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亜種?それともパチ?

ピンキーブロックのバリエーション

先日紹介したように、ピコタン型人間ブロックの直接の原型は思いの外古く、

「玩具商報」昭和44年1月1日号に出ていた「ブロックボーイ」、

同誌の昭和44年8月15日号に出ていた「ピンキーブロック」にまで遡ることがわかった。

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これらは、その特異な形状とピエロをかたどった顔の模様から、ピエロ型と分類してきた。

ピエロ型には大きく分けて4種類あり、首や手首のヒダや厚く塗ったくちびるを表すピエロらしいA型、

その簡略版ともいえる顔を持ちピンキーブロックとして売られていたB型、

顔はB型と同じだが非常に大きいC型、

顔はA型に似るが純正ピコタンと同じくらいの大きさでホンコン製の刻印をもつD型が見つかっている。

左からA型、B型、C型、D型

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この度、このピエロB型をバラで発見した。

.眉付きにっこり2個、怒り顔が一個だが、その色や顔が微妙に「ピンキーブロック」と違っている。

まず色では青の怒り顔が、クリアに近い青で、これはパチモン顔ありF型に近く、

落ち着いた発色を得るための薬剤を省略した、安価な素材であることがわかる。

左側から今回発見のもの、ピエロB型、ピエロA型

顔についても目が小さいような印象を受けたので、他のB型とあらためて比較してみたところ興味深い発見があった。

今回の入手品 怒り顔Aタイプ
怒り顔Bタイプ 怒り顔Cタイプ

口をヘの字に曲げた「怒り顔」タイプではあるが、他のB型に比べてモールドが甘く、目も小さい。

眉の太さも一定せず鼻の位置もずれている。

しかし、他のB型のものにしても、顔だけでなく胴体の水玉模様や縦線が違う3種のバリエーションがあることがわかった。

このピンキーブロックとして一まとめに入手したものの中でのバリエーションは、

成型時に一本の幹になるランナーから樹状に複数を同時に作ったことを示していると考えられる。

色はB型とほとんど変らないが、やはり顔と水玉模様にバリエーションがあることを、.眉付きにっこりでも確認して見た。

今回の入手品Aタイプ 今回の入手品Bタイプ
.眉付きにっこりAタイプ .眉付きにっこりBタイプ

今回の入手品はどちらも眉が細く、目のフチの線は左にいくにしたがって細くなる。

それに対し、ピンキーブロックに入っていた方はモールドがしっかりとして太さも一定である。

しかし、それぞれに、腕の付け根の水玉模様がちがっていて、バリエーションがあることがわかる。

ピンキーブロックも詳細に見比べると、最も多いにっこりは4個がそれぞれ違う顔を持っていた。

モールドはしっかりしていて、パーツの太さは一定だが、目の傾きと胴体の水玉がそれぞれ違っていた。

にっこりAタイプ にっこりBタイプ
にっこりCタイプ にっこりDタイプ

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メーカーはわからないが、大型で上掲のにっこり顔を持つ大型のC型では、

どれも顔が全く同じで、一つの型から一個ずつ量産されたか、型の作成時に全く同じものから複製したことがわかる。

それに比して、このピンキーブロック(B型)は、同じ顔でも少なくとも4個を同時に作ったことがわかった。

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ピエロタイプは、前述のように藤田屋商店から「ブロックボーイ」や「ピンキーブロック」として売られていたことがわかっている。

ピンキーブロック」については、タグを一緒に入手したので同定することができたが、

ピエロA型が何にあたるのか、「ブロックボーイ」と「ピンキーブロック」は何が違ったのかはわかっていない。

今回の入手品は、明らかにピンキーブロックと違う型から作られているが、

これが、ピンキーブロックのロット違いなのか、ブロックボーイと呼ばれたものなのか、

更にはこのピエロ型ブロック玩具の流行に目をつけた第三者によって模造されたものかはわからない。

このあたりの事情は、タグやケースと一緒にピエロ型が他にも発見されなければわからない。

ただ、同じ様なピエロ型ブロックにも詳細に検討することによって、多くのバリエーションが確認できたことは

今後のピエロ型の分類、更にはピコタン型玩具の原型を探るうえでも重要な発見であるといえる。

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今回発見された、ピエロ型はB型の別種とするか、ロット違い等の亜種レベルでの違いとするかは

現状では決定できない。今後の研究によって明らかにしていきたい。

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