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ブツが違っても同じ名前なんだ

ロボくんブロック Part.2

ピコタンに代表される人型のブロックは、

実は大変息の長い玩具であって、デザインは外国に起源があることが判明し、

日本での発売もピコタンの発売よりも約10年は遡る可能性があることを指摘した

ピコタン型人形ブロックの発生に関しては

徹底解明!ピコタンのできるまで」を参照されたい。

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板状の人間ブロックで最初に発売されたのは、藤田屋商店から昭和44年に発売された

知育玩具「ブロックボーイ」「ピンキーブロック」であると考えられる。

これを、ピエロ型と称することにした、

左から純正後期、ピエロA型、ピエロB型、ピエロC型

ピエロ型は胴体が太いが、明治製菓のプレミアムとして人形ブロックを提案された際に、

胴体のくびれたピコタンのデザインが作られたもののようである。

明治製菓に後にピコタンと命名される人間型ブロックを提案した会社は、

海外の見本市でピエロ型か、それに類似したデザインのものを見て、プレミアムへの採用を推薦したらしい。

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明治製菓のピコタンは、大ヒットし、多くのパチモンが駄玩具メーカーから発売された。

1980年代に出版されたプレミアムについての文献によると、

「このオマケができるまで繋ぐことに重点をおいたオマケがなかったが、

このピコタンのオマケが、<集めて繋ぐ>オマケの先駆者かもしれない。」と書かれている。

(「ノベルティーズ製作ヒント集 おまけの玩具(おもちゃ)」浅山守一著 自由現代社 1983年)

ピコタンに関しては、意匠権登録をしていなかったらしいことが、

プレミアムとして提案したエースプレミアム代表 太田俊策氏のインタビューから伺われる。

(「ちびっこ広告図案帳70's」おおこしたかのぶ編 オークラ出版オークラ出版 2003年)

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そして、腰にボールジョイントを足したデザインを考案した駄玩具メーカーのマルコー産業が、

意匠権登録の際、ボールジョイントに関するデザインに関して

上半身と下半身に分割され、上半身下部と下半身上部とにおいて連結し、

一定角度の範囲内で前後左右に連結部から屈曲し、単体でポーズを取らせて遊べるようになっていて、

上半身の頭部後面と胸部に設けられる孔と、下半身の上部背面に設けられる孔に、

下半身足部の先端を嵌入し、前後方向に連結でき」ることと同時に、

「ピエロ型」や「ピコタン」の特徴である

上半身の両肩部と胸部両側に設けられる凹溝に上半身の両腕部先端を嵌入し、

左右側方にも連結して遊べるようになっている。」というデザインに関しても意匠登録をしていることがわかった。

意匠公報471097(クリックで別ウインドウで拡大)

この2パーツのパチモンがポーズブロックである。

この「ポーズブロック」のタグには、「PAT.P」と、書かれており、意匠権を申請したことがわかる。

また、マルコー産業のメーカーロゴも見られる。

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この2パーツのパチモンが、インベーダーゲーム消ゴムとパッケージングされた商品、「ロボくんブロック」には、

メーカーロゴとともに、PAT番号が記載されている。

このPAT番号を特許電子図書館の「意匠文献番号索引照会」で調べたところ、前述の意匠権に関する記載を発見したのである。

この意匠公報によると、出願は昭和50年(1975年)。ピコタンの発売の翌年にあたる。

登録は昭和52年(1977年)であったことがわかる。

STマークの4桁目の数字から、登録は昭和50年(1975年)であることがわかる。

のサービスは2015年3月20日に終了し、3月23日からは新たなサービスである特許情報プラットフォーム(英:Japan Platform for Patent Information、J-PlatPat(ジェイプラットパット))のサービスが開始された。

(Wikipediaより)

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2パーツパチモンの同じものが軟質プラスチックケースに入ったものが見つかった。

