タイプのたこちゅうが追加されたりして、

在庫整理的な対応がなされたものと考えられる。

青い箱は、左上のたこちゅうに横線が入り、泣き目と眠り目の中間のような泣き眠り目になっている。

このタイプは青箱A型と名づけたもので、スッポリ小A型が2個入って見つかることが多い。

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このような特徴から、今回の入手品は、販売されていた期間の後期のサンプルで、

同一人物が入手したとすれば、比較的狭い範囲で別々の系統が売られていたことを示すことになる。

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今回、注目すべきは黄色のスッポリ大非A型の眼鏡タイプである。

今回のサンプルは、吸盤がB型ほど大きくは無いので、D型と分類するタイプである。

左がスッポリ大C型、右が今回見つかったD型

スッポリ非A型では珍しい黄色のサンプルであり2例目になる。

今まで見つかっていた黄色のサンプルとしては、C型としていたものがあるだけで、

保存状態が良く無いこともあり、他のスッポリ大非A型よりも小さいため、

あるいは全くの別種である可能性がすてきれなかったが、今回の黄色のサンプルの発見によって、

C型もスッポリ大非A型の一種である可能性が高くなった。

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顔のタイプは眼鏡で、これは今までにも青が3個見つかっており、スッポリ大A型にもある。

左から:スッポリ大A型、スッポリ大D型2個、スッポリ大E型2個

このスッポリ大非A型(D型とE型)を仔細に検討した結果、興味深いことが見い出された。

半球形の頭部の付け根の所に、数本の短い突起があるが、その本数や形状が違っていることがわかった。

左から:スッポリ大D型2個、スッポリ大E型2個

顔を形成する線はどれも似ており、目立った違いは見られない。

しかし、小さな飾り罫は本数や線の向きが明瞭に違っている。

4個が4個とも違っており、いくつのバリエーションがあるのかはわからない。

他の顔の種類でこれほどはっきりした違いは見られない。

しかし、サンプル数が増え、比較検討が進めば、バリエーションの数についてなんらかのヒントが見つかるかも知れない。

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口吸盤の大きさでD型とE型を暫定的に分類したが、それぞれに2種類が見つかったことから、

この分類は正解だった可能性が高まった。

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スッポリ非A型には顔のタイプが、小が12種類あり、大は5種類が見つかっているが、

大A型は6種類あり、非A型の大にも6種類あることが予想される。

一つの成形型で12種類のスッポリ小型が作られるのであれば、

大も一回で12個作れる成形型が用意された可能性が高いと思われる。

スッポリ大は、同じ顔を2個ずつ一度に成形したのでは無いかと思われる。

そのために同じ顔でも2種類のバリエーションがあると考えるとつじつまがあう。

.スッポリ大非A型に新しい種類が見つかり、6種類が確認された。

スッポリ大非A型(左から:ウインク、怒り目、リボン、にっこり、眼鏡、縦結び)

スッポリ大のA型には6種類が確認されている。

スッポ大非A型でも、同じ6種類が見つかった。

純正たこちゅうの種類については、

「純正たこちゅうコンプリート」を参照されたい。

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スッポリ大A型についても、一つの顔について2種類あるかどうかを確認してみた。

比較的数が多いA型とはいえ、十分な比較ができる程数が有るわけでは無いのだが、

3種類の顔でバリエーションの存在が確認された。

非A型でバリエーションが確認された眼鏡タイプは、A型でも顕著な違いが見られた。

額の中央部の突起に長短が確認できた。

スッポリ大A型、眼鏡タイプ

にっこりタイプでは、眉毛が帽子にかかっているものとそうで無いものがあることがわかった。

スッポリ大A型、にっこりタイプ

りぼんタイプは結び目の形状に違いがあることがわかった。

スッポリ大A型、りぼんタイプ

このように6種類のうち半数で型のバリエーションが確認されたということは、

6種類のスッポリ大ダコ全てが少なくとも2個ずつ成形されたと考えることができる。

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スッポリ小型についても、様々な比較を試みたが、同一のタイプ内でのバリエーションは確認されていない。

スッポリ小B型については成形時の引けの影響と思われる違いが見られるものがあるが、

それが型の違いであるようには見えない。

この点についても、サンプル数の増大を図って、より細密な検討を行いたいと考えている。

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2系統あるスッポリ大ダコは両方とも2色のバリエーションがあり、

1つの顔のタイプにつき、少なくとも2種類の型違いがあることがわかった。

このことは、スッポリ大D型と大E型が違う種類である可能性を高めたと言える。

純正たこちゅうのスッポリ型に関する情報は、ネット上を探しても多くないが、

その系統や種類数に関して具体的な例を示しながら解説したサイトは他にない。

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純正は、前期・後期・最後期・前期太目・後期太目・型破損タイプの顔バリの全てと、

スッポリA型の大小、スッポリ非A大型のウインク以外の5種と非A小型の全てを蒐集することができ、

残るは「スッポリ非A大型のウインク」のみとなった。

スッポリ型にしても、型破損タイプにしても、当初はパチモンかと思っていたので、

その存在を予期していない新種が見つかる可能性が無いとは言えないが、

一応、純正のほとんどのタイプを集めたと考える。

ロッテが「たこちゅう」の発売が1976年。

以来40年以上が経ってしまった・・・。

コンプリートまで、そして、図鑑刊行まで、なお一層努力していきたい。

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なにやってんすかねぇ。

別にいいですけどね。

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