人形ブロック

あら偶然、あなたも同じ名前なのね

人形ブロック

ピコタンのパチモンは、２０種類以上見つかっている。

オリジナルの影響が強いものから、全く独自のヒーローを模したもの、顔のないものと様々な種類が確認されている。

また、同じ形状で、顔のあるもの、無いものも確認されており、

どういう理由で顔の有無の違いができたのかは、現在では解明されていない。

（ピコタンのパチモンに関しては「ピコタン大図鑑」を参照されたい）

パチモンピコタンは、ガチャガチャの他に、タグ付き袋入りやケース入りで売られていたことがわかっているが、

今回、台紙付きのサンプルを入手した。

状態が悪いのが残念だが、台紙にタグ付き袋入りで、顔無しＤ型が緑、青、黄、赤が各５個ずつで、一袋には２０個が入っている。

台紙には１２の枠があり、１２袋が大きめのホチキスで台紙に留められていたことがうかがわれる。

台紙の上部が失われているので詳細は不明だが、破れた部分に黒で囲われた黄色い丸い図柄が見つかった。

白い矢印の先に黄色い模様が見える

これは、この部分に組み合わされたピコタンのイラストの足の部分ではないかと考えられる。

欠落した部分には、商品名の人形ブロックとイラスト、メーカーのロゴなどの情報が有ったと思われるが、

水濡れなどで状態が悪く、失われてしまっていた。

タグには表面に「人形ブロック」と書かれており、裏面には合体した状態のイラストが描かれている。

注目すべきは、このイラストである。

袋の中のパチモンピコタンは純正とほとんど同じプロポーションであるが、イラストに書かれているものは胴体が短く太い。

これは、ピエロ型の特徴に近い。

このようなイラストは、顔ありパチモンＢ型と分類したもののタグにも見られた。

膨らんで極端に短い胴体や、長めの腕と非常に似ている。胴体の穴が一つしかないことは相違点と言える。

商品名も同じ「人形ブロック」である。

このパチモンＢ型は非常にラフであるが、純正の顔を真似た絵柄になっている。

さらに、このような特徴的なイラストが使われたのが、顔ありパチモンＣ型がケースで売られていた、「人間ブロック」である。

このケースに入っていた顔ありＣ型は、２パーツピコタン型ブロックの意匠権を持つマルコー産業製であると思われている。

似た特徴を持つ駄玩具のどれがオリジナルに近いかを解明するのは非常に困難で、

純正ピコタン自体がピンキーブロック等のピエロ型の翻案である可能性が出てきた現今、

そのような順位付けに意味があるのかという根本的な議論もあるが、

それぞれの相違点を客観的に列記してみる。

名前	内容物	イラスト	純正の顔との関係	商品名ルビ
人形ブロック	顔無しパチモンＤ型	顔無し単色（胴体２つ穴）	顔省略（顔ありＤと同形）	あり
人形ブロック	顔ありパチモンＢ型	顔ありカラー（胴体１つ穴）	ラフだが似せている	なし
人間ブロック	顔ありパチモンＣ型	顔ありカラー（胴体２つ穴）	純正に似た後期の４種	あり

今回袋入りで見つかった顔無しパチモンＤ型には、全く同じ形態的特徴を持っているが顔の有る、顔ありパチモンＤ型がある。

顔ありパチモンＤ型は純正の顔に良く似せてある。顔ありＢ型もラフでは有るが純正の顔を真似ている。

顔ありＢ・Ｄ型が元にした純正は、一部ダブっているが同一でなく、仕上がりからも別々のメーカーが

似たようなパチモンを作ったのだと思われる。

顔ありパチモンＣ型は、２パーツピコタンの意匠権を握るマルコー産業の製品と思われるが、

このＣ型には純正と似ていない初期の４種と、純正の影響が見られる後期の４種があり、

人間ブロックに入っていたのは後期の４種の方であった。

このように見てくると、この「人間・人形ブロック」は、どれも純正発売以降に作られたと思われる。

しかし、タグにはピエロ型に似たイラストが描かれている。

ピエロ型の発売時期は、明らかに純正ピコタンの発売より早かったことが、文献から証明された。

ピコタン型人形ブロックの発生に関しては

「徹底解明！ピコタンのできるまで」を参照されたい。

もし、このピエロ型に似たイラストが、へたくそな版下屋が偶然胴体を太く描いたのでなければ、

純正ピコタンを真似たパチモンのパッケージに、更に古いピエロ型の痕跡をかいま見ることができる。

このことは、純正ピコタンの発売の前に、駄玩具としての人間型（ピエロ型）ブロックが普及していたことを暗示する証左だと思われる。

この台紙付きピコタンといっしょに、ピンキーブロックを売っていた藤田屋商店の射的セットや、

トランシーバー型糸電話玩具が一緒に見つかったことも、時代を特定するヒントになりうると思われる。

ピエロ型からピコタンへの進化の道筋が、今のところ確信を持って説明することができないのが残念だが、

純正似の顔と、ピエロ型っぽいイラストを持つ複数のパチモンの存在が、

いずれの日にかこの道筋を示す道標になるような気がしてならない。

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