3-1、タコチュウ艦の変遷

始めは単純であったタコチュウを使った遊び方も、様々な工夫により、徐々に発展していった。ここでは、その発展の過程を追いながら電子玩具にない手作りの遊びの面白さを分析する。

●第一段階
タコチュウのみ単体で使われていた。しかし、不整地での安定性の低さや、被弾に対する防御力が著しく弱い事が問題であった。スーパーカー消しゴムをボールペンではじいてレースをする遊びがはやっており、応用として銀玉をボールペンで発射することが行われるようになった。

●第二段階
単体使用時の安定性と防御力の不足を解消するため、銀玉と小型の磁石で台座を作り、その上にタコチュウを装着するようになった。これにより被弾時の生存性が高まり、布の上などの不整地での安定性も実用に耐えるまでになった。

●第三段階
ボールペンによる銀玉の発射方法が進歩し、つまようじの装着により弾道性が向上するようになると、第二段階の増加装甲では、防御力が不足するようになった。また、一発の被弾で一切の攻撃力を喪失してしまうこと、参加兵力の増加にともない火力の集中が必要になったことなどから、多砲塔化して防御力と攻撃力を同時にあげることになった。また、多砲塔化することにより銀玉と小型磁石の使用量を節減できるので、同時に多数のタコチュウを投入できる利点があった。

●第四段階
多砲塔化により防御力が増大したが、真正面や側面中央部への被弾によって、一撃で完全に破壊されてしまう事例が多数報告されたことにより、急遽さらなる防御力の増加が行われた。船体を延ばして、中央部に艦橋を置き、中央部の被弾に対しても、どちらかの砲塔が残るようにした。さらに、船体延長のため広くなった船体中央部の左右にバルジ(突起)を張りださせ防御力を強化した。真正面からの被弾により、船体が縦断的に破壊することがあるため、これに対する対処として、船体前面に張り出しを設けることにした。これらの改修により、初弾命中後の生存率が飛躍的に高まった。

●第五段階
第四段階の状態のまま長期間が過ぎ、ほぼ完成形となったが、新しい小型磁石が開発されたことにより、増加装甲の装着が可能になった。以前も試験的に接合部の磁石を増加させたことはあったが、砲塔の回転速度の減少や、被弾時のダメージコントロールに悪影響がでたため一般化しなかった。これに対し、新しい小型磁石は同一面にS極とN極を持つため構造部材の強度に影響することなく装甲を装着できるようになった。この段階に至って、一応の完成された形態が成立した。

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