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顔があったりなかったり

同一形状で顔の有無のあるパチピコについて

先に「徹底解明!ピコタンのできるまで」と題した一連の考証で、

ピコタンは、実は非常に古くからあるブロックのアイデアをもとにオマケにした可能性があることを指摘した。

しかし、その一方で、明らかに純正のデザインをもとにしたと思われる顔を持つパチモンの存在も確認されている。

顔ありの分類 同じ形状の顔無し 特記事項
パチモン顔ありA - 形状は後期に似る。顔は後期をもとにしたしっかりした造形。表面は逆向きの斜め線。
パチモン顔ありB - 非常につたないが純正の顔を真似ている。表面は点々。
パチモン顔ありC パチモン顔無しL 半分はポコタン系の単純な顔。残りは純正に似ていなくもない。胴に三本線がある。

パチモン顔ありC2

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顔は顔ありC型と同じで、サイズが小さい。
パチモン顔ありD パチモン顔無しD 後期をもとにした7種の顔が見つかっている。

パチモン顔ありE
- 怪人や正義の味方っぽい、全く独自の顔が6種類ある。表は、胴体に三本線、全体に点々。

パチモン顔ありF
パチモン顔無しI 顔は一種類で、胴体の部分にバリエーションが3種ある。表面は純正と同じの斜め線。

パチモン顔ありG
パチモン顔無しB 表面の胴体部分にじゃんけんの手がある。2種類確認されているが3種あると考えられる。

パチモン顔ありH
パチモン顔無しI 悪者系の3種の純正に似ていない顔を持つ。表面もそれぞれに独自の模様を持つ。

パチモン顔ありI
パチモン顔無しE 純正の影響が強く、特徴をミックスした顔をもつ。表面は純正と同じ向きの斜め線。

(ピコタンのパチモンに関しては「ピコタン大図鑑」を参照されたい)

上記のうち、当時から持っていたのは、顔ありA、顔ありD、顔ありE、顔ありF、顔ありGが2・3個。

、顔ありCが複数個あるのが確認されていたが、最近になって、某クション等で日本中からサンプルが集まるにしたがって、

様々な顔ありパチモンのそれぞれのタイプに、複数の顔の種類があることがわかってきた。

当時から、顔無しD型と同じ形状の顔ありD型があるのが知られていたが、

さらに顔ありF・H型と同じ形状の顔無しH型が見つかり、

同じ原型をもとにしたと思われる顔ありと顔無しがいくつも発見された。

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さらに今回、大量の顔無しパチモンと純正を入手する機会を得たが、その中に、また新たな顔ありパチモンの型を発見した。

上掲の表にも記してある、顔ありパチモンI型である。

左が顔無しE型、右側が今回発見された顔ありI型

脇の突起が薄いことや、全体のバランスは、「ブロックマン」の名前で売られていた顔無しE型に似ている。

色は緑・青・赤の3種だが、「ブロックマン」の顔無しE型は黄色を含む4種類なので、ロットによっては4色あった可能性もある。

(その後、ぶっと氏から黄色を提供してもらうことができ、4色あったことが確認された)

顔は4種類。前期と後期の特徴を混ぜて取入れ、併せて独自のデザインを追加している。

表面には非常にしっかりとしたモールドの、純正と同じ向きの斜め線を持っている。

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この顔ありI型には、4種類の顔のそれぞれに微妙に違う型違いをみることが出来た。