商品名は「ポーズブロック」で、エンゼルボール株式会社とパッケージには書かれている。

ケースに貼ってあったSTマークの番号は、「ロボくんブロック」と同じで、

マルコー産業が製品化しSTマークを取った商品を、エンゼルボール株式会社が販売したのではないかと思われる。

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腰のボールジョイントが追加されたデザインは、意匠権的な処理がどのように行われたかは不明だが、

他にも多くのメーカーが使用していたことがわかっている。

例えば、「お早う!ポコタン」という、一回り小さい2パーツパチモンも見つかっている。

タグ付き袋入りだが、20個も入っており、タグには小さな丸穴があり、店頭でフックに懸けて販売されたと思われる。

黄色い地色のタグには商品名とイラストのみで、メーカー名やロゴの記載はない。

強いて言えば、ピコタンの大型パチモンのジャボタンのタグに似ているが、メーカーを確定するには至っていない。

ポコタンの顔は1種類しかなく、マルコー産業製のポーズブロックの顔の4種類のうちの1種類、二重丸目に似ている。

注目すべきは拳の直径で、ほぼ4ミリあり、これは藤田屋商店のピンキーブロック(ピエロ型)の拳の直径とほぼ等しい。

拳の直径に関して言えば、ジャボタンも黄色い地色のタグであり、その直径は、マルコー産業製の2パーツパチモンと等しい。

左からパチモン大型(ジャボタン)、ロボくんブロック、ポコタン、純製後期

この拳の大きさは5mmで大型ピコタン型パチモンやポーズブロック等の2パーツパチモン、

また、メーカー不詳の大型のピエロ型に見られた。

4mmの拳はピエロ型やポコタンに見られた。

このように、メーカーは同じでない可能性が高い商品でも共通していることがわかってきた。

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2パーツパチモンには、もっと小さいものも見つかっている。

商品名は(ニュー)ポーズブロックマン。

ポーズブロックに、人間型ブロックという意味か、「マン」が追加された、分かりやすいネーミングである。

ポーズブロックに比べて若干胴体が細長い。拳の大きさは純正ピコタンとポコタンの中間で、独特のサイズである。

右から純正、ポーズブロックマン、ポコタン、ポーズブロック、マンガ人形ブロック

このポーズブロックマンのタグにはSTマークがあり、C8088566と書かれていた。

<STマークについて>

玩具協会にSTマークの表記方法についてお伺いした。

STマークが始まったのは昭和46年(1971年)であった。平成以降は付番方法が変わった。

番号はアルファベット1文字と、数字7桁で構成される。最初のアルファベットは業界ごとの組合を表す。

数字は3桁がメーカーを表す。次の4桁目が和暦の下一桁を表す。

例えば4桁目が「1」であれば、昭和51年か61年だが、キャラクター商品等であれば、判断がついた。

残りの3桁は、認証に受かった時の合格番号を表すとのことであった。

平成以降は西暦表記を取り入れた、新しい付番方法が取られたとのことである。

STマークは数字の4桁目が昭和の年号の下一桁になるので、「8」は昭和48年(1973年)か昭和58年(1983年)になる。

ピコタンの発売は昭和49年(1974年)だし、台紙に「フランダースの犬」のネロと思われる少年が描かれており、

アニメ版の公開が昭和50年(1975年)であること、マルコー産業による2パーツパチモンの意匠登録が昭和53年(1978年)であることから、

STマークの取得は昭和58年(1983年)と思われる。

ピコタンの発売から9年、マルコー産業の意匠登録からも5年が経ち、ちょっと遅いようにも思えるが、

少なくともSTマークからの判断ではこの時点で発売されたと考えて良いと思われる。

当時のことはわからないが、現在でもマークの有効期限は2年で、再検査で合格すれば更新して表示出来るとあるので、

この台紙は、何度目かの再合格を経て、STマークの数字だけ訂正して印刷されたのかもしれない。

拳の直径に注目すると、独自の規格であるので、一連のピコタン関連製品の流行沈静化の後、

ピコタンも、マルコー産業もなかったことにしての、独自製品の可能性も捨て切れない。

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ポーズブロックとほぼ同大の2パーツパチモンは、他にもいくつか見つかっている。

