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謎を呼ぶ、タコチュウ遊びの原点?

ボールペン付きインベーダー消しゴム

先日、オークションで東北の駄菓子問屋さんのお倉出しを落札した。

その中に、タコチュウ遊びと同様のアイデアを持った玩具を発見した。

↑これが今回発見した、「ボールペン付きインベーダー消しゴム」である。

タコチュウ遊びは当初、タコチュウを立てて、それに向けてビー玉をぶつけることから始まった。

当時、スーパーカー消しゴムをボールペンで弾く遊びが流行っていた。

たまたまボールペンでビー玉をはじいて、タコチュウを射撃したことから、

この遊びは飛躍的に組織化され、洗練されることになった。

ビー玉に代り、攻撃力に勝るパチンコ玉を使い、防御力向上の為にパチンコ玉で

台を作りタコチュウを載せることによって、この遊びの基本が確立されることになった。

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この射撃要素は、今迄全く他に見られないものと思われていたが、

この「ボールペン付きインベーダー消しゴム」の発見によって同時期、

あるいは更に前の段階で同じようなアイデアが生まれていたことがわかった。

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「ボールペン付きインベーダー消しゴム」の構成は、インベーダー消しゴム7個と、

タコチュウ遊びに使われるのと同様のボールペン一本、それとインベーダーの並びを示す紙のシート1枚から成る。

パチモンの御約束だが、これをどうやって遊ぶかの説明はない。

しかし、シートの示す順番にインベーダーを並べ、何かをぶつけて倒すのが、

もっとも思い付きやすい遊び方であると考えられる。

スーパーカー消しゴムでも、ビー玉でも、安くて数が集められるものは色々想定できる。

インベーダーゲームの登場が1978年(昭和53年)。そうするとタコチュウ遊びよりも後だが、

ボールペンでなにかを弾いて倒す遊び方については殆ど同時にアイデアが存在していたと言える。

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「ボールペン付きインベーダー消しゴム」の発見によって、タコチュウ遊びの成立が偶然でなく、

当時入手しやすかったものを組み合わせれば、比較的思い付きやすい、

必然的に生まれたものであると言うことができる。

<参考資料>

最近になって「ボールペン付きインベーダー消しゴム」のさらにもとになると思われる駄玩具を発見した。

「F1カー消しゴム」である。

タグつきの袋に、「ボールペン付きインベーダー消しゴム」と同様のボールペンと

バリの残るラフな造形のスーパーカー消しゴムが10個。写真カードが一枚入っている。

タグの写真は、黒いのはJPS Mk3ロータス78、赤いのはフェラーリ312T2で

どちらも70年代の車両ということであった。(情報提供:三浦さばいぶさん、艶☆2号さん)

スーパーカー消しゴムをボールペンで弾く遊びは当時大流行していたが、

消しゴムをガチャガチャや駄菓子屋で手に入れ、ボールペンは文房具屋で

「BOXY」というロゴのはいったものを買うのが一般的であった。

そこは目敏い駄玩具メーカー。遊びに必要なものをワンパッケージにして用意してしまったのだろう。

おまけにカードまで付けてあるという親切さである。

「F1カー」といいつつ、カウンタックやロータスエウロパなどのいわゆるスーパーカーで、

ゴムと言う割には素材はプラスチックらしく、物凄く良く走る。

値段は50円ではペイしない可能性が高く、大きな台紙に留めた大型ホチキスの跡もないので、

もう少し高い価格設定で、お土産屋や玩具屋等の台などで平置きされていた可能性がある。

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日本玩具協会のホームページによると、

スーパーカー大流行は、昭和52 (1977)。

インベーダーゲーム大流行は、昭和54 (1979)ということである。

このことから、「F1カー消しゴム」のほうが「ボールペン付きインベーダー消しゴム」より

早く出現したことが考えられる。

そうすると「ボールペン付きインベーダー消しゴム」は、射撃要素の提案というより、

「F1カー消しゴム」の構成を踏襲しただけのものだった可能性も出てきた。

しかし、インベーダーは立てられるだけの厚さを持たされていたということは、

何かしらの弾とかミサイルになるものを用意することを想定していたとも考えられる。

射的ゲームと言う名で、銀玉鉄砲や吸盤付きミサイルを撃つ銃と目標になる怪獣などをセットにした

玩具が多く見られたことと考え合わせても、ボールペンで射撃するという遊び方は

奇想天外なものではない。むしろ思い付きやすい遊び方と思われる。

だが、明文化されたルールもなく、そのうちにテレビゲームなどに食われてしまったものであろう。

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