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他人のそら似ってやつですか

チューチューターコ

以前、某クションで、タコチュウっぽい吸盤玩具を発見した。

入手したのは、黄、赤、ピンクの3種であった。顔はどれも同じであった。

目にはまつげがありサンリオ系のキャラクターに似ていること、ハートのネックレスをしていることから、

少女向けのデザインであると考えたが、どのようなものかはわからなかった。

材質は消しゴムで、プラスチック製の吸盤が埋め込まれ接着されている。

比較的しっかりした造形の吸盤で本体の消ゴムとの接合も丁寧に作られている。

特徴的なのは下部に穴があり、ここに鉛筆をさすようになっていることである。

この穴は、「これは玩具じゃありませんよ。文房具です。学校に持っていってもいいんですよね?!」という

主張を示すものと思われる。

材質は比較的しっかりとした消しゴムであることから、文房具店で売られていたか、

鉛筆会社等の販促品の可能性も考えられたが、詳細は一切不明であった。

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でもって、もう本題なのであるが、

発見から10年以上経って、またまた某クションで、

今度は未開封新品を発見することが出来た。

3個入りで、商品名は「チューチューターコ」。

英文で「Chu~Chu~Ta~co」と書かれている。

フキ出しに「吸バン付き」とあり、特徴的な吸盤に特に言及しているのが興味深い。

イラストは商品の特徴を活写しており、頭上の黄色いリボン(?)と、胸のハートのネックレスが描かれている。

目は笑い目になっているが、まつげもあり、頬の斜線2本も写されている。

右上のイラストは、吸盤どうしをくっつけてキスしている絵柄になっており、「ちゅっ」という擬音がある。

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裏面にはさらに興味深い記載が発見された。

商品ジャンルとしては「プラ字消し」になるらしい。

以下のような2文の注意書きが書かれている。

・これは字消しです。食べられません。

・プラスチックの上に長時間おくとくっつくことがあります。

250は価格を表すのではないかと思われる。

71233ー7は右側のバーコードの下6桁と等しい。2.25は不明だが、発売日を表すのかも知れない。

マルCマークの右側の1993は発売年を表すと思われる。

発売元は、なんと、株式会社サンリオ!ロゴマークもバッチリ!

あのサンリオの商品であったのである!!

出来の良さから、「MADE IN JAPAN」の文字も頷ける。

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サンリオのキャラクター商品であり、価格も250円と思われ、

駄菓子屋の玩具と言うよりも、文房具店で学校に持っていける文房具として売られたものと思われる。

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検索してみたところ、サンリオのホームページに載っていることが確認された。

株式会社サンリオHPより引用

チューチューターコ 1993年

ボーイフレンドのイカのコータくんに「ちゅーしよっ」って言っちゃう積極的なタコの女のコ!

クリクリおめめと、ピンクのくちびるがチャームポイント♪

商品タグの裏面に書かれた1993の文字とも符合する。

たこちゅうの発売は1976年であったので、1993年といえば17年が経過している。

たこがモチーフで口に吸盤があるからと言って、たこちゅうの影響を強引に想定することは避けねば成らない。

しかし、チューチュータコを買った子供達は、たこちゅうの存在は知らなかったということは確かと言える。

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しかし、この「チューチュータコ」という商品名。

ひっかかるのである・・・。

そう。

察しの良いパチモンタコチュウ学の徒には、この名前。どっかで聞いたことないだろうか?

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1970年代後半、沢村君からもらったパチモンの中に、J2型と命名した大型のタイプがあった。

ラフな顔のデザインと材質の色から、小型のF型と同じ系列であると考えられた。

左からJ2型、F型

そして、某クションでデッドストックを入手出来るようになってから、このJ2型、F型の台紙付き完品が手に入った。

その商品名こそ、「チュチュ たこちゃん チュ!」なのである。

小台紙に書かれた商品名は「チュチュ たこ」である。

チュチュ たこちゃん チュ!

この大きな台紙のイラストは、H・C型やJ・B型といった当時からあったパチモンのパッケージと

多くの類似点が見つかっており、1970年代の終りには存在していたものと思われる。

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ん?今回発見された1993年のサンリオの消ゴムが「チューチュータコ」。

1976年のロッテのたこちゅうと同時期に発売されたと思われるパチモンが「チュチュ たこ」。

数え歌に「ちゅーちゅーたこかいな」という歌詞があり、

ロッテのたこちゅうのテレビCMもこの歌のパロディだったと言う証言もある。

まぁ、順当に考えて、歌の連想で似たような名前になったと考えるのが妥当と思われる。

キャラクターで商売してるサンリオだし。

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・・・が、まだなんとなく引っ掛かる。

タグ右上のキスしたイラストは、多くのパチモンのパッケージにも見られる。

チューチュータコのタグイラスト

左上からG・K・L型、H・C型、左下からJ・B型台紙、J2・F型台紙

これらのパチモンのパッケージイラストは、それぞれのパチモンをバラバラに入手した結果、その類似に気が付いたものである。

そして、そのイラストはロッテの純正「たこちゅう」の箱に由来するものであると思われる。

ロッテたこちゅう( 純正最後期型)の箱

チューチュータコの頭のリボンらしき突起と、G・K・L型、H・C型のリボンにも

共通している点をみることができる。

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でも、天下のサンリオである。

沢山のキャラクターを生み出しては、その版権管理を仕事としている会社である。

20年近く前のロッテのおまけの、さらにそのパチモンに強い影響を受けているとは考えにくい。

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・・・が、版権管理に詳しいってことは、意匠権の保護期間が15年であることは先刻御承知のはず。