商品名は「マンガ人形ブロック」。

ポーズブロックとほぼ同じ大きさだが、頭部が板状になっており、マンガのキャラクターのシールが貼ってある。

胴体は肉抜きされており、胸部の連結穴を上下左右から支える形状になっている。

ケース内に入っていた小台紙には、「ツヤマ」というメーカーロゴと、STマーク(B0582006)が確認された。

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Bは(財)日本文化用品安全試験所 大阪事業所を表すものである。

メーカー名の津山から見ても、関西のメーカーが作ったものと思われる。

上記の付番方法から見ると、合格は下一桁が「2」の年になる。

貼られているシールに描かれたアニメキャラクターの放映時期から判断して、昭和52年(1977年)と思われる。

キャラクター名 放送時期
アルプスの少女ハイジ 1974(昭和49年)01.06〜1974(昭和49年)12.29
がんばれ!ロボコン 1974(昭和49年)10.04〜1977(昭和52年)03.25
ウルトラマンレオ 1974(昭和49年)04.12〜1975(昭和50年)03.28
仮面ライダー ストロンガー 1975(昭和50年)04.05〜1975(昭和50年)12.27
秘密戦隊 ゴレンジャー 1975(昭和50年)04.05〜1977(昭和52年)03.26
アクマイザー3 1975(昭和50年)10.07〜1976(昭和51年)06.29
UFOロボ グレンダイザー 1975(昭和50年)10.05〜1977(昭和52年)02.27
巨人の星(?) 1968(昭和43年)03.30〜1971(昭和46年)09.18(再放送多数)
タイガーマスク(?) 1969(昭和44年)〜1971(昭和46年)(再放送多数)
怪人(?) 不明

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形態的な特徴としては、前述のとおり、頭部が板状になっており、片面にシールが貼られている。

円形のシールを貼るために、首の部分の凹部が無くなり、この部分に拳や脚を合体させることができなくなっている。

胴体の厚さはポーズブロックの半分しかない。

脚はつま先が前後に付き、シールが貼ってなければ前後が区別できない作りになっている。

左側はポーズブロック、右側がマンガ人形ブロック

脚部も前後の区別の無いパーツを貼り合わせた形状で、臀部の穴が貫通している。

左側はポーズブロック、右側がマンガ人形ブロック

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このシリーズには、野球マンガのドカベンのシールを貼った、「ドカベンマンガ人形ブロック」も見つかっている。

タグや、大型の袋に入った台紙には、STマークとロゴが描かれている。

ドカベンマンガ人形ブロックのロゴとSTマーク

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STマークの番号は、先の「マンガ人形ブロック」と同じで、商品名とシールが違っているが、同じ種類とみなして良いと考えられる。

ただ、小さい方の袋のSTマークはB0582005と番号が一つ若くなっている。

STマークにの付番に関するルールでは最後の3桁は合格番号であるとのことなので、

ドカベンバージョンの小さい袋のほうが先に合格したことになる。

ただ、シールが違うだけで、「マンガ人形ブロック」も、2種類の袋に入った「ドカベンマンガ人形ブロック」も

同じ玩具であるので、この連番は、なんらかの理由で同内容で2つの申請をほぼ同時にしたことを表すと思われる。

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ポーズブロックは、頭部が球状で後頭部に穴があり、胴体は板状になっていて厚い。つま先は一方に付いている。

