パチピコタン入り注射器

前項で紹介したパチモンポコタンの入っていた古い箱の中身は、手許に来るまでわからなかった。

巻き火薬やキャップ火薬を挟み、ロケット型の本体を上にほうり投げ、着地の衝撃で音をださせる

「ロケット弾」の２本セットの他は、いくつかのガチャガチャのカプセルくらいしか見えなかった。

・・・で、

なかからでてきたのが、このプラスチック製のピコタン入り注射器であった。

なんで？

なんで注射器にピコタンなの？？

この予想を超えたミスマッチにしばしば呆然とした。

.注射器の内筒に入っているのは、「ピコタン大図鑑」で、「パチモン顔ありＡ」と分類したタイプで、

前面の斜線が純正と逆で、成型も丁寧で組みやすく、裏面の顔もちょっと変えてあるが、オリジナルと近いタイプのものであった。

内筒下端のゴムは劣化しくっついているが、以前は取ることが出来、中のピコタンを出すことが出来たのかも知れない。

そこで、あることに思い至った。

注射器を使って何をして遊んだか？

中に水を入れて勢いよく噴射して、人やものに水をかけたものだった。

ということは・・・。

このピコタンは、水をかけて倒すための「的」なのではないだろうか。

「射的セット」という名称で、銀玉鉄砲やミサイルが撃てる鉄砲と、怪獣や恐竜などのプラ玩具がいくつか箱に入れられて、

お土産屋などで売られていた。

この注射器とピコタンは、水鉄砲とその的を究極的にコンパクトにセットした、

射的セット・水遊びバージョンなのではないだろうか。

そう考えてみると中のピコタンが３つも入っていることも、的が複数ないと遊びづらいからだと思われる。

以前、ボールペン付きインベーダー消しゴムを紹介したが、

あれも、的であるインベーダーと、それをオハジキやビー玉などを弾いて攻撃するためのボールペンがセットになっていた。

遊び方の説明書もないが、他に遊び方が考えづらい構成であるのは、この注射器と同様で、

箱入り射的セットに手が届かない子供にも、代替品を提供するために、

安いアリものをまとめて何の解説もなく提供してくる、

やさしさというか、適当というか、そういったおおらかさともいえるような雰囲気こそが

パチモン駄玩具の面白みである。

この注射器の商品名とメーカーが判明した。

詳細は「ジャンボ注射器水てっぽう」を参照されたい。