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とりあえず亜種ということで

ピンキーブロックのバリエーション part.2

ピコタンよりも前に、藤田屋商店という業者から人間型ブロックが発売されていたことが、

当時の業界紙の広告からわかった。

「玩具商報」昭和44年1月1日号には「ブロックボーイ」、

同誌の昭和44年8月15日号には「ピンキーブロック」という名前の胴の太いブロックが紹介されている。
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玩具商報(昭和44年1月1日号)より引用 玩具商報(昭和44年8月15日号)より引用

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これらは、最初に見つかったものにあったピエロをかたどった顔の模様から、ピエロ型と分類してきた。

ピエロ型には大きく分けて4種類あり、首や手首のヒダや厚く塗ったくちびるを表すピエロらしいA型、

その簡略版ともいえる顔を持ちピンキーブロックとして売られていたB型、

顔はB型と同じだが非常に大きいC型、

顔はA型に似るが純正ピコタンと同じくらいの大きさでホンコン製の刻印をもつD型が見つかっている。

左からA型、B型、C型、D型

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ピエロA型は、先輩から当時モノを譲ってもらったが、その時はパチモンかと思っていた。

しかし、ピコタンのパチモンである「人形ブロック」のタグに、このピエロ型のシルエットが書かれており、

ピコタンとの関係が判明していなかった。

パチモン顔ありB型

それが、ピコタンの登場の数年前、別のメーカーから玩具として発売されていたことが、上掲の雑誌広告で確認された。

さらに、ホンコン製の駄玩具のデッドストックと一緒に、

藤田屋商店のロゴの入った他の玩具の台紙にセットされた、このA型が発見された。

ピエロA型

この台紙は、トラックの玩具の台紙を再利用したもので、藤田屋商店のロゴが書かれている。

今迄青、黄色、白の3色があったが、今回赤と緑が見つかり5色が確認された。

上掲のブロックボーイの色が5色ということ、ピンキーブロックよりも複雑なリアルなピエロの絵柄で、

ピンキーブロックが「改良型」と銘打ち、よりかわいさを強調した簡略化された絵柄であることからも、

このA型が、ピンキーブロックのもとになったブロックボーイであると考えられる。

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都内某所の米屋で見つかったピエロ型は台紙と一緒に発見され、ピンキーブロックというという名前だったことがわかった。

上掲の玩具商報の記事に同名の玩具が紹介されており、台紙に書かれているロゴマークが藤田屋商店のものであることが確認された。

記事によるとプラ容器入りで100円ということであったが、下北で発見されたものは記事にみられる台紙よりも小さく、

より安価に売られていたものではないかと思われる。

この手の駄玩具は、観光地のお土産としてまとまった分量を高価に販売したものや、

駄菓子屋や屋台などで安価に小分けされたものなど、さまざまな販売形態があったと考えられる。

色は6色で、この点でも記事と符合する。

顔は4種類で、同じ顔でも服の水玉模様やストライプがちがっている。

にっこり顔と怒り顔に各4種類、眉付きにっこり顔が3種類、眉付き笑い顔が一種類ある。

にっこり顔

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怒り顔

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眉付きにっこり顔

眉付き笑い顔

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後に某クションで、このピエロB型を3個だけバラで入手した。

色はピンクと白と青であるが、ピンキーブロックの青に比べるとクリアである。

プラスチックの発色については、材料の配合で透明度にはかなりの振れがでるらしいので、

青一色をもって製造工場の違いの証拠とすることはできない。

顔は怒り顔と眉付きにっこり顔が見つかったが、表情や服の水玉模様とストライプが微妙に違うことがわかった。

今回の入手品Aタイプ 今回の入手品Bタイプ
.眉付きにっこりAタイプ .眉付きにっこりBタイプ

このバラのものとピンキーブロックとの関係は、サンプル数が少ないことから不明としてきた。

ピンキーブロックのなんらかのバリエーションである可能性があると考えられた。

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・・・・・・ここからが本論である。

さらに、ピエロ型を大量に入手する機会を得た。

送られてきたものを詳細に分析した結果、先にバラで発見したピンキーブロックのバリエーションと同じものであることがわかった。

今回発見されたのは緑と黄色とオレンジで、前回発見された青と白とピンクの3種と合わせて、6色になり、

これは、ピンキーブロックのカラーバリエーションと同じことが確認された。

上段がピンキーブロック、下段がそのバリエーションと思われるサンプル

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顔はにっこり顔、怒り顔、眉付きにっこり顔、眉付き怒り顔の4種類であった。

このうち、眉付き怒り顔はピンキーブロックにはみられないものであった。

にっこり顔

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怒り顔

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眉付きにっこり顔

眉付き怒り顔

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この新しく見つかったサンプルを詳細に分析した結果、顔や水玉模様などにバリエーションが多く、

にっこり顔に8種、怒り顔に6種、眉付きにっこり顔に5種類のバリエーションが確認された。

水玉模様はバリエーションごとに表面と裏面の組合せが同じである。

顔を良く見てみると、眉が曲線のもの、直線のものがある。

これはにっこり顔と怒り顔の口の線と同じものであることがわかる。

目と頬の点の大きさが同じものと違うものも発見され、

笑った口も緩やかなものと、ピンキーブロックでみられた比較的曲線のきついものの2種類が見つかった。

にっこり顔(口がなだらかな曲線)

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にっこり顔(口がきつい曲線)

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眉付きにっこり顔(眉が直線)

眉付きにっこり顔(眉が曲線)

顔を構成するパーツは、眉と口に使われる曲線と直線、口のきつめの曲線、目と頬の楕円、鼻の円の組合せであることがわかる。

服の部分の水玉は大小2種類の円からできているが、この配置はランダムで、バリエーションごとに違っている。

これらのことから、目や水玉、口などのパーツの押型を用意し、

元型に押して模様を作り、少なくとも8種類のにっこり型を一度に作ったものと思われる。

怒り顔に6種、眉付きにっこり顔にも5種類のバリエーションがあることから、これらもそれぞれ8種類のバリエーションがあったかもしれない。

しかし、ピンキーブロックの眉付き笑い顔と、バリエーションの眉付き怒り顔が一種類ずつしか見つかっていないことから、

全ての顔の種類が同じように8種類ずつあるわけではなく、合計で20種類前後を一度に作る型を作っているときに

押型をいろいろに組み合わせて顔を作ったなかで、たまたまできたものかもしれない。

このような理由から型の総数は不明であるが、かなりの数が樹状の型から一度に作られたと考えられる。

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今回発見されたものと、ピンキーブロックに、型のバリエーションで共通するものは一つもなかった。

それぞれがまとまった数のサンプルが発見されたなかで、このようにダブリがないということは、

違った型から作られたと推測することができる。

大きさや色のバリエーションは共通することから、同じ藤田屋商店の製品であると思われる。

今回発見されたものの商品名は不明だが、ピンキーブロックのバリエーションということで、これをピエロB2型と分類することにする。

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