商品開発に影響力を持った、たこちゅう世代が、新商品としてたこちゅうの記憶を色濃く残した

吸盤玩具を考えたと想像すると楽しい。

サンリオに問い合わせて、20年以上前の新商品開発担当者を調べ、

その人に、「たこちゅう知ってますか?」と聞いてみたい気はするが・・・。

まぁ、定年になってはいないと思うが、残っていたらいい加減偉い人になってそうな年月が経っているわけで。

偉い人が、正直に他社の商品から強い影響を受けたと教えてくれるとも思われないんで・・・。

これは、永遠のなぞということになるものと思う。

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ところで、2008年に、ユージンがガチャで「たこちゅう」を復刻し、

フリュー株式会社が「チュウペット」という名称で、同様のデザインのプライズを発売した。

ほぼ同じ頃だったと思うが、クリエイト(?)という会社から「たこっちゅ」というたこの形のプライズが出た。

(「現代に生きるタコチュウデザイン」を参照されたい。)

これは、脚部が頭部の形状にあうように窪んでおり、主に積み重ねて遊ぶものである。

しかし、新バージョンとして、口部分が吸盤になったものが発売された。

これが、「チューチューターコ」に非常に似ているのである。

左から吸盤あり「たこっちゅ」、「チューチューターコ」

「チューチューターコ」の発売が1993年、「たこっちゅ」は2008〜9年。

ここでも15年以上が経過している。

意匠権の保護期間と関係しているかどうかは不明だが、

「たこちゅう」(1976年)、「チューチューターコ」(1993年)、「たこっちゅ」(2008〜9年)と

ほぼ10数年でくり返し似たようなデザインが出てくることは大変興味深い。

また、鉛筆を差し込む穴がある部分に注目すると、

以前、某クションで鉢巻をして扇子を持ったタコの消ゴムを入手した。

下部には鉛筆を刺す穴が開いている。

鉢巻と扇子のモチーフは、ロッテの純正「たこちゅう」パッケージや、

の多くのパチモンたこちゅうのパッケージにもみられるものであり、

この消ゴムを発見した時、たこちゅうの販売された頃に合わせて作られたものと考えた。

しかし、たこモチーフで鉛筆を刺す穴があり、目が「チューチューターコ」のタグに似ていることから、

たこちゅうよりも10数年後の「チューチューターコ」の販売時期まで、遅くに発売された可能性も出てきた。

このタコ消ゴムと同じと思われるものが、先日某クションで出品されていた。

終了後に発見したため詳細はわからないが、出品者の商品情報によると、

三菱鉛筆の、シャープペンシルの替え芯のノベルティであったようである。

「たこ焼きスタンプ消ゴム」という消ゴムの当りとして、

籤を引いて当るともらえたものであるらしい。

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たこのモチーフの鉛筆キャップ型消ゴムは、他にも発見された。

商品名は「ペンリング」である。一部文字のかけがあるが「タコチャン消ゴム」と読める。

下部に鉛筆に刺すための穴があり、頭部に消ゴム製の輪をはめるようになっている。

輪は6色6個が入っている。

タグは二つ折りでホチキス留めされており、中央上部にはフックにかけるための穴がある。

台に置かれて販売されただけではなく、店頭や消ゴムコーナーの壁面にフックを置き、

このペンリングを販売したと思われる。

タグには商品名の他に、「ぼくのハチマキはえんぴつのストッパーにもなるヨ!」と丸っこいフォントで書かれている。

「つかれない!!すべらない!!」のコピーが入っている。

他に、素材を示す「PLASTIC ERASER」と、生産国を示す「MADE IN JAPAN」の文字がある。

左下には、メーカー名なのか、なにかのコピーの一部なのか、「夢のある」と書かれている。

タグの表裏は同じデザインで小袋をタグで挟んでホチキス留めされている。

製造メーカー等の情報や価格も書かれていないので、発売時期は不明である。

タコ型キャップとストッパーが描かれたイラストがあるので、オリジナルの商品であると思われる。

タコにハチマキがつきものだった事が、この未開封品によって、一層関連づけられた。

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やはり某クションで、脚部の吸盤がないガチャが発見されたが、出品者の記憶によると、

発売は1998年頃だそうで、「チューチューターコ」よりも後になる。

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たこちゅうの発売から40年になるが、

吸盤を持った蛸モチーフの、様々な小物が間欠的に発売されたことがわかってきた。

ノベルティーズ製作ヒント集 おまけの玩具(おもちゃ)」という本に、

たこちゅうは、著者である浅山守一のデザインであると書かれている。

以来、40年に渡って、そのシンプルなデザイン故、10数年ごとに復活しているもののようである。

たこちゅうの発売は1976年から1977年のほぼ1年間。

その当時の流行を知る世代もすっかりおじさんである。

食玩は多パーツで彩色されたものがほとんどで、

タコチュウのようなシンプルなものが、子供の間で、

当時のような大流行をする可能性はほとんど無いと思われる。

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だが、シンプルで好ましいデザインの故に、これからも、また十数年ごとに復活するかもしれない。

その復活を、あと何回目することができるのか・・・。

っていうか、いつまでこんなことしてるんでしょうかねぇ?

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