マンガ人形ブロックは、頭部が板状で、胴体は肉抜きされており薄い。つま先は前後両方についている。

さらに、もう1種類、両方の特徴を合わせ持つ2パーツパチモンが確認された。

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商品名は「ロボットパズル」。

タグにメーカー名はない。上部中央に穴があり、店頭のフックにかけてディスプレイするものだったようである。

頭部は球形で、穴はあるが、前後に貫通しており、胴体は肉抜きされていて厚くなっている。つま先は前後にある。

左からポーズブロック、ロボットパズル、マンガ人形ブロック

左からポーズブロック、ロボットパズル、マンガ人形ブロック

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これらの3種類は、どれも連結部の直径が等しく、合体連結させることができる。

左からポーズブロック、ロボットパズル、マンガ人形ブロック

また、拳と脚部のつま先(ポーズブロックは踵)に、小さい直径の凹部がある。

この小さいサイズの凹部にあう突起部分はないため、この凹部の使い方はメーカーからは示されていない。

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この凹部を活用出来る駄玩具が発見された。

マルコー産業のポーズブロックに、ロボダッチのデザインの影響を強く受けた追加パーツをセットしたもので、

商品名は「スポーツ大将」という。

パッケージにはマルコー産業の名前があるが、ロゴはアルファベット表記に変わっていた。

スポーツ大将のパッケージにみられるロゴとSTマーク

STマークもあったが、メーカーを示す「アルファベット+3桁の数字」は、

ポーズブロックのパッケージにあった「P527」ではなく「K541」に変わっている。

所属の組合が変わったり、会社の分裂や吸収等の変更があったために、メーカー番号も変更されたものと思われる。

STマークの4桁目の数字から、発売は昭和53年(1978年)と推察出来る。

マルコー産業の「ポーズブロック」は昭和50年(1975年)に登録されているので、

ポーズブロックをもとに、追加パーツを付けて3年後に発売されたことがわかる。

逆に言うと、追加パーツを入れるための凹部は、最初から作られており、

3年後に、はじめて活用されたと考えることができる。

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えー・・・。

毎度お馴染みの、ここまでが前置きである。

ピコタンに先行したピエロ型があり、

明治製菓のオマケとしてのピコタンが流行し、駄玩具メーカーがパチモンを作って追随したところで、

腰部のボールジョイントを追加したマルコー産業が2パーツものを意匠登録し、STマークに登録した。

多くの駄玩具メーカーがパチモンや、パチモンのパチモンを作ったが、

ジョイント部(拳の部分等)の大きさをなんとなく共通にしていたことが見えてきた。

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ボールジョイントによる可動というアイデアを、さらに進めた人間型ブロックが作られたこともわかった。