↑左側には耳がある

↑左側の頭部、おかっぱの左の部分に縦線がある

↑ワンピースの水玉模様が違っている

↑襟の形や下唇の重なりかたが違う

このような小さな差異は、一本の幹から樹状に枝分かれさせて、一度に沢山のピコタンを作るためと思われる。

真ん中分けの水玉ワンピースは5種類の型の違いが見つかっており、他の3種にももっと多くの型違いがある可能性がある。

4種類の顔は、以下に見るように前期・後期の純正の顔の特徴の一部分を組み合わせてアレンジされている。

いちばん左がパチモン顔ありI型。右側はもとになったと思われる純正

顔ありパチモンI型のそれぞれの顔の特徴的なパーツに注目し、それに似た純正を集めてみた。

このようにして見ると、もとになった純正は前期・後期の両方に渡ることがわかる。

例えば、顔ありI型のハゲおやじタイプの上着の裾の部分は、明らかに純正学生服タイプの前期型をもとにしている。

左が純正学生服後期、右が前期

これらのことから、この顔ありI型のデザインを案出するにあたり、多くの純正を集め参考にしたことがわかる。

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顔ありパチモンを大別すると、純正の顔を模したものと、全く独自な顔のデザインを持つものがあることがわかる。

顔ありD型が最も純正のデザインを忠実に伝えていて、A型も丁寧ではあるが、一部独自の解釈がみられる。

B型は、もとになった純正の種類を想像させるが、余りにラフな造形である。

F型とI型は純正のデザインを部分的に取入れ、似たものを作ったということができる。

独自のデザインには、E型やH型といった、怪人やヒーローっぽいマンガやアニメの強い影響をもっているものと、

ピコタンの主要な意匠権を持っていることがわかったマルコー産業製と思われるニコニコマーク似のC型がある。

しかし、C型8種のうち4種(「帽子」、「真ん中分け」、「七三分け」、「おかっぱ」)は、純正のデザインの影響が若干感じられる。

純正の影響が見られるF型と一つ目や海賊風の隈取のあるH型は、かなり似たようなプロポーションを持っている。

G型は胴体にグー・チョキ・パーの模様があるが、これはメンコにジャンケンや無意味な数字列を入れることと似ている。

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どのパチモンが先に出たかは知るべくもないが、プロポーションは違うが、顔の模様が純正に模されたものがあることから、

これらは明らかに純正のあとから出てきたものだといえる。

ピコタンが大変な人気を持っていたとはいえ、流通期間は1年〜2年に過ぎないと思われる。

その間に多くの型から、純正の顔を模したパチモンが作られたことは、

純正を作った一流メーカーの影響力の強さと、子供に流行したら間髪をいれずにパチモンを作った多くの中小業者がいたことがわかる。

また、純正に似せない独自の顔を持つものがあり、それがイイ者と悪者と設定しやすいような顔に工夫されていること、

射的の的にでもするつもりだったのか、一つ目などの凶悪な顔をもつパチモンが作られたということ、

さらに、ジャンケンの手を胴体に入れ、それによるジャンケンをできるようにするなど、

純正の大人しいキャラクターだけでは飽き足らず、子供の遊びに便利なデザインが工夫されたことがわかる。

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同じ形状で顔のあるパチモンと顔のないものが、複数あることから、

顔ありのものを作っていた中小メーカーが、企業に特許意識が高まるの中で、

クレームを防ぐため、顔を消したという可能性も考えられる。

このあたりはメーカーの直接の担当者を探して証言をもらうほか、解明する手立てはないが、

興味深い想像であるといえる。

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ピコタンにしろ、たこちゅうにしろ、明治合体チョコボールにしろ、

出た当初は大ヒットだったかもしれないが、長期間販売され続けていたわけではない。

流行した時期は短かったと思われるが、どの種類も多くのパチモンが作られたことは驚愕に値する。

このような1パーツのオマケは、他にもいくつも出ているが、

これほど多くのパチモンがあったということは今のところ聞いたことがない。

多くのパチモンが出たピコタン等が特殊だったのか、あるいは、他のオマケでも多くのパチモンが作られたが見つかっていないのか。

もし、多くのパチモンが出たオマケが他にないとしたら、なぜこの時期のオマケだけ多くのパチモンが出たのか。

パチモンが出るほど流行したということであれば、なぜ、これほどまでに本や雑誌などに取り上げられることがないのか・・・。

疑問は尽きない。

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