実習指導 タコチュウ戦の実際「ラエ基地攻略戦」

●2-2 不運な遭遇戦

 「11時の方向に敵輸送船団!」青タコ軍の前衛艦隊に所属する駆逐艦から発光信号が旗艦に届いた。突入前に無駄な戦闘を行い警戒されたくない青タコ軍艦隊は、気付かれなければやり過ごすものをそうとしたが、赤タコ軍の駆逐艦は増速しながら前衛部隊に接近してくる。赤タコ軍の輸送船団は蜘蛛の子を散らす様にバラバラに走り出した。

青タコ軍艦隊に遭遇した赤タコ軍の輸送船団(写真はイメージです)

 ことここに至っては可能な限り敵船団を全滅させて自軍の編成を知られない様にする他ない。旗艦からの発光信号は「速ヤカニ敵艦隊ヲ撃滅セヨ」であった。敵護衛艦隊の駆逐艦に対して、特A級砲搭載戦艦が一方的に命中弾を浴びせる。敵駆逐艦隊は射撃をする間もなく次々に撃沈されてしまう。赤タコ軍の戦艦と同等の威力を持つB級砲を搭載しながらも、強固な船体で高速を発揮できるBC級重巡洋艦が次々に輸送船に接近し至近距離から的確な砲撃を加え、さながら射撃演習のように輸送船団を片付けていく。

 砲戦は10分も続かなかった。一方的な戦いであり、青タコ軍は一隻も損害を受けること無く、赤タコ軍の護送船団を全滅させた。

ほぼ同じ頃、青タコ軍艦隊の後方を続行しつつあった空母部隊でも、敵駆逐艦隊を発見。2隻から各6機のカニタン型戦闘攻撃機が発艦し、無線を打つ隙もあらばこそ、あっという間に両舷から魚雷を受け敵駆逐艦2隻は轟沈してしまった。

 不意の遭遇戦を完勝した青タコ軍艦隊旗艦の艦橋では、勝利と裏腹に深い憂慮に包まれていた。「輸送船団が緊急信を発したことは確認された。こちらの編成についてどれほどの情報が敵に伝わったかは不明であるが、期待した奇襲攻撃は望み得なくなった。要塞砲を備えた敵の恒久基地に強襲をかけるとなれば、自軍の損害も馬鹿になるまい・・・。」

 ツラギ攻撃の際は、艦載機と機動歩兵が先に戦闘に突入してしまい、敵の機動歩兵や小型艦艇と接近戦を行い相当な打撃を与え、結果的には敵の防衛体制を混乱させることが出来た。しかし、機動歩兵の損害も予想以上に多かった。今回は突入する艦隊の直後に機動歩兵隊を配し正攻法で攻める予定であったが、相当の損害を覚悟しても航空部隊の積極活用で敵の意表をつく作戦を実施しなければならなくなった。