腰部だけではなく、手足のそれぞれにボールジョイントを入れた、5パーツの人間型ブロックである。

商品名は「合体ロボくんブロック」という。

大台紙に、タグ付き4個入りが12袋ホチキス留めされている。

大台紙には商品名とコピーしか書かれておらず、メーカーロゴやSTマーク等はない。

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さぁ、ここからが、ホントの本番。

今回、この5パーツパチモンの袋入りを発見した。

商品名は、「ロボくんブロック」であり、大台紙の「合体」の文字は削られている。

タグは、片面がピンク、もう一面が黄色で、カラー印刷になっている。

ピンクの面には商品名と、

「○一つでもポーズが、たのしめます。

○二つ、三つと、いくつでも、つなぎあわせてあそびましょう。」というコピーが入っている。

緑、黄色、赤、白、ピンクが各5個、計15個が入っている。

小さな文字で「15コ入」と書かれている。

さらにその下に、「(株)クラウン化工」というメーカー名と、

「PAT.024892」という意匠権番号が入っているのが確認できた。

15個と比較的多くの入り数の袋をとめるためのタグは大きく、持ち手の穴が開いている。

このようなタグは、マルコー産業の「ポーズブロック」にも見られる。

似たような形態ではあるが、詳細に見るとサイズが違い、持ち手穴の形状も違うことがわかる。

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左端にはメーカーロゴが入っている。

先のJ-PlatPatで確認したが、番号はヒットしたが、詳細情報のリンクはなく、メーカー名での検索はヒットがなかった。

メーカー名を検索したが、ヒットする企業名はなく、オークション情報サイトで、

塗り絵や籤等の駄玩具のメーカーとしての記述が見られたが、詳細は不明であった。

クラウンの図柄のロゴマークと言えば、以前、合体チョコボールのパチモンで、

「ドッキングステーション」という商品名のものに貼られていた。

タグ付き袋入りで、タグには商品名が印刷されている。

台紙は、「Deluxe Toy」、「アクセサリー」と書かれている。イラストも宇宙ものではなく、

別の駄玩具からの流用か、特に台紙を用意しない場合の汎用タイプと思われる。

ロゴはクラウンだが、クラウン化工の「ロボくんブロック」のタグにあるものとは違っている。

「Deluxe Toy」の台紙にはSTマークが印刷されているが、それを覆い隠すようにメーカーロゴのシールが貼ってある。

合格番号はB1?10006と読める。

STマークの研究からBは「大阪玩具事業協同組合」。次の3桁はメーカー名だが1?1(2桁目は読めない)。

4桁目の「0」から昭和50年(1975年)の登録であることがわかった。

なお、1975年は明治合体チョコボールの発売された年である。

日本玩具協会には、メーカー番号に関する資料があるかもしれず、今後調査してみようと思っている。

「ロボくんブロック」のタグにあるPAT番号から意匠公報が閲覧出来れば、

両者が同じ会社の製品かどうかがわかるが、それも今後の調査に待ちたい。

....

今回発見された「ロボくんブロック」のタグにはカラーイラストが描かれているが、

このイラストと、以前に見つかった「合体 ロボくんブロック」のイラストには共通点が見られる。

上が今回見つかったロボくんブロックのタグ、下が合体ロボくんブロックの台紙イラスト

タグのピンクの面にあった6体の合体したイラストは台紙の左側に見られる。

黄色の面の左側の3体の合体イラストは、台紙の右側に見られる。

貴色面の右側の2個繋がっているイラストの右側の部分が、台紙の商品名廻りの2ケ所に使われている。

合体ロボくんブロックの台紙の商品名の左右にある黄色のイラストは、向って左側の腕の先端が消されている。

タグのイラストを見ると、2個並んだ左側が省略され、そのために右側の赤いロボットの手の先が消されているのがわかる。

このことから、同じイラストを使ったこと、タグのイラストのほうがもとになっている可能性が高いことがわかる。

タグのイラストのほうが、影の部分が豊かに残っており、台紙イラストのほうは、よりコントラストが高く、

3色で印刷されていることもあり、原画の再現性が低くなっているようである。

....

袋の中には、一色刷りの取説的な印刷物が封入されていた。

印刷物には、

☆ロボくんブロックのくみかた☆

●おててつないで・・・・・・手と手がつなげます。

●ロボくんのわきのしたに、足をさしこんでください。

●ロボくんのはらの穴に、足をさしこんでください。

●ロボくんのかたに、足をさしこんでください。

図のほかにもいろいろとさしこみかたを、かんがえてあそびましょう。

と、かかれており、台紙やタグにあった、2個組、3個組、6個組と、

足を胴体の穴に差し込んだ3個組のイラストが描かれている。

....

なお、今回入手したものは、未開封かと思われていたが、手や足が欠損しているものが3体あった。

また、タグにはホチキス留めされている他にも、穴が見つかった。

留められているホチキスはさびているので、袋が破損して一部パーツが亡失した後に、

他の袋につめ直してホチキス留めしなおしたものであると思われる。

.....

なお、商品名のロボくんブロックは、明治製菓から発売された「ロボクン」よりとっていると思われる。

発売は明治合体チョコボールよりも後で、カニタンやカメタンと言った多パーツものの系統の一つとして発売されたようである。

ロボクン

頭部、胴体、左右の手、左右の足の6パーツで、カニタンやカメタンと比較して非常に可動部分が増えた。

マルコー産業のポーズブロックが、ピコタンのデザインに球形ジョイントのアイデアを追加したものだったのに対して、

クラウン化工のロボくんブロックは、パーツ構成こそ違えども、パーツ数の多さや、可動部分の多さが、

明治製菓のロボクンとにより共通性を強く感じられる。

マルコー産業の2パーツパチモンも、インベーダー消ゴムと抱き合わせで「ロボくんブロック」という商品名で売られていた。

マルコー産業の2パーツパチモンも、クラウン化工の5パーツブロックも、拳の大きさは等しく、

ジョイントさせることができる。5パーツブロックの拳の突起は、2パーツパチモンの拳に差し込むことができる。

2パーツパチモンの拳とかかとの小さな穴には特に使い方が明記されていない。

マルコー産業のポーズブロックのタグには、

○一つでもポーズがたのしめます。

○二つ以上でつなぎとファッション

というコピーが見られる。

この「○一つでもポーズがたのしめます。」というコピーは、

クラウン化工の台紙にも見られた。

台紙には「二つ、三つと、いくつでも、つなぎあわせてあそびましょう。」と、非常に近い内容のコピーが見られる。

2パーツパチモンにも5パーツブロックにも、「ロボくんブロック」という似た名称が使われている。

クラウン化工の意匠公報が参照できなかったため詳しくはわからないが、

発売時期や、その流通経路等は、この両者は非常に近かったと思われる。

クラウン化工製に見られる拳の突起や、台紙のコピーから考えると、

5パーツブロックのほうが、先にあり、2パーツパチモンがその影響下で作られた可能性もある。

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これらのブロックに見られる直径5mmの拳は、大型のピコタン型パチモンであるジャボタン(メーカー不詳)にも見られる。

さらに、ピコタンより以前からあった、藤田屋商店のピエロ型にも、拳が5mmの大型種が見つかっている。

この純正のピコタンに比較して、非常に大きなサイズのグループが、相前後して、

お互いに影響をうけつつ登場したということは確かであると思われる。

左からピエロC型、ジャボタン、ポーズブロック、合体 ロボくんブロック

..........

・・・と、まぁ、また長くなったのであるが、

明治製菓のピコタンから始まった、集めて遊ぶオマケの系譜が、サイズの拡大や多パーツ化で

非常に広く拡大したことの流れを俯瞰することが出来たと思う。

藤田屋商店の「ピンキーブロック」という前史があり、

明治製菓のピコタンの登場で爆発的な流行をみた人間型ブロックを、

多くの駄玩具メーカーが、様々な新味を加えつつ、そのアイデアを取り入れつつ、

互換性を緩く持たせつつ、作っていったことがわかる。

この、「ゆるい共通性」が、今程意匠権等に厳しくない、昭和の駄玩具の多用さ、面白さを象徴していると言える。

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発売から40年以上経ってるわけですよ。

どこが先だとか、誰がパクったとか、そんなことは、ある意味、もう時効ですよ。

探せば探す程、見つけたものを比べれば比べる程、

似たところ、違うところがでてきて、それを純粋に比較・分類するところに、

この駄玩具趣味の真髄があるんだと思いますよ、きっと。

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というわけで、

超合金だとか、ソフビだとか、プラモだとか、あらかた研究がしつくされた分野以外にも、

見方によっては、まだまだ知らないことがいくつもあり、楽しめる世界が広がっているんじゃないかと。

いや、けして、高い玩具が買えないから、駄玩具なんかで我慢してるわけじゃないんですよ。

もともと、駄玩具にしか興味がなかったんですって。

昔っから、安い駄玩具しか買えなかったんじゃないかって?

・・・まぁ、そうとも言いますけど。(^^;)

いいでしょ?他にはないコンテンツですもん